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2025/1/1 20:00

災害時に「情報と電気」を確保できる? 今こそ見直したい通信環境と電源回り

いまの生活に欠かすことのできないネット通信と電気。災害発生時には通信困難になったり、停電することが予想される。だが非常時こそ正しい情報を入手したり、ポータブル電源で最低限の電気を確保することが必要だ。テクニカルライターの湯浅顕人さんが解説する。

 

 

自分の通信環境や電源回り、まずはそこから見直したい

「特定のキャリアにだけ不具合が発生しているということもあります。複数のキャリアと回線契約しておくことで、切り替えたら繋がることもあります」(湯浅さん)

 

いまはキャリアのサブブランドや格安SIMなど、低コストで2回線維持ができる。SIMを2枚挿せるスマホなら持ち運びの負担もない。通信回線が復旧しない場合は公衆無線LANの活用も必要だ。

 

「“Japan Wi-Fi auto-connect ”アプリを使えば近隣のWi-Fiに自動的に接続してくれます。危険な野良Wi-Fiに接続したりはしないので安心です」(湯浅さん)

 

非常時でも「確実に」、「正しい情報」を入手する

1 電池切れではつながらない! スマホのバッテリー対策を万全に

スマホも電気がなければただの板。とならないようにソーラー充電対応のモバイルバッテリーやポータブル電源はもちろん、手回し発電(充電)機のような人力で急場を凌ぐことができるアイテムを用意しておきたい。

 

「スマホのバッテリー切れは情報収集のうえで致命傷になりかねません。電源やUSB充電だけでなく、乾電池でも使えるタイプの充電器を用意しておくと安心でしょう」(湯浅さん)

↑必要ない機能やバックグラウンドで動作するアプリを停止。画面の明るさを抑えることもバッテリー消費抑制に効果的だ

 

2 電話はつながりにくくなること必至! 音声通話アプリで連絡する

特に災害発生時には通話が殺到したり携帯電話基地局がダメージを受けたりして電話が一時的に使えないこともある。そんなときは無線LAN経由で音声通話機能付きSNSアプリ使って連絡を取れるようにすることが重要だ。

 

「複数の携帯キャリアを契約しておいて切り替える、または音声通話アプリを利用するのが効果的。連絡を取り合いたい人とはアプリを共通化してグループを作成しておくとスムーズです」(湯浅さん)

↑「LINE」などの代表的な音声通話アプリ。あらかじめ家族や仲間、同僚などとグループを作成しておくと相互連絡や情報共有に便利に使える

 

3 災害発生時に解説される公衆無線LANを活用する

通信回線が使えないときは災害時に開設される公衆無線LAN(Wi-Fi)アクセスポイント(AP)を探そう。通信キャリアや自治体などが提供しているフリーWi-FiのAPを確認しておくことも非常時の備えとして有効だ。

 

「例えばJapan Wi-Fi auto-connectのようなアプリを使って公衆無線LAN経由で通信できるようにします。常日ごろからAPのステッカーをチェックしておけば、イザというときに役立ちます」(湯浅さん)

↑大規模災害や通信障害時に無料で提供される公衆無線LAN(Wi-Fi)APサービスの「00000JAPAN」。緊急連絡や情報収集時に心強い

 

4 情報の内容と発信元を確かめて、フェイク情報にだまされない 

混乱時だからこそ細心の注意を払いたいのが情報の取捨選択。故意ではなくても発信者側も非常事態で気が動転していて勘違いや誤情報を発信してしまう可能性もある。また情報を発信する場合も慎重になる必要がある。

 

「何といってもフェイク情報にだまされないことです。伝聞調の情報はどこの誰が発信元かがはっきりしないものが多いです。安易に広めたりしないように注意してください」(湯浅さん)

↑本人ならまだしも“知人の兄が関係者で”や“知り合いの知り合いが”などという話はフェイクニュースの可能性が高いので注意

ポータブル電源で「電気の欠損」を防ぐのはもう当たり前!

