第33回全国高等学校写真選手権大会「写真甲子園2026」が、2026年7月28日~31日の4日間にわたって北海道東川町とその周辺で繰り広げられた。前半戦に続き、熱い後半戦の模様をお伝えする。

大会3日目 (7月30日)
ファースト公開審査会
計2回ある公開審査会の1回目が、9時にスタート。前日の夕方にセレクトして提出した8枚の組写真を、くじ引きで決めた順に2校ずつプレゼンテーションする。発表する作品のテーマは「気づく」。北海道から沖縄まで、全国から集まった18校54名の選手 (生徒) が、果たして何に気づくのか。また、テーマをストレートに解釈するのか、アイデアでひねってくるのか、そこも見どころだ。

野村恵子さん (代表審査委員・写真家)、鵜川真由子さん (写真家)、浅田政志さん (写真家)、GOTO AKIさん (写真家)、小髙美穂さん (キュレーター) という5名の審査委員がディスカッション形式で講評。予定していた終了時刻の12時を少し過ぎて終了した。

【第3ステージ】旭川市
昼食後は東川町の隣、北海道第2の都市・旭川市へ。旭川駅の北側に広がる中心街や、南側の「あさひかわ北彩都ガーデン」を撮り歩く。写真甲子園では通常、決められたコースをバスが巡回。それに乗り降りして撮影場所や集合場所へ移動するのだが、ここでは「あさひかわ北彩都ガーデン」から徒歩移動。お祭り期間中の昼下がりとあって中心街は人通りも多く、道行く人に声をかけて撮影する選手も多かった。


【第4ステージ】東川町
本来は夕焼けの撮影を想定して設けられたステージ。雨の予報だったが、曇りときどきにわか雨といった天気。あいにく夕焼けを撮影することはできなかったが、選手たちは精力的に中心街を歩き回っていた。

東川町幼児センターも撮影可能で、いくつかの高校が訪問。定員300名の大規模な認定こども園で、選手たちも子どもの多さに驚愕。そしてあっという間に子どもたちに取り囲まれ、撮影どころではなくなり…。

写真甲子園では各ステージの終了時刻が近づくと、手元や足元にカメラを向けて、ファインダーを凝視する選手の姿が目立つ。別に何かを撮影しているのではなく、撮った写真のセレクトをEVFで行っている。
背面液晶よりEVFのほうが細部が見やすく、色がより実際に近いためだが、なかにはここで不要な写真を消去する選手も。各校が使えるメディアは16GBのSDカード6枚となっており、撮影枚数が多い選手は満杯になってしまう。

その日の撮影終了後には、選手たちへ機材を貸与しているキヤノンマーケティングジャパンがメンテナンスも実施。東京や大分の修理拠点からやってきた精鋭部隊が、まさに職人技といった手際の良さでカメラやレンズの点検・清掃を行う。選手たちが思う存分撮影できるのも、こうした裏方の皆さんの支えがあってこそ。

大会4日目・最終日 (7月31日)
【第5ステージ】東川町
最終日の撮影地は、再び東川町。コースを巡回するバスは用意されているものの、スタート時刻は決まっておらず、バスを待たずに宿舎から歩き出す選手たちも。ゴールは町の中心にある主会場「せんとぴゅあ I」に10時だ。

前日も前々日もそうだったように、この日も雨の予報が外れ、終了間際には青空と強い日差しも。これがあと2時間くらい早ければ、結果が変わったかもしれない。天気をいかに味方にするかも、写真甲子園で勝ち抜く秘訣だ。



セレクト会議・ファイナル公開審査会
その後、2度目のセレクト会議。ちなみに、ファイナル公開審査会の提出作品には課題テーマがなく、大会期間中に撮ったすべての写真を盛り込むことができる。より自由度の高いここで、ホームステイなど大会序盤に撮った写真を選んでくる高校も多かった。


そんなファイナル公開審査会は15時にスタート。前日のファーストと同じく順番はくじ引き。ユニークな作風の茨城県立笠間高校から、優勝候補の一角である大阪府立生野高校まで、3時間にわたって18校のプレゼンテーションと、審査委員によるディスカッションや選手との対話が続いた。
審査委員の講評は、ファースト公開審査会ではアドバイスや激励が主だったが、最終結果につながるファイナル公開審査会では、作品の解釈や評価に。とはいえ、そこは写真甲子園。選手たちの糧になるようなヒントもたくさんちりばめられていた。

ファースト公開審査会の作品に伏線を仕込み、それを回収するという高校も。福井県立丹生高校は、小さく切り抜いた部員たちの全身写真を大量に用意。

それを日常や風景の中で写し込み、「あなたのそばにも」というタイトルでストーリーを仕立てた。実はこの小さな部員、前日のファースト公開審査会で発表した作品の最後 (8枚目) にもこっそり写り込んでいたのだ。審査会をまたぐという異例の設定に、審査委員の間でも笑いが巻き起こった。

表彰式
ファイナル公開審査会の後、審査委員5名による審査が行われ、18時30分からは表彰式。個人賞も含めて4つある特別賞のうち3つを、大阪府立生野高等学校が獲得。これは優勝確実かと会場がざわめくが、いざ本賞の発表が始まると、その名は準優勝で登場。再び会場がざわめいた。

そして栄えある463校の頂点に輝いたのは、3年連続10回目の出場、優勝は4度目となる和歌山県立神島高等学校。ファースト・ファイナル両作品とも高いレベルの8枚組だった。
写真甲子園2026 本戦大会結果
■優勝・北海道知事賞 / 町民が選ぶ特別賞 (ファースト)
和歌山県立神島高等学校
■準優勝・北海道新聞社賞 / 町民が選ぶ特別賞 (ファイナル) / 選手監督が選ぶ特別賞
大阪府立生野高等学校
■優秀賞
トキワ松学園高等学校 (東京)、沖縄県立浦添工業高等学校、東京都立総合芸術高等学校、八代白百合学園高等学校 (熊本)、福井県立丹生高等学校
■キヤノンスピリット賞
中野葵選手 (大阪府立生野高等学校)
また、開会式の直後に熊本県では大きな地震が発生。甚大な被害のあった八代市は、出場校・八代白百合学園高等学校の地元でもある。学校や選手のご家族に大きな被害はなかったそうだが、中西琢也監督によると予選の作品を撮らせていただいた地元の方々を含め、わからない部分が多いとのことだった。
そんな中、選手たちは奮闘。見事、優秀賞を獲得した。発表した作品は明るく、そして温かいスナップ。写真の力をどの高校よりもかみしめていたかもしれない。


表彰式の後には審査委員からメッセージが。代表の野村恵子さんは総評として「写真には撮れてしまったという偶然性があり、言葉にできない力もある。優勝した神島高校は、それを信じていた点を評価しました。一方でトキワ松学園の作り込み、演出もよかったです」とコメント。

「写真以外の世界を充実させてください。いろいろな場所に行って、いろいろな人に会って。そんないろいろな場面の隣に写真があったらいいと思います」(鵜川真由子さん)
「地元に帰ったらすべての写真を見返して、ベストな一枚をプリントして家に飾ってください。つらいときや壁にぶち当たったとき、その一枚によって、写真甲子園で限界を超えた思い出がよみがえるはず」 (浅田政志さん)
「なんで自分の意図が審査委員に伝わらないんだろう…と思ったはず。写真には正解がないんです。だから自分が納得いくまで撮るしかない。写真は飽きないんです」(GOTO AKIさん)
「いい写真は言葉があふれて話が広がります。私も、一枚の写真を信じる意味を考えさせられました」(小髙美穂さん)