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2018/6/6 20:47

Appleが認めた最新のスマホアプリってどんな作品? 開発者3人をWWDCで直撃

ゲームは経験を共有し、アートとの接点にも存在する

3人目は、ゲームアプリ「Florence」を開発したMountainsのクリエイティブディレクター、KEN WONGさん。オーストリアのメルボルンに拠点のスタジオを構えており、このアプリは4人で製作したといいます。受賞については「名誉なことだと思います。Appleのデザインとは、私たちにいつもインスピレーションを与えてくれるものです。ですから、Appleが私のこと、私たちの作品のことを認めてくれたというのは、とてつもなく嬉しいことでした」と冷静ながらも、喜びを表現していました。

 

↑MountainsのクリエイティブディレクターであるKEN WONGさん。アプリ製作にはUnityのエンジンを使っているが、デザインはまず紙におこし、そこからワコムのタブレットと、フォトショップでデジタル化しているという

 

同アプリは、何の変哲もない一般女性「フローレンス・ヨー」の日常に寄り添う形で進行していきます。朝起きて、歯磨きして、母親と電話で話して…。一コマ一コマが、何気ない日常のシーンで演出されています。そして、それぞれに小さなパズル(あえて「パズル」と言うほど小難しいものではないが)が構成されていて、それをクリアしながら物語を進めていきます。その魅力は、じわじわとクセになる、あるいは琴線にふれてくるような、優しい描写にあります。なお、アプリの価格は360円です。

 

↑主人公の日常を、まるで小説をめくるように、課題をクリアして読み進める。文字表現は少なく、直感的な操作がポイントとなる

 

WONGさんは、元々コンセプトアーティストで、その後アートディレクターの経験を経て、ゲームデザイナーとなったという経歴の持ち主。数年前に数々の賞を受賞したアプリ「Monument Vally」のデザインにも携わった人物です。同氏は、Florenceを開発したきっかけについて、以下のように語ります。ーー「Monument Vallyを作ったときに、素晴らしい体験をしました。いろんな人とのつながりができたんです。そこから新しいチームを作り、こういった体験ができるアプリを作りたいと思いました。普段ゲームをしない人にも響くような形で……。誰でも共感できるテーマってなんだろうと考え、恋愛を中心とした人間関係について扱うことにしました」。

 

「元々ゲームが大好きだったんです。任天堂もCAPCOMも大好きなんです」とWONGさんは述べます。「ゲームとは、アートになり得ります。一番重要なのは、お互いの経験を共有できる、そして美しいものをつくるということです。このアプリでは、キャラクターの体験を通して、自身との共通点を見つけてほしい。例えば、愛とか男女の恋愛について、私が思っていることをゲームに反映できますよね。ゲームをした人には、私の考えを分かってもらえるでしょう。ゲームというのは、常にアートとの接点に存在するのです」

 

Q)今回のWWDCで発表されたなかで、最も気になったものは何ですか?

A)「ARKit 2」がすごく面白いですね。アプリのデモをみる限り、Appleの古典的な非常に良いデザインだなぁと感じます。つまり「魔法的」なんだけれど、ちゃんと「現実的」に動くということです。我々の次回作に使うかどうかは、正直まだわからないですけどね。

 

筆者のようなユーザー目線からみると、機能に着目してしまうので、「Siri Shortcuts」や「Group FaceTime」が気になるものです。しかし、やはりディべロッパー視点で注目するポイントは異なりますね。三者三様な回答ではありましたが、トップディベロッパーが注目する「自然言語認識のAPI」や、「ScreenTime」、「ARKit 2」は、今後のアプリケーション製作に関して、大きな役割を担いそうです。

 

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