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2020/9/8 17:00

「ルノー カングー漬けの日々」3つの使い方術で、QOLがとっても上がった話

ニューノーマルの時代に入って、月日が経つのが早い。PCに向かっていたら日が暮れているし、気づいたら1週間が終わっていたし、季節も夏が終わろうとしている。

 

もちろん、好きなアーティストがインスタライブをやったり、ご当地グルメを取り寄せてみたり、家の中を清潔に保ったり、これまでの生活にはなかったこと・できなかったことを楽しんでいるので充実している。

 

が、やはり生活がどこか平坦で単調なのだ。ほんの少し華やかさが欲しい。

 

そう考えたときに、クルマは改めていいツールじゃないかと思い始めた。プライベートな空間で「密」を避けられる。安全に移動できる。自宅の延長スペースとして、好みの空間にアレンジもできる。

 

経済的で、実用的で、彩りを与えてくれるクルマ――と考えたときに、真っ先に浮かんだのがルノーのカングーである。

 

【今回紹介するクルマ】

ルノー

カングー

264万7000円(ZEN EDC)

2列シートで5人乗りのミニバン形状の、正確にはステーションワゴン。パッチリとした目(ヘッドライト)に、車体表面の凹凸が少なく、近年のクルマの特徴であるドギツさがない造形で、万人に愛されるデザインが特徴。2016年からは6速AT(6EDC)と1.2L直噴ターボエンジンの組み合わせを用意。スムーズかつ爽快な走りと低燃費を実現している。

 

【車両のディテール紹介(画像をタップすると詳細が見られます)】

 

カングーは無条件に楽しいクルマだ。Instagramで「#カングー」を調べると、8.1万件以上の投稿があって、一人ひとり違った使い方をしていて、見ているだけで心が湧き立つ。単なるクルマではなく、自分らしさを表現するためのキャンバスに近い。

↑ルノー・ジャポンのInstagramより引用。一般ユーザーが様々な楽しみ方をしていて、見ているだけで楽しくなる

 

「カングーのある暮らし」で矢のように流れていく日々に少しでも変化を。ということで、実際に3つの活用法を今回試してみた。実に様々な変化があり、カングーの良さもわかったので、それらをレポートしていこう。

 

【実践術01】カングーを仕事部屋にしてみると「自然の変化を感じるようになった」

私は月の約半分が在宅勤務で、そして自室がない。同じく在宅勤務が多い妻とリビングで仕事をしている。オンライン会議が重なる時は娘の部屋か、娘も自宅にいる場合は、洗面所で会議をしている。

 

たぶん、多くの在宅勤務者と同じように、自室が欲しい。そして、休日も含めると月の75%も自宅にいることになる。働く環境に変化があれば、少しは効率が上がるのではないか。

 

ということで、カングーを仕事部屋にしてみた。仕事部屋といっても、私はウェブ編集という業務上、PC、タブレット、リモートワーク用のマイク付きイヤホン、メモ帳とペン、タンブラーがあれば良い。これにゴミ入れ、そしてポータブル電源を持ち込めば完成だ。

↑在車勤務の様子

 

以下、カングーで「働く」ことで起こった変化をレポートしていこう。

 

まず、シートからすべてが手に届く範囲にあるので、集中を削ぐものたちが視界に入らなくなり、仕事効率がぐんと向上した。自宅で仕事すると、飲み物を取りにキッチンに行ったり、充電ケーブル挿すためにコンセントのところまで移動したり、と意外に立ったり座ったりを繰り返している。

 

それだけなら良いのだが、ウロウロしているときに床に落ちている髪の毛が気になって掃除したり、「洗濯物干さなきゃ」と思い立って洗面所に行ったり、家事をしているのか仕事をしているのかわからなくなる瞬間がある。

 

でも、クルマの中だとシートに座れば基本、動かない、動けない。自分の手の届く範囲ですべてを済ませられるので、集中力が削がれないのだ。

 

「それって、別にカングー以外のクルマにも言えることでしょ?」という指摘もあるだろう。その点、カングーには様々なアドバンテージがある。前席の頭上に広大な収納スペースが用意されているのだ。

 

PC作業でメモ帳やケーブル類が邪魔なときはここに入れておけばいい。上の写真のように手を伸ばせばすぐに取り出せるので、アクセス性が抜群。私は鼻炎持ちなので、ポケットティッシュではなくボックスティッシュを常備しておきたい派。そんな人にはぴったりすぎるスペースなのだ。

 

そもそも、カングーは商用モデル派生のクルマだ。フランス本国では様々な業種の貨物車として使われ、フランス郵政公社「La Poste」に採用されていることでも有名。つまり、「働く行為」と非常に親和性が高いモデルなのである。

 

ちなみに、さきほどの運転席で仕事している写真。PCを膝の上に載せているから、首が前に出て、背筋が曲がって体勢がキツそうと思った方、カングーは標準でフロントバックテーブルが採用されているから後席でも仕事が可能。

 

会社支給の12インチ前後のノートPCであれば十分に置けるので、リアシートであれば姿勢を正して仕事もできる。テーブル下にはファイル類を収納できるスペースもあるのでご安心を。