もちろん、それもこれも電気があればこそ。ポータブル電源のような備えはもちろんだが、とりあえず、すぐできそうな防御法も。

 

「電源タップは“雷サージ防止機能”のあるタイプを使うことです。これだけでもルーターが破壊される事態を防げます」(湯浅さん)

 

まずは自宅の通信や電気の環境を見直してみることも大切だ。

 

長寿命&コンパクトで日常的に使える

Jackery ポータブル電源 1000 New/13万9800円

↑Jackery ポータブル電源 1000 New

 

定格出力1500Wのパワーを業界でもトップクラスの軽量コンパクトボディに凝縮。最速60分でフル充電、冷蔵庫などの家電を接続したままにできるパススルー、UPS機能など日常にも緊急時にも使い勝手が良い。

 

<スペック>
電池容量  :1070Wh
出力    :USB Type-C×2、USB Type-A×1、AC100V×3、シガーソケット×1
AC定格出力:1500W AC瞬間最大出力・3000W サイズ/質量:約W327×H247×D224mm/約10.8kg

↑ソーラーパネルとセットになったモデルも用意される。“SolarSaga 100”2枚を使った100W入力では満充電まで約8時間で完了する

 

「85%で充電を止める節約モードがあるので、コンセントに繋ぎっぱなしにしておいても安心です。耐火性や耐衝撃性、ソーラー入力対応などもいざという時には頼もしい機能です」(湯浅さん)

 

大出力にも対応する、使い勝手の良いモデル

EcoFlow DELTA 3 Plus/14万9600円

↑EcoFlow DELTA 3 Plus

 

AC1500W入力で80%なら約40分、100%なら56分の高速充電に、独自のEcoFlow X-Boostテクノロジーで高出力電化製品の使用も可能。高耐久長寿命、静粛性、パススルー&UPS、出力先の多さなど、普段使いにも便利。

 

<スペック>
電池容量  :1024Wh
出力    :USB Type-C×2、USB Type-A×2、AC100V×6、シガーソケット×1
AC定格出力:1500W●AC瞬間最大出力:3000W サイズ/質量:約W200×H284×D398mm/約12.5kg

↑AC100V出力を6基備えるので同時に多くの家電製品に電源供給することができる。AC瞬間最大出力も高めに設定されているので安心度が高い

 

「独自技術でドライヤーのようなハイパワーを必要とする電気製品にも対応。専用の外部バッテリーで容量を増量することもできるので多少停電時間が長引いても安心です」(湯浅さん)

 

安定性に大容量出力!高い静粛性もポイント

DJI Power 1000/11万4400円

↑DJI Power 1000

 

バッテリーが切れるまで定格2000Wを出力する安定性に最大出力2600W、ピーク出力4400Wの大容量出力と動作音23dBの静音ファンを搭載したパワフル&優しいモデル。140WデュアルUSB-Cポート装備でタブレットやノートPCなどへ高速充電に対応する。

 

<スペック>
電池容量  :1024Wh
出力    :USB Type-C×2、USB Type-A×2、AC100V×2、シガーソケット×1
AC定格出力:2000W●AC瞬間最大出力:4400W サイズ/質量:約W448×H230×D225mm/約13kg

↑UPSモード搭載、最大800Wの太陽光発電電力入力に対応。同社のドローンへの高速充電が可能なSDCなど、ユニークなポートも装備

 

「ピーク出力4400Wのハイパワーに高い静粛性、140W対応のUSB Type-Cをふたつ装備しているのがポイントです。ソーラーパネル3枚接続に拡張できるのも停電時には心強いです」(湯浅さん)

 

停電復旧時の通電火災を防ぐ!

パナソニック 感震ブレーカー BQX702/希望小売価格2万4200円

↑パナソニック 感震ブレーカー BQX702

 

震度5強以上の揺れを感知後、3分以内に停電が発生した場合は停電復帰時に分電盤の主幹漏電ブレーカーを強制遮断することで通電火災を防ぐ。3分以内に停電しなかった場合でも3分後にブレーカーを遮断するので安心だ。

 

地震の後危険なのが、落下物で電源コードが損傷していたり、冬場であれば電気ストーブが転倒していたりなど、停電復旧の際に、それらが火元となって火災が発生する場合。対処法としてはいわゆる“ブレーカーを落とす”、アンペアブレーカーをオフにするわけだが、災害時には自力ではできない状況に陥るかもしれない。感震ブレーカーは、そんな通電火災のリスクに備える最適解だ。

 

テクニカルライター:湯浅顕人さん

PCやガジェット、AVに精通しているライター。インドアモノに強いが、キャンプやマリンスポーツも愛するアウトドア派でもある。

 

※「GetNavi」2024月11号に掲載された記事を再編集したものです