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2018/4/13 18:30

「聴く読書」は普及するか――「FeBe」から「audiobook.jp」にリニューアルした最大手創業者の話で見えてきた未来

ユーザーの要望を取り入れながら成長するaudiobook.jpサービス

――audiobook.jpアプリの特徴を教えてもらえますか?

 

上田:ライブラリに追加した本はダウンロードできるので、通信環境のないところや飛行機の中などでご利用いただけます。また、ちょっとだけ戻りたい、進みたいという場合には30秒ぶん“戻る”“進む”がワンタップでできるようになっていたり、スリープタイマーも搭載しています。また、人気機能である再生速度の変更は、0.5倍速から4倍速までスライダーを使って行えます。

 

オーディオブックのヘビーユーザーならではの要望を取り入れて改良したところもあります。ライブラリーを整理したいというニーズがあったので、新たに「お気に入り」フォルダを追加。「最近追加した項目」「最近再生した項目」に埋もれることなく、いつでもお気に入りの本にアクセスできるようになりました。

↑アプリのコンテンツタイトル画面。30秒「戻る」「進む」ボタンなどが見える(左)。再生速度を微調整するスライダー。一気に倍速を変えることも可能(中央)。スリープタイマーや「お気に入りに追加」機能も(右)

 

――要望があれば、どんどん取り入れて改良していく?

 

上田:ユーザビリティーはどんどん高めていきたいので、ご要望はどんどん寄せていただきたいですね。真剣に検討して、機能を追加していきたいと考えています。

 

また、不定期ではありますが、アラカルト販売の作品を期間限定で聴き放題として配信するというキャンペーンも行います。例えば、4月6日~5月3日は、小野大輔さんが主演・朗読された「世界から猫が消えたなら」(川村元気著・マガジンハウス刊)や、大川 透さんがゾウの姿をした神様を演じる「夢をかなえるゾウ」を聴き放題で楽しんでいただけます。

 

――audiobook.jpは、ユーザーと一緒に成長していくだけでなく、驚きも提供してくれそうですね。

 

「ながら読書」がオーディオブックの可能性を広げていく

音楽を聴くように、気軽に読書体験ができるのがオーディオブックの良さ

 

 

上田:忙しい日常生活の中で本を読むのは大変という方もいらっしゃると思います。読書って、目を使う能動的な行為ですから。でも、オーディオブックなら、流しておけば自動的に耳に入ってくる、受動的な読書がかないます。気軽に取り掛かることができる。

 

もちろん目で読む読書の良さもありますが、オーディオブックは耳さえ空いていればできる読書なので、耳が暇なときに使ってもらえたらうれしいですよね。

↑オーディオブックの利用シーン。ほぼ「ながら」で読書を楽しんでいる様子が見て取れる

 

――車で移動中にも良さそうですよね。

 

上田:手はハンドル操作に使っていますし、目は周りを注意して見るのに使っていますから、相性はいいですよね。最近の自動車のオーディオは、スマートフォンと連動できるものが多いですしね。

そのほか、ランニングや家事のお供に、またお風呂などでも耳で読書ができます。農作業のときに聴いている、という声もいただいています。日々、忙しくしていると、それだけにかかりきりになってしまいますが、世界を広げてくれる読書を、作業を中断することなく可能にするオーディオブックは、現代人にもってこいのコンテンツなのではないかな、と感じています。

聴いてみて面白かったら、今度は目で読む本も買って、受ける印象の違いを楽しんでいただく、というのもいいですよね。受動的に楽しめるオーディオブックをぜひ読書の入り口にしていただければと思っています。

 

筆者も「聴く読書」を楽しむひとりで多種サービスの聴き放題で「聴く読書」を楽しんできたのだが、月額利用料が1000円を超えると、動画や音楽ストリーミング配信サービスなどでよく見かける980円(3桁!)に比べて高いと感じてしまう層がいることも理解できる。

 

しかしそれが、わずか750円で、国内オーディオブックのパイオニア オトバンクの制作した上質なコンテンツが(1万点とはいえ)聴き放題になるという。これからスマートフォンを利用する人が減ることはないだろうし、スマートスピーカーも多くの家庭で使われることだろう。それらと相性の良い「聴く読書」オーディオブックは、audiobook.jpの開始で、普及に弾みがつくに違いない、と上田氏の話を聞きながら感じた。

 

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