シャープはAndroidスマートフォンのフラッグシップモデル「AQUOS R7」を発表しました。NTTドコモとソフトバンクの2キャリアから7月以降に発売されます。
AQUOS R7は、前世代モデルのAQUOS R6で初搭載した「ライカコラボの1インチカメラ」や「240Hz駆動のなめらかディスプレイ」といった特徴はそのままに、デザインや操作性を磨き上げたスマートフォンです。発表時点では価格は公表されてませんが、これまでのハイエンドスマートフォンと同様に、発売当初は10万円台半ばで販売されるものと思われます。
また、エントリーモデル「AQUOS wish2」も同時に発表されました。NTTドコモの2022年夏モデルとして販売されます。
洗練された“カメラスマホ”
2021年発売の前世代モデル「AQUOS R6」では、カメラの著名ブランド「Leica(ライカ)」との提携を実現し、背面カメラを大きく刷新。高級コンパクトデジカメで使われている1インチセンサーを搭載して、趣きのある風景写真を撮れるスマホとなりました。AQUOS R7ではこの路線を踏襲しながらも、細かな使用感を改善。前世代モデルの“弱点”をひとつひとつ潰すような、細かな改良が加えられています。
ボディはブラックとシルバーの2色展開。背面は光沢のある磨りガラス仕上げで、大きなカメラが引き立つデザインとなっています。画面サイズは約6.6インチで、前世代モデルのAQUOS R6と同じ。ただし、画面端の仕上げがカーブ(2.5D)ディスプレイから平らな2Dディスプレイに変更されています。
カーブディスプレイは“画面を持っている”かのようなダイナミックさが魅力ですが、画面端がゆがんで表示されたり、画面端のタップが難しいといった弱点もあります。フラットディスプレイに回帰したことで、こうした弱点が解消されたと言えるでしょう。
大きさ、重さは発表時点では“測定中”とされていますが、試作機を手にとった印象では、前世代モデルのAQUOS R6と大きくは変わらないように思えます。フラットディスプレイになった分、全体的に角張った形状となっています。2022年時点のスマホの中では重量級といえますが、厚みがあるぶん、手にフィットしやすいように感じました。
1インチカメラの弱点“ブレやすさ”を克服
AQUOS R7の背面カメラでは、前世代モデルの弱点となっていた「ピント合わせの遅さ」を大幅に改善。人の撮影に特化した「ポートレートモード」も強化されました。
メインカメラのレンズは、Leicaの一眼カメラ用のレンズに由来する「ズミクロン」を名乗っており、F値は1.9。レンズの構造は基本的にはAQUOS R6と共通しており、ライカの開発担当者による画質監修を受けています。
センサーサイズは同じ1インチですが、約4720万画素という高解像度なスマホ向けCMOSセンサーに置き換えたことで、実際の撮影性能は大きく向上。具体的には、暗い場所のピント合わせが速くなり、遠くのモノをズームで撮った時の画質低下が抑えられています。
どれだけ暗い場所で撮影できるかの目安となる集光量は、前世代モデル比で約1.8倍向上しており、オートフォーカスの速度が約2倍に高速化しています。ただし、前世代のAQUOS R6はスマホとしてはフォーカス速度が遅い傾向があったため、弱点が解消されたということになりそうです。
カメラアプリでは広角0.7倍(35mm判換算で19mm相当)、標準画角(同24mm相当)、望遠最大6倍(同約145mm)相当で画角の切り替えに対応。画角切り替えがしやすくなるなど、細かな点が改良されています。
オートフォーカスではAIによる被写体検知も活用。人物の瞳や顔、犬や猫といった動物などを検知してピント合わせを行います
また、人の静止画撮影に特化した「ポートレートモード」を搭載。ポートレートモード専用のモノクロセンサーや、被写体の髪の毛や肌などを識別するAIを併用して、くっきりとした写真が撮影できるとしています。
動画では、2年前のAQUOS R5Gが搭載していた「8Kビデオ撮影」が復活。8K画質の高解像度で撮影できます。この8Kビデオ撮影機能は、1回の撮影で1分間までという制限がありますが、従来機種よりも格段に明るく撮影できるため、多くのシーンで使えるようになっています。
なお、インカメラはAQUOS R6と共通で、撮影解像度は1260万画素。F値は2.3となっています。
テレビのような“超解像”機能も
ディスプレイは前機種と同じく、シャープの国内工場で製造された「Pro IGZO OLED」ディスプレイを搭載しています。屋外でも明るくくっきりと表示できる画面輝度の高さに加えて、映像を色鮮やかに表示する“HDR”もサポートしており、NetflixやAmazon プライム・ビデオなどの動画配信サービスを楽しむには十分な性能を備えています。