↑フロントバックテーブル。ドリンクも置ける

 

↑足元も広い。なんだったら足を組めるぐらい

 

また、後席頭上にも収納スペースがある。なので、前席で作業するときと同様、持ち物を入れておける。なお、3つのボックスのオススメ割り当ては、右が書類や手帳、中央が休憩用のお菓子類、左がお昼寝用のネックピローだ。クルマの中だと在宅勤務と違って布団の誘惑もなく、1時間も2時間も深い眠りに入ってしまうことがない。15分で頭をリフレッシュできるケースが多かったことだけ報告していこう。

↑後席頭上の収納スペース「3連式オーバーヘッドボックス」

 

カングーで在車勤務して仕事効率は上がったが、それ以上に上がったのが気分である。

 

自宅でずっと仕事をしていると外の変化に疎くなるし、在車勤務で駐車場や近隣のパーキングで仕事をしていてもいつかは飽きが来る。それが、たまに、知らない街の駐車場や、近いけど行ったことのなかったスポットに行くだけで気分が上がるし、新しい発見がある。地元の名店に出合うこともできる。カングーは小回りが効く(最小回転半径は5.4メートル)ので、「ちょっと行ってみよう」という衝動を遮らないクルマでもある。機会損失が少ないのだ。

 

さらに、外の変化に疎くなるといったが、在宅勤務の場合、空調が効いた快適な空間にいるので、日々の天気に無関心になる。人間、季節の移ろいを身体で感じられないと時が経つのが早い。カングーも快適な車内だけど、フロントガラスを打つ夕立の雨粒や、夏の終わりと秋の始まりを感じる風を五感で受け取っていると自然の変化を感じられ、何か日々が生き生きとしたものとして感じられる。カングーはそういった意味で、内と外を結ぶ優れた媒介者である。

 

【実践術02】カングーをキャンプサイトにしてみると「記録する行為が蘇った」

ニューノーマルの時代になって、家族と一緒にいる時間は増えたのだけど、家族とコミュニケーションしている時間が増えたかというと疑問だ。仕事をしているから、話しかけられても上の空だったり、オン/オフの切り替えがうまくいかずため息をついてばかりだったり。

 

そんなときには、いっそ場所を変えてしまうのが得策だ。その点、キャンプやアウトドアはカングーの十八番である。というわけで、幾多の人がこすりまくった企画ではあるが、カングーでキャンプをしてみた。

 

↑今回はテント泊ではなく、コテージ泊を選択。そのため荷物も少ないが、テント泊でも余裕すぎるほど積載量がある

 

以下、カングーを「アウトドアのベース基地」にしたことで起こった変化をレポートしていこう。

 

まず、カングーは絵になる。キャンプ場でラゲッジに家族が腰掛けるだけでなんか幸せな家族の象徴的な構図になるし、クルマの横に立って記念撮影するだけで上質なライフスタイル感が味わえる。家族との思い出作りには最高の相棒なのである。

↑今回撮影したのは、富士五湖のひとつ西湖湖畔にある「PICA富士西湖」。山田家で年1回必ず利用する施設で、自然豊かな環境でカングーとの相性もバッチリ

 

これは私だけでないと思うのだが、先日、スマホの写真フォルダを見返したら、最近の写真が全然なかったのだ。あるのは、メモ用にとったウェブサイトのキャプチャーと、自宅での食事の写真。

 

外出がしにくい時代なので当たり前なのだが、矢のように時間が過ぎていくのも、ここに要因があるだろう。写真に撮りたいと思う、記憶に留めたい出来事が少なくなっているのだ。だから今回、カングーと一緒に過ごすことで、写真を撮るという行為と楽しさを思い出した次第だ。

 

カングーは車中泊ももちろん可能だ。最近、ワークとバケーションを組み合わせた「ワーケーション」という新しいオン・オフの過ごし方がよくピックアップされる。しかし、ワーケーションって意外とハードルがあるのだ。

 

ワーケーションは、金曜日の日中はワーク、金曜日の終業から日曜いっぱいをバケーションとするケースがいまのところ多いそうだが、そうすると木曜日の夜に前泊するか、金曜の早朝に出発するか、という選択肢になる。前泊すれば一泊分の宿泊費がかかるし、金曜日の朝出発するととにかくバタバタする。

 

そういった色んな悩み事もカングーなら解決する。木曜の夜は車中泊スポットに宿泊。金曜日の朝に余裕を持ってワーケーション先にチェックインすればよい。金曜午前にチェックインできない施設なら、そのまま在車勤務をすればいい。といった形で、非常に経済的だ。

 

カングーはATモデルが264万7000円〜、MTモデルが254万6000円〜と国産ミニバン並みの安さ。輸入車の競合モデルが300万円半ばに近い価格と考えると安い。この点も非常に経済的である。なお、9月10日からは2種類の特別仕様車が登場。

 

