ライフスタイル
2019/9/27 17:00

初めての店で「必ず聞くべきこと」って? 夜の社交場・スナックの「基本マナー」と「名店を探すコツ」の噺

スナックの料金はボトルが付いて3000円が一般的

小林 あと、初心者としては料金が心配です。怖いお兄さんが出てきて、ぼったくられたり……といったことはないでしょうか。

 

谷口 いまは法律が厳しいので、スナックでぼったくられることはほぼありません。ただし、スナックの料金は看板などがない限り、入店前にわからないのも事実。とはいえ、基本的には全国どこに行っても時間制ではなく、ハウスボトルが付いて3000円程度というのが一般的ですけどね。

 

小林 あ、すみません。ハウスボトルってなんでしょうか?

 

谷口 お店側が用意している焼酎やウイスキーのボトルのことです。2回目以降の来店でボトルキープをしている場合は、料金体系が変わるケースも多いですけど。まあ、先ほど3000円といいましたが、あくまでも基本。地域によって1500円や2000円と安かったり、高級スナックの場合は4000円以上したり、時間制だったりする店もあります。週末は高いとか、ドリンクやカラオケ代が別途料金という場合もありますね。ですから、初めてのお店や価格が高そうと思ったら、最初に聞いた方がいいでしょう。

 

初めてのスナックでは、必ず「どこに座ったらいいか」を聞くべし

小林 では、いざ入店してからの、基本的な心構えを教えてください。

 

谷口 いい意味で、「気を遣うこと」ですね。その場の雰囲気を尊重することです。たとえば、初めてのお店に行ったときは、どこに座ったらいいかを聞きましょう。なぜなら、長年愛されているスナックは、定位置が決まっている常連さんの席があるもの。常連さんへの配慮は、欠かせないマナーのひとつです。

 

小林 何でこいつが勝手にオレの席に……となっては雰囲気も悪くなりますよね。確かに、この法則はスナック以外でも当てはまりそうです。

 

谷口 こういった配慮は、カラオケにも通じます。ほかのお客さんが得意な曲を歌ってしまうのはマナー違反。デンモク(電子目次本=カラオケの曲を検索、選択するための端末)から履歴をチェックして、重複しないようにしましょう。自己主張は避け、「その場の雰囲気に合わせて皆で盛り上がる」というのがスナックの暗黙のルールなんです。

 

スナックは紳士的な対応が求められる「大人養成所」

小林 なるほど、スナックを楽しむ第一歩は、ほかのお客さんに敬意を払うということなんですね。そのあたりのバランス感覚も必要だと。

 

谷口 その通り。スナックって、紳士的な対応が求められる場なんです。これは常連でも同様。お店が混んできたら「今日は帰りますね」と、サっと会計を済ませる。満席になる前に店を出て、次のお客さんのために席を開けるんです。そうすることで、お店もより多くの人に利用してもらえる。こうした気遣いができることで、ママや常連さんにも「できる人だ」と思われるわけです。昔の言葉で言えば、「粋(いき)な人」として見られるわけですね。その意味で、スナックは大人養成所でもあるんですよ。

小林 自分も、かっこよく振る舞って周りに一目置かれる大人になりたいです! 泥酔して悪態をつくなんて、もってのほかですね……(遠い目で過去を反省)。

 

いろいろなお店の違いを楽しんで

谷口 ちなみに、いつでもサッと帰るのがベストなわけじゃありませんよ。お客さんが少なくて、自分が帰ってしまうとお店が寂しくなる場合ってあるじゃないですか。そんなときは、逆に居たほうがいい場合もあります。話すネタもなくなってしまったら、無理する必要はありませんが。

小林 一般的に、スナックでの滞在時間はどれくらいですか?

 

谷口 ほかの飲食店と同じく、2時間ぐらいが目安です。私の場合、特に地方に行ったときはフィールドワークを兼ねて、1時間程度で切り上げて2~3軒ハシゴしますけど。

 

小林 さすがスナックの研究者! 1日に数軒行くこともあるんですね。それだけたくさんお店を回ると、店によって優劣を感じることもあるんじゃないですか?

 

谷口 知人の紹介や、連れて行ってもらうことが多いこともあって、どこもいい店です。特徴はそれぞれで違いますけど。地域の老舗でお店の人が歴史に詳しかったり、ママが高齢のおばあさんだったり。逆に若くて勢いのあるママの店も。いろんなパターンがあるので、どちらがいい、悪いということは感じないですよ。

 

小林 どの店にもそれぞれ「色」があって、先生はその違いを大いに楽しんでいる、ということですね。僕も、慣れていったらいろいろなお店をハシゴしてみたいです!

 

次はいよいよ最終回。本稿では料金や心構え、マナーなどを学んでいきましたが、次回はお店での振る舞いについて、いっそう深掘りした内容をお届けします。カラオケのオーダー方法から盛り上がる曲、スナックで鉄板の話題まで、より深く楽しむための知識を伝授していきますので、お楽しみに!

撮影/中田 悟

連載の第1回、第2回はコチラ

本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト
「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です!!

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