整理収納コンサルタントとして「整理収納からはじめるシンプルライフ」を提唱している森山尚美さん。ご自宅を見せていただくと、確かに玄関からリビング、キッチンに至るまで余計なものが何もなく、住まい全体がスッキリシンプル。それでいて不思議と無理な感じは全くなく、むしろ暮らしやすそうな雰囲気を感じます。生活空間をスッキリさせつつも快適に暮らすために、どのような工夫をしているのでしょうか?
シンプルかつ実用的なアイテムを使って持続可能な収納生活を
シンプルさにこだわるようになった理由について森山さんは「モノがあれば、それだけ管理する手間が増え、時間が奪われてしまう。でも、少なければ管理の時間を短縮でき、浮いた時間でほかの家事や、やりたいと思ったことができるようになるんです」と語ります。
そんな森山さんは、暮らしのなかに取り入れるアイテムについても見た目や機能のシンプルさを重要視しているそう。
「ゴテゴテしていると見た目が美しくありませんし、多機能だと使うのが面倒くさくなる。面倒だと、人って長続きしないんですよね。それが、片付けることへの億劫さや、部屋の散らかりにつながる。だから、収納ボックスなら出し入れしやすいもの、小物ケースなどは透明、または半透明で中身がわかりやすいものなどがおすすめ。そして、余分なポケットなどがなく、しまうときにあれこれ考えなくていいものにする、というのもポイントです」(森山さん)
そこで今回は、森山さんにオフィス通販「カウネット」のオリジナルブランド『「カウコレ」プレミアム』の商品を試していただきました。というのも、「カウコレ」プレミアムは元々オフィス用品として開発されたため、シンプルで実用的。まさに整理収納にうってつけなのです。あわせて、森山さん流・快適な住まいづくりのコツをご紹介いただきます。
子どもが自分で片付けやすい“持ち運べる定位置”をつくる
シンプルライフというと、とにかくモノを捨てて少なく……といったことを想像しがちですが、森山さんのご自宅はスッキリ片付いていて余分なものが何もないのに、「暮らしやすそう」と感じられるお宅。不思議と、無理を感じさせない美しさがあるのです。その理由のひとつが、お子さんたちを含め、家族全員が片付けるのを面倒に思わないような環境を作っているからだと森山さんは言います。
うちの子はお絵かきが好きで、スケッチパッドやぬりえブック、それにこまごまとした文房具類を使って部屋で遊んでいます。遊びたいから、道具を出すときは探してでも引っ張り出してくるんですが、ひとしきり遊んで満足したら片付けは面倒くさがる。入れる場所がひとつひとつ決まっている、しまう場所が遠い、あるいはアクセスしづらい、などがその原因でした。
でも、持ち運べる“定位置”を道具入れとして用意してあげることで解決しました。つまり、遊び道具一式を入れておけるものを与えたんです。うまくいくためには、片付けるときに「どこに何を入れようか」と考えさせてしまう仕切りはないほうが無難。そしてポイポイと入れられるようにフタがないことや大きさにゆとりがあることも大切です。
うちの子の場合、前面と背面の両方に持ち手が付いているファイルボックスを、取り出して遊びたい場所に持っていく「お絵かきセット」として使ってみました。通常サイズより横幅が5cmほど広くてゆとりがあるため、遊び終わったらポイポイと投げ入れるだけで片付け完了。片付けの習慣を子どもにつけさせるのに向いているアイテムじゃないかな、と思います。縦置きなので、場所の節約もできますしね。
「いつもは使わないけれど重要なもの」は半透明の入れ物にまとめておく
子どもといえば、いつ具合が悪くなるかがわからないのも悩みのひとつですよね。特に共働き世帯では、誰が病院に連れて行くことになるかわかりません。そんなとき、「保険証や診察券ってどこだっけ……」と慌てることのないように、森山さんは次のような収納をおすすめしてくれました。
いつも使うわけではないけれど大切なものは、誰にでもすぐにわかるようにしておきましょう。例えば、保険証や診察券、母子手帳などですね。わかりやすくするため半透明の入れ物に、それだけをサッと持ち出せるような仕組みをつくっておくのがポイント。緊急事態が起きているときは、細かいことを考えている余裕がありませんしね。
このマチ付きメッシュケースは、病院関係のものを全部まとめて入れておける収納力と、半透明で中に何が入っているのかすぐわかるところが良いですね。仕切りがないので、使い終わったら「整理しなくちゃ!」と考えることなくしまえるところも気に入っています。
【コラム】
子どもとのコミュニケーション――置手紙は大きく、目立つように
子どもに関わる整理収納の話が2つ出たところで、森山さんからこんな話をうかがいました。
「私の場合、子どもたちが帰って来る時間に家にいられない場合は、必ず置き手紙を残します。でも、小さな紙だと気づきにくいし『なんだかわかんないや』と読んでくれないことも。
