近年のドライヤーは速乾性だけでなく、毛髪研究が進んだことで、髪や頭皮に優しく髪を乾かせるタイプが増えています。形状も従来のピストル型だけでなく、長いノーズ部分がない〝打ち出の小槌(うちでのこづち)”型が登場するなど、もはや既存の概念のとらわれない進化には驚かされることばかり。そんな進化系ドライヤーの一つとして注目されているのが、シャープの美容ブランドシリーズ「beauté A(ボーテアー)」の第一弾となる「プラズマクラスタードレープフロードライヤー IB-WX1」(実売価格3万460円・以下ドレープフロードライヤー)です。
見た目がなんともユニークですが、機能もかなりユニーク。ただし、単に奇をてらったドライヤーでもありません。昨年9月の発売以来、約5か月間使ってみた感想をレビューでご紹介します。
2つの吹き出し口から出る風で髪を押し分け、効率良く乾かす
近年は、ダイソンやカドークオーラからノーズがないドライヤーが登場しているため、筆者自身初めて見たとき、「このデザインがトレンドなのか」と思いました。しかし、実際はトレンドを追ってこの形状になったわけではないようです。
明らかに違うのが吹き出し口。本来、風が出るはずの中央部分は塞がれており、左右にスリット状の隙間が開いています。この2つのスリットから風を吹き出すことで、「片手に2台のドライヤーを持って乾かす」というサロンのテクニックを再現しているのです。これは単に2台で乾かすから速く乾かせる、ということではなく(実際は1台なので)、2つの風が生み出す髪の流れにもポイントがあるようです。
体感は「点」ではなく「面」で乾かしているイメージ
実際に使ってみると、やはり体感は独特。吹き出し口が2つあるので、当然2か所に風が当たり、結果的にかなり広範囲に風が当たっているのがわかります。ピンポイントというより、面で乾かしているイメージで、確かに乾燥効率はよさそう。さらに2つの吹き出し口から出る風が髪をドレープ状(ドレープ…布をたらしたときにできる、ゆったりとしたヒダのこと)に動かし、立体的に押し分けることも、速乾性につながっているようです。
ちなみに風量は約1.1㎥/分。近年は、風量2㎥/分を超える大風量ドライヤーも多く登場しているので、風量はやや少ないように感じますが、体感では風をしっかり感じ、結果としていわゆる速乾ドライヤーと同等の5分前後で髪を乾かすことができました(筆者個人の目安です)。
なお、重量は610gと決して軽くありませんが、ノーズが短いため安定して取り回しができます。使用時間も短くて済むため、重さもあまり感じません。
操作方法はわかりやすく、電源を入れると通常のホットモードからスタート。矢印マークを押すたびにセンシング、ビューティー、スカルプとモードが切り替わり、風車のようなマークを押せば、風量が3段階で切り替えられます。コールドモードボタンは別に用意されているので、温風で乾かしながら、サッと冷風に切り変えてスタイリング、という使い方もカンタン。
「センシングドライモード」を使えば髪に優しい55℃以下の温風をキープ
さらに使っていて感じるのが、「風が熱くない」ということ。このドレープフロードライヤーは、「濡れた髪のケラチンの変性が始まる温度が55℃以上」とされることから、髪に当たる温度がそれ以上高くならないよう設定できる「センシングドライモード」を搭載しています。
通常、ドライヤー自体を髪に近づけたら、結局髪に当たる温度は上がってしまいますが、「センシングドライモード」を使えば、距離センサーがドライヤーの吹き出し口と髪の距離を計測。距離に応じて髪の表面温度が55℃以下になるよう、温風の温度を自動でコントロールしてくれるのです。