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2018/6/12 17:00

ロシアW杯のメインスタジアムがすんごい! 伝統とハイテクが融合した「ルジニキスタジアム」の5つの見所

まもなく開幕するサッカーワールドカップのロシア大会。そのメインスタジアムとなっているモスクワの「ルジニキスタジアム」が3年がかりの改築を経て完成しました。開幕戦と準々決勝、準決勝、決勝の試合がここで行われます。今回はロシアの技術を結集した「世界最高峰のスタジアム」と呼び声も高いこのスタジアムの見所を5つご紹介します。

 

1:排水&暖房装置で芝を管理

このルジニキスタジアムは1956年開場当時から天然芝でしたが、ロシアの過酷な気象条件により、芝の生育環境が悪く一部は腐敗してしまっていました。

 

そのため2008年に行われた公式試合では、イングランドの選手が腐った芝で転倒するという事件もおきました。この事件をふまえ、新しい天然芝はピッチの下に35キロにも渡る排水装置を設置。これによって、仮にスコールなどが起きた場合でも天然芝部分の水を排水できるようになりました。

 

また、こだわりの天然芝を常に美しい緑で保てるように、いろいろな工夫が施されています。コートの横幅111メートルに合わせた巨大な照明装置が10機も完備され、天然芝の下には暖房装置を配置。モスクワは日照時間が少ないうえに冬はマイナス30度にもなるところですが、照明のおかげで芝は一年中青々とした状態を維持でき、暖房によって芝の表面温度を常に15度の適温に保つことができるようになったのです。

 

さらに驚きなのは、天然芝がずれることがないよう特別なナイロン糸で根っこ同士を縛ってあるということ。選手たちは最高のピッチコンディションでプレーできることでしょう。

 

2:屋根自体がスクリーン

スタジアムの屋根は楕円形になっており、天候に合わせて開閉することができます。これは天然芝の風通しにも重要な役割を果たしているのですが、実はよくある平凡な開閉式屋根ではありません。

 

なんと屋根自体が巨大スクリーンになっており、文字や映像を映し出すことができるのです。選手名や得点、ハイライトなどをオンタイムで表示することが可能。従来のスクリーンと比べて、かなり臨場感がありそうですね。

 

3:どの席からも最高の眺め

世界中のいろいろなスタジアムでも見られますが、シートの配置や建物の設計の都合で、せっかくお金を払って来たのに肝心のピッチが見えにくい席があります。実際、旧ルジニキスタジアムでも全体の10%ほどがこのような席でした。新スタジアムは特別な設計を施すことでそれらをなくし、どの席からでもピッチ全体がきれいに見渡せるようになったのです(ルジニキスタジアムの収容人数は8万1000人)。

4:伝統と近代が融合した外装

266億ルーブル(日本円で約532億円)という莫大な費用を使って改築されたルジニキスタジアム。実は、全面改装ならばもっと改装費用を安く抑えられたそうです。

 

しかし、あえて開場当時の外装を保存する作業を追加したため、大幅に費用が跳ね上がってしまいました。というのも、ロシア政府はスタジアムを「伝統と未来を融合」させた新しいスタジアムにしたいと強く願い、外装だけは保存することにしたからです。

 

そこで、歴史を感じさせる外装はそのまま残され、表面を覆う化粧板のみが新しいものに変えられました。その乳白色の真新しい化粧板は、日が沈んでから見ると白く輝きとても美しいものです。

 

外壁の上部には、かつて国を代表したオリンピック選手たちが描かれているように見えますが、実は塗料などで描かれているのではなく、モザイク画になっているのです。筆で書いたように流れる線も全てそう。モザイクタイルが一つひとつ細かく組まれ、精密に作られているので、まるで写真のようです。

 

5:VIPロッジの座席

このスタジアムには「VIPロッジ」の座席があります。映画館のシートを思わせるような真っ赤な革張りで、広めに作られているのが特徴の一つ。特別仕様のこの椅子は、カップホルダーと座席を温めるための暖房機能も付いており、ベンチで選手や監督たちが座る席と同じものだそうです。普通の座席からもVIPロッジは見えますが、羨ましくなっちゃうかもしれません。

 

伝統と最先端テクノロジーが融合した巨大なルジニキスタジアム。ワールドカップの際には試合だけではなく、開場当時の伝統的なたたずまいを残した外装や、ロシアの技術を総動員したハイテクな内部などにもぜひ注目してください。