それで、私はいつもA4用紙にサインペンを使って大きな文字で手紙を書くようにしています。書き終わったらテープで柱に貼り付ける。玄関から入ってきて、一番目につくところなので、きちんと読んでくれているようです」(森山さん)
低めの「机上台」で作業机や食器棚を整理整頓
次に教えていただいたのは、使う頻度が高いのに、乱雑な印象を与えてしまう文房具などの小物類の定位置について。机上台というと「オフィスの限られたデスクスペースを活用するためのもの」というイメージですが、自宅でもいろいろと利用できるそうです。
文具や消耗品といった小物類は、使いやすいからとキッチンカウンターの端っこや作業机の隅に置きがち。でも、見た目が乱雑になるだけでなく、上のスペースを使えないのがもったいないですよね。
おすすめしたいのは、ちょっとした机上台を活用することです。できれば、耐荷重に余裕があり、あまり高さのないもの。理由は、動かすことのほとんどないFAXやプリンターなどを上に置いても安定するからです。しかも、机上台の下に収納するのがノートパソコンや寝かせた文房具類であれば、高さは不要ですしね。今回試した机上台は絶妙なサイズ感で、11~13インチ程度のノートパソコンを隠しておくのにちょうどいいと感じました。
また、自宅ならではの机上台の使い方もあります。どこの家庭でも大皿はあると思うんですが、そんなに枚数はないですよね? そのままでは面積ばかり取って、縦の空間がもったいない。背の低い机上台なら食器棚に無理なく入り、2、3枚の大皿と組み合わせて使うことで、上の空間を有効活用できます。
家事の時短は効率の良い動線づくりから
森山さんは、家事仕事の時短のために、キッチンでの効率の良い動線づくりを意識しているそう。1つ1つは小さなことのように思えますが、毎日のように繰り返すことだからこそ、ちょっとしたことでも効果は大きくなるのです。
ほとんどのお宅では、調理の下ごしらえをするシンクとゴミ箱の位置って、少し離れていると思います。下ごしらえ中に出るゴミをいちいちゴミ箱に捨てていたら、その少しの移動時間がもったいないですよね。だからといって、シンクにそのまま、というわけにもいきません。
おすすめなのは、コンビニ袋や使用済みのジッパー袋などを調理台近く、できれば同じ高さのところに口を開けて置いておいて、すぐに捨てられるようにしておくこと。なんで同じ高さなのか、というと、ほんの少し腰をかがめるだけでも時間のロスにつながるからです。
三角コーナーを使えばいいと思うかもしれませんが、使っていないときでも場所を占有しますし、何よりも衛生的に保つには手間がかかります。だから、1回の調理ごとに捨てられるものが手軽です。
「カウコレ」プレミアムのテープ付きゴミ袋なら、好きな位置にゴミ袋を設置できるので、ゴミ捨てが本当に楽になりますね。ゴミを捨てるために移動しなくていいだけでなく、不自然な姿勢を取る必要もありません。使い終わったら剥がして結んで捨てるだけ。清潔さを保つために、面倒なことが何ひとつないのがお気に入りです。
また、同じくキッチンの動線づくりの例として、ラップやアルミホイルなどの収納場所も見直してみましょう。よく使うからといって、調理台に置きっぱなしにしておくのは、見た目的にあまりよろしくありません。わかりやすく、放り込んでおくだけで片付けられ、取り出しやすい、そんな場所を定位置にするといいですね。
その点、このマグネット付ポケットは理想的ではないでしょうか。マチのおかげでゆとりがあって、ラップとアルミホイルを両方とも入れておける。ひと目でどこにあるかわかりますし、取り出しやすい。使ったあとも「ポイッ」と放り込んでおけばOKというのも面倒がなくていいですね。マグネットが裏全体に貼り付けられているおかげで、多少手荒に投げ込んでも落ちなさそうなところもグッドです。
「シンプルで面倒くさくない」がスッキリ快適な生活を続ける秘訣
今回、森山さんには整理収納のコツを中心に快適な暮らしのワザを教えていただきましたが、印象的だったのが「とにかく、探したら負け」という言葉。「使用頻度の高いものは目線の位置に、中身は外からでもわかるように、といった面倒くさくない片付けの仕組みをつくること。これだけで、生活空間をスッキリとさせ、快適な状態に保ち続けられるんです」と森山さんは語ります。
そのためのカギとなるのが、シンプルかつ実用的な整理収納アイテム。今回紹介したほかにも「カウコレ」プレミアムにはまだまだそうしたアイテムがたくさんあります。昨年12月からカウネットの通販サイトでは個人のユーザーも商品を購入できるようになりました。快適なシンプルライフのための第一歩として、まずは整理収納アイテムを探すところからはじめてみませんか?
撮影/我妻慶一