さらに、動きをなめらかに表示する1~240Hzまでの可変リフレッシュレートに対応するなど、スマホのディスプレイの中では最高クラスの性能を備えています。
スマホにしては上等なディスプレイを備えているAQUOS R7。その性能を生かすべく、リッチに再生するための2つの機能が追加されました。「AI超解像」と「フレーム補間」という2つの機能で、どちらもYouTubeやスマホで撮影した動画を再生する時に適用されます。AI超解像は、荒い動画をAIで補って、HD動画として再生する機能。フレーム補間は30FPS以下の動画をコマとコマの間をAIが補完して、動きをなめらかに表示する機能です。テレビではおなじみの機能ですが、AQUOSスマートフォンとしては初めての搭載となります。
最新機能を多数搭載したフラッグシップにふさわしい1台
スマホの性能の要となるチップセットは2022年夏モデルとしては最新、最高性能の「Snapdragon 8 Gen 1」を搭載。メモリ(RAM)は12GBで、ゲームなどヘビーなアプリを動かす上でも不足はないでしょう。本体ストレージ(ROM)の容量は256GB。1TBまでのmicroSDカードも利用できます。
細かな使い勝手を支える機能も充実しています。画面ロックやパスワード入力時に使う生体認証は、「超音波式の指紋認証」に対応。画面に指をかざした瞬間にロック解除が可能です。
通信関連の機能では、ドコモ版・ソフトバンク版ともに5Gをサポート。多くのスマホが対応しているSub-6周波数帯のほか、より高速に通信できるミリ波帯にも対応しています。また、キャリア向けのAndroidスマホとしては珍しく、microSIMとeSIMのデュアルSIMに対応。2回線の同時待ち受けが可能です。もちろん、おサイフケータイや防水・防じん性能にもしっかり対応しています。
充電周りではAQUOSシリーズとしては久しぶりに「ワイヤレス充電」にも対応。Qi規格の充電器に置くだけで充電できます。バッテリーは容量5000mAhとAndroidスマートフォンの中でも大容量と言えます。
前世代モデルのAQUOS R6は、1インチカメラや高性能ディスプレイなどを初めて搭載した意欲的なモデルでした。AQUOS R7はそれと比べると、目立った変化が無いように思えるかもしれません。実際に、斬新な機能変更はありませんが、AQUOS R6が物足りなかった部分を補うような着実な機能改善が図られています。AQUOS R6の個性を生かしつつ、より洗練したスマホが「AQUOS R7」といえるでしょう。
気になる価格ですが、AQUOS R7はNTTドコモとソフトバンクからの販売となるため、価格を明らかにしていません。ただし、前世代モデルのAQUOS R6(キャリアによって11万円~13万円程度)から性能がアップしている分、同等の価格帯か、やや上回る価格となるようです。
性能がちょっとアップした「AQUOS wish2」も同時発表
AQUOS R7の発表とあわせて、価格を抑えたエントリーモデル「AQUOS wish2」も発表されました。AQUOS wish2はNTTドコモの夏モデルとして、6月下旬以降に発売予定です。
前世代モデルのAQUOS wishは、2021年12月に発表された5Gスマートフォンで、これまでau、ソフトバンク、楽天モバイル、UQ mobile、ワイモバイルといった各キャリア向けモデルと、SIMフリー(メーカー直販)向けモデルが投入されている人気モデルです。コンセプトは「シンプルで飾らないスマホ」で、再生プラスチックを使用しているエコなボディに、動画視聴やSNSなど、スマホで使われる用途にあった必要十分な性能を備えています。
AQUOS wish2は、初代wishの外観や機能はそのままに、チップセットを Snapdragon 480 5Gから「Snapdragon 695 5G」へと変更。処理性能が約10%アップしたとしています。基本的な機能は初代wishと共通で、5.7インチの液晶ディスプレイや、1300万画素のメインカメラ、おサイフケータイ、指紋認証などを搭載。MIL規格に準拠した高レベルな防水・防塵性能も備えています。
AQUOS wishがauやソフトバンクなど様々なキャリアで販売されているのに対して、AQUOS wish2はNTTドコモ向けに投入されることになります。ドコモ向けのwishシリーズの投入まで日があいた分、性能が若干強化されている、ということになるでしょう。
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