40歳を越えた頃から、とにかく記憶力の劣化たるや恐ろしいものがある。自分でも「これ病気じゃないのか」と焦るぐらいに人名だの商品名だのが憶えられなくなって、もちろんその焦ったことも5分後には忘れているのだ。
とりあえず、商品名など固有名詞は検索すればなんとかなる。有名人の人名も同じくネットの集合知に問い合わせれば大丈夫。いちばん困るのは、何かのタイミングで直接お会いして名刺を交換した人だ。有名人じゃないけど、筆者にとってはお仕事に関わるだけ大事である。
大事なだけに、いただいた名刺は基本的に当日のうちにはドキュメントスキャナにかけてきちんとデータ化しておくように心がけているのだが、それを後からチェックすると「これ、誰だっけ」となるわけだ。データ化、まったく意味なし。
とりあえず、名刺を見ただけで最低限「どこでお会いしたか」は思い出したい。できれば「どういう話をしたか」「どういう容貌で雰囲気の人か」もあるといい。そういう内容をメモして、名刺に紐づけておく良い方法はないだろうか? そういうのに最適なふせんを使えばいいのである。
ビバリー めいしふせん
各518円
ビバリーから発売された「めいしふせん」は、まさにそういった「名刺への情報添付」に特化した専用ツールだ。使い方はごくシンプルで、半透明のフィルムふせんに「名刺交換した日付」「場所」「メモ」を書き込んで、名刺に直接貼り付けて整理する、というもの。
このメモの部分に相手の印象などを書いてあると、あとで名刺を見返したときに「あーあー、あの人!」と思い出せるようになるはず。あと、名刺交換したときに交わした会話の概要を書いておくと、次にその人に会ったときにそこから会話が継続できる。いわゆる「セーブポイント」になるのだ。
ポイントとしては、この貼り付け作業は名刺交換したその日のうちにやっておくこと。次の日以降に相手のことを憶えていられるようなら、そもそもこの製品は必要ないからだ。
ちなみに、厚紙の台紙は折り線から折り返すことで名刺サイズになる。律儀な人なら、台紙ごと名刺入れに収めておいて、名刺をもらったらすぐ情報を書いて貼る、というのがベストだろう。筆者の使い方としては、まず名刺をそのままドキュメントスキャナで撮り込む。その後、スキャン済みの名刺にこのふせんを貼ってから整理箱に放り込むようにしてみた。
薄いフィルムふせんなので貼ったままスキャンしても問題ないが、やはり名刺の文字とふせんに書いた文字が重なり合うと、情報が読み取れなくなる可能性が高い。データとしては名刺そのままの状態で保存し、あとから見返して「これ、誰だっけ」となった時にだけ、名刺整理箱からふせんで情報を添付した名刺を取り出して確認、というのが良さそうだ。
このとき、黒のペンで書いてあると、また名刺の文字と混じって読みづらい。できれば青や赤などのペンを使うのがコツだ。
なお、このめいしふせんは1パッケージに2色入り。左タブ・右タブに分かれているので、このタブにも自分で分類しやすいように情報が書き込める。たとえば、整理箱にインデックスなしで放り込んであるなら五十音のタブとして使えばいいし、「得意先」「プライベート」のように用件別にするのもアリ。
それすら面倒なようなら、単に色だけを目安に「赤のタブは上半期の名刺」「緑のタブは下半期の名刺」みたいなざっくりとした時期の目安にだけ使うのもいい。パッケージは「赤・緑」「青・黄」「オレンジ・紫」の3種類あるので、6色揃えれば時期の区分を2ヶ月ごとにまで細分化することもできる。
実はこのタブには、切り取りのミシン目が入っているので、不要ならば切り取ってしまっても構わない。ふせんを貼ったままスキャンしたい派なら、タブを切っておけば撮り込み作業の邪魔にならない。
あと、ちょっとした小技だが、切り取り線のところでタブから軽く折り目をつけてガイドにしてやると、名刺にまっすぐきれいに貼ることができる。
対して、本製品には残念なポイントも1点ある。素材がフィルムということもあり、書き込む筆記具を選んでしまうことだ。ペンによっては、速書きするとボールが空転するようなものがあったり、インクが弾かれ気味なものもあった。
低粘度油性のボールペンはおおむねうまく書けるようだが、いくつか試した中で最も相性が良かったのは、ゼブラの「サラサドライ」(1本162円)だった。紙に浸透しやすい独自のインクが、フィルムにも効いたのかもしれない。
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