グレーのカラーリングがいかにも「道具」として使い倒せそうな「アシエ」は限定100台、カングーといえばこの色! という「ラ・ポスト」は限定200台で、ともに価格は通常モデルと同じで、ATが264万7000円、MTが254万6000円となっている。

 

車中泊の話が出たので室内のサイズに関してみていこう。

室内は助手席を倒した状態だとおよそ250センチ、前席を倒さなくても170センチの長さがあるので、多くの人が余裕で寝られるサイズだ。もちろん、フルフラット。室内の高さ1155ミリなので高さ方向の圧迫感もない。

 

2列目下に靴などを入れられるほか、後席頭上の3連式オーバーヘッドボックスもあるので収納もバッチリ。また、ここでもフロントバックテーブルが活躍してくれるので、小物類を置く場所に困らない。

 

室内の幅は1121ミリなので、大人2人と小学生までの子ども1人なら余裕を持って寝れるだろう。上の写真のようにアウトドア用のマットを持ち込めば実に快適だ。

 

今回のコテージ泊の際、私は朝方にカングーに移動してゴロゴロしていたが、観音バックドアから差し込む朝日のまぶしさで身体が目を覚ました。月並みな表現だが、何か尊い時間であった。

 

↑左右非対称の観音開きドア。珍しいギミックでこれだけでも選ぶ価値がある

 

↑ラゲッジまでの高さが低いので荷物の積み下ろしもしやすい。荷物が多くなりがちなキャンプでは重宝する設計だし、日々の買い物でもとてもラクだ

 

【実践術03】カングーを書斎にしてみたら「自分の残りの人生について考えるようになった」

書斎は、男の憧れだ。自分の好きなものを集めて、並べて、愛でて、自分の時間を過ごす。音楽好きの人ならアンプをつなげて楽器練習したり、プラモデル好きの人ならパーツを組み立てたり、読書好きな人は雰囲気のいいランプを立てて普段は読まない本を読んだり。

 

心が洗濯される感覚。こんがらがった自分がシンプルになる気持ちよさ。

 

書斎とは、自分自身を整理する空間だ。なんか抽象的な話をしているが、要は自分だけの部屋が欲しいのである(切実)。娘は自分の部屋があるのに、自分はないから、自分だけの空間が欲しいのだ。自分について振り返るスペースが必要なのだ。オフィスとしても寝室やリビングとしても活躍するカングーに書斎の役割を持たせたら、さらに幸せになれそうじゃないか。

 

というわけで、オフの時間や夜にカングーを走らせてみる、籠ってみる。以下、カングーで「一人ドライブしつつ書斎」にしたレポートしていこう。

 

カングーは、背が高いミニバン的な走行特性かと思うかもしれないが、意外に走る。コーナリングもふわふわ、ふらふらしない。むしろ、ステアリングを切るのが楽しい感覚だ。これは、重心が低く抑えられていることもあるし、ルノーらしい素直なハンドリンクが反映されているということも大きい。

 

家族や大量の荷物を載せていないとパワフルさも感じられる。エンジンは1.2Lの直噴ターボエンジンで115PS。スペックだけで考えると突出したものではないが、走っているときの気持ち良さは十二分に感じられる。

 

【車両のディテール写真02(画像をタップすると詳細が表示されます)】

 

で、夜、カングーに籠もってみたのだが、結構いい。そうそう、こういう空間が欲しかったのだ。ちなみに私がしたのは、超プライベートな話だが、四半世紀ぶりに小学校の先生に連絡を取る機会があり、手紙をしたためるという行為。自分の半生を振り返りながら、手書きで書くから独りになりたかったのだ。ちなみに、居心地の良さは【実践術02】で紹介した通りで、このときもフロントバックテーブルが大活躍した。

 

半生つながりでいうと、Instagramでカングー関連のハッシュタグを見ていて思ったのが、カングーオーナーには色んな人生が送っている人が多いということ。クルマは同じだけど、選んだ人生は本当に様々。

 

ペットとの生活を送っている人もいるし、自転車を載せて各地を2輪と4輪で走っている人もいるし、キッチンカーとして使っている人もいる――カングーのオーナーは自分が想うライフスタイルを実現している人が多いから、つい、自分が選ばなかった人生について考えることもできる。そして、こんな人生を送ってみたいなというアイデアももらえる。こういった「人生の指南役」を得られるのはカングーの特権だろう。

 

【まとめ】

今回は割と定番な3つの実践術にフォーカスして記事をお届けしたが、カングーの器はまだまだデカい。リモートワークがもっと普及が進めば、カングーをベースに日本各地を巡りながら仕事しながら旅をすることもできる。副業やダブルワークがもっと一般的になれば、カングーを店舗にして様々な場所を訪れてショップを開ける。

 

とにかく使い倒しているというのがカングーオーナーの特徴だし、使い倒すことで、行動範囲が広がり、新しい部屋ができ、日々にハリができる。withコロナの時代は今まで当たり前だったものが、リスクを回避しながら能動的に動いていかないとアクセスできない時代だ。カングーはそれに対応できる希少性の高いクルマだろう。

 

 

撮影/中田 悟 撮影協力/PICA富士西湖(山梨県)