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2021/3/30 17:00

現役教員が証言する “いまどき”高校の「デジタル環境」を徹底調査

高校向け1人1台端末のBYODの問題点は“BYAD”で解決

環境を整備できれば、授業に校務にと使いどころが満載のICT。本庄第一高校が、わずか数年で、ここまでICTを活用できるようになった理由は“環境の整え方”にポイントがある。

 

高校向けのGIGAスクール構想では、生徒が利用する端末は“個人所有”のパソコンが推奨されている。いわゆる“BYOD”と呼ばれる方式で、自治体の費用負担を軽減でき“1人1台の学習端末”を容易にできるのがメリットだ。

 

とはいえ、このBYOD方式には問題がある。授業中に端末のトラブルが発生した場合、教員が対応しなければいけないという点だ。例えば、生徒が個々に好きなパソコンを使っていた場合、教員はすべてのOSや製品仕様を覚えなければいけないことになる。マイナーなOSや特殊な仕様のパソコンがトラブルを発生した場合、専門家でも容易に解決できないケースも多い。ICT環境を整えられたとしても、使いこなせないのだ。

 

本庄第一高校では、生徒が使う端末はGIGAスクール構想と同様に個人所有だが、指定のモデルを設定することで、この問題をクリアしている。“BYAD”と呼ばれる方式だ。端末が統一されていれば、OSの操作やパソコンの仕様を把握するのも容易で、事前にトラブル対処の準備もしやすい。また、端末を統一にしたメリットは、コロナ禍で、さっそく発揮されている。

 

「2020年度の新入生には『Chromebook』の初期設定を自宅で作業してもらったのですが、端末を統一していたので、設定動画をつくって送るなどのフォローができました」(木暮教諭)

 

↑環境が整っていたため、コロナ禍での遠隔授業がすぐにスタートでき、学びを止めることはなかった

 

教室で大人数が一斉に使用することを念頭に置くと、BYAD方式がスムーズな導入や授業につながるというわけだ。

 

「本校で導入した『Chromebook』は、全端末を一元管理できるので運用が、かなり楽なのです。起動も早く、授業中に手間取ることがない点もメリットだと思います」(森教諭)

 

そこで、学校側で気になるのはパソコンの選び方だろう。最も簡単な方法は、本庄第一高校のように、生徒が利用するパソコンを同じモデルに統一すること。モデルを統一するのが難しい場合でも、OSだけはそのサポート期限を確認した上で統一をしておきたい。

 

一方、ハードウェアの仕様では、利用できるインターフェイスを統一しておくとよい。例えば、USB(Type A)ポートやSDメモリーカードスロットは、データの受け渡しに便利だが、パソコンによって備えていない場合もある。特に校内のネットワークインフラが、弱い場合は気をつけておきたい。

 

また、ICTに詳しい担当者がいるのであれば、ソリューションも検討したいところだ。自由度の高いソリューションは、必要な機能を追加したり、削除したりできるが、運用するための知識が求められる。

 

本庄第一高校の木暮教諭のように、アプリやサービスを使いこなせる人材がいない場合は、メーカーのサポートが手厚く、利用できるサービスが充実しているソリューションを選ぶのが無難だ。

 

まずは、上記の3点に意識しておくだけでも、かなり効果的にICTを活用できるだろう。

 

BYODとBYADの違いを詳しく知りたい!

BYODとは“Bring your own device”の略で、個人所有している端末を組織に持ち込んで使用するという意味。使い慣れたスマホやパソコンを使えるのはメリットとなるが、児童・生徒の場合、そもそも個人所有がないケースや自宅で使っていない古い端末を持たされるケースが想定され、管理する学校側の負担が大きくなる。

一方、“Bring Your Assigned Device”を意味するBYADは、学校や教育委員会が推奨する端末を個人で購入する手法。端末が統一され学校側としては管理がしやすくなる上に、性能差による学習機会の損失を防ぐことができる。

 

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