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現役レースクイーン兼カメラマン・沙倉しずかに新たに芽生えた想いとは!?

こんにちは! カメラ・写真大好き現役レースクイーンの沙倉しずかです! カメラ歴は5年で、今もそしてこれからも永遠にカメラ勉強中です。

レースのシーズンはすっかり終わってしまいましたね。でも来シーズンに向けて各チームの体制発表があったり、テストを始めているチームもあったり、レースクイーンもチーム撮影会があったりと、オフシーズンもレースの話題が気になる日々です。

さて、私は2022年に続き2023年もSUPER GT 300クラス50号車ANEST IWATA Racing with Arnageのレースクイーンとして、サーキットでお仕事をしながらわずかな空き時間を見つけては、チームの様子を撮影していました。

今シーズンからチームの体制が大きく変わり、ドライバーもスタッフもチーム内の空気感にも大きな変化がありました。昨年より速く、強いチームになり、注目度も高まり、緊張感も増し、チームに関わる人がぐんと増えました。

カメラマンが2人くらいしかいなかった昨年とはうってかわり、ピットにはチームカメラマン、動画のカメラマン、オフィシャルカメラマン、スポンサーさんのカメラマン等、誰が何の役割なのか把握できないほど、カメラを構えた人がたくさんいました。

カメラマンの多さと空気感の変化に怖気づき、レースクイーンである私なんかが写真を撮っては邪魔になってしまうと思い、SUPER GTが開幕して数ヶ月はほとんどカメラを構えることはなく、今シーズンはCAPA CAMERA WEBにGTの記事を出すのは難しいだろうなぁと思っていました。

勇気を出して小山選手を撮影

しかし第4戦目から、少しずつ私の気持ちに変化が表れます。SUPER GT第4戦決勝日(富士スピードウェイ)、この日はANEST IWATA Racing with Arnageの第3ドライバーである小山美姫選手のSUPER GTデビューの日でした。SUPER GT 史上初となる日本人女性ドライバーの出走という記念すべき日でもあり、小山選手だけはどうしても撮りたいと、勇気を出してピットに近づいてみました。

カメラを向けられるドライバーさんの気持ちは聞いたことがないので分かりません。でももし自分がドライバーだったら、デビューレースの出番を待つ緊張が高まるときに、カメラを向けられたらイヤかもしれないと思い(しかもレースクイーンに)、嫌われたら悲しいので電子シャッターにして離れた壁の隙間から撮影し、すぐに小山選手の写真を自分のSNSに上げました。

レースが終わって家に帰ってSNSを見ると、小山選手のSNSに私が撮った写真が使われていたのです! 記念すべき日のSNSに、私の写真を使ってもらえたことが素直に嬉しかったです。勇気を出して撮ってよかったなぁと思いました。

次のレースのときに小山選手が「写真、良かったので使わせてもらっちゃいました!」と言ってくれて、これをきっかけにサーキットでカメラを構える頻度が増えました。

第1ドライバー、イゴール・オオムラ・フラガ選手の写真映えには驚きです。何も考えず撮っただけで絵になるんです。ピントなんか合ってなくてもいい感じの写真になります。ポートレートで写真を褒められて「モデルがいいんです」と謙遜する人をたまに見かけますが、本当にモデルがいいのかもしれません。

第2ドライバー古谷悠河選手は目線をくれます。いつものように壁や棚の隙間からバレないように撮っていても、古谷選手だけには気付かれてしまいます。突然目線がくるとびっくりしてブレたり、もはやシャッターボタンを押せていないことがほとんどです。いい笑顔をしてくれたのに撮れていないと何度悔しい思いをしたことか…。サーキットや囲み撮影でモデルさんに目線をもらってテンションが上がるファン皆さんの気持ちが分かる気がします。

レース帰りの車の中や新幹線やホテルでレタッチをするのですが、ドライバーさんによってレタッチの方向性を変えていました。イゴール選手は渋めに、古谷選手はふわっと、小山選手は明るくパキッと。3人ともそれぞれ個性があって、撮るのもレタッチするのも楽しかったです。

撮った写真を後から見返して気づくこともたくさんあります。ドライバーさんのヘルメットって普段近くでまじまじと見る機会はあまりないと思うのですが、よく見るとヘルメットのデザインがすごい複雑だなとか、名前のフォントかわいいなとか。個人的にドライバーさんがヘルメットを装着する瞬間とグローブを着ける瞬間が、戦闘モードに入るように思えて好きでよく撮っているのですが、ヘルメットもグローブも、ドライバーさんの安全を守るためにいろいろ工程があって、見返す度に発見があって面白いです。

チームの順位が良かったときはピットが笑顔で溢れ、ひとつひとつの喜びの瞬間を逃したくないとシャッターを押す手が止まらなくなります。逆にチームが考えていたよりも順位が上がらなかったときはピットに笑顔はありません。複雑な思いで厳しい表情をしている人たちを撮るのは心苦しくてあまりシャッターを押せません。そんな中でもプロカメラマンたちは淡々とピットの様子を収めていてすごいなぁといつも思います。

カメラを新調しました

サーキットでの使用機材ですが、レンズは「タムロン 70-180mm F/2.8 Di III VXD」です。ボディはずっとソニー「α7 III」を使っていたのですが、今年9月、ふらーっと某カメラ屋さんに行ったら「α‬7R V」が安くなっていて、店内の外国人観光客たちが次々と買っていたので、その勢いに流されて私も買ってしまいました(笑)。

そこからというもの、AFも被写体追従性能も精度が上がったため、歩き回るドライバーさんにピントが合いやすくなり、4軸マルチアングル背面液晶のおかげで人が多くて狭い場所でも撮れるようになり、今まで以上に楽しくなりました。11月の最終戦では、私の目に潰瘍ができてしまいコンタクトレンズが着けられず、視力0.03あるかどうかという裸眼で撮っていたにも関わらずしっかりピントが合っていました。「α‬7R V」恐るべしです。

ANEST IWATA Racing with Arnage では多く方々に支えられ、1年間楽しくやり切ることができ、感謝の気持ちでいっぱいです。来年はサーキットでどんな写真が撮れるのか、今から楽しみです。

文・写真 / 沙倉しずか
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沙倉さん撮影 / 編集部