デジタル
2016/10/21 14:45

Spotifyを「Apple Music」や「AWA」と使い比べて気が付いた本当の魅力とは?

「Spotify」は、ヨーロッパ発の定額制音楽ストリーミングサービスです。2016年9月29日に日本でのサービスを開始し、日本で先行してサービスを開始していた「Apple Music」「Google Play Music」「AWA」「LINE MUSIC」と肩を並べることとなりました。この2週間使って感じた、Spotifyのほかのサービスと比較して感じた魅力をお伝えしましょう。

 

現在、日本で利用できる定額制音楽ストリーミングサービスは多数あります。そのなかでもSpotifyのライバルとみられるのは、2015年5月開始の「AWA」、同年6月開始の「LINE MUSIC」、同年7月開始の「Apple Muisc」、同年9月開始の「Google Play Music」です。これらのサービスが昨年から日本での提供を開始したことで、“定額制音楽ストリーミングサービス”が日本のユーザーにとって身近になりつつあるタイミングに、Spotifyが満を持して登場したといえます。

 

無料会員のままでストレスなく使えるサービスは?

無料会員が使える機能を比較してみると、圧倒的に「Spotify」が有利です。

↑無料会員はシャッフル再生にのみ対応。スキップ回数には制限がある
↑無料会員はシャッフル再生にのみ対応。スキップ回数には制限がある

 

「Apple Music」は3か月の試用期間が設けられているので長期間無料で利用できることは強みといえますが、3か月を過ぎれば月額980円を支払わなければ、一切の機能が使えません。

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「AWA」「LINE MUSIC」「Google Play Music」は30日間のトライアル期間が設けられています。トライアル期間の終了後、AWAの場合は無料会員でもプレイリストの視聴は可能ですが、ひと月に60分までという制限があります。LINE MUSICの場合、無料会員は楽曲をフル視聴することはできません。Google Play Musicの場合は、クラウド上に保存した手持ちの楽曲のみ視聴可能です。

 

Spotifyの有料会員のトライアル期間は7日間ではあるものの、無料会員のままでもずっとサービスが利用できます。スマホからの利用の場合はプレイリストのシャッフル再生に限られており、音声や動画の広告が3~4曲に1回流れる仕様ではあるものの、ラジオ感覚で使い続けたい人にはこれで十分といえるでしょう。

 

「プレイリスト中心」か「個別の楽曲視聴中心」かを見極めよう

前回、Spotifyはの醍醐味は、プレイリストを使ってこれまで知らなかった音楽と出会えることだとお伝えしましたが、AWAもSpotiyに近いサービスです。ただし、Spotifyはプロのスタッフがキュレーションしたプレイリストを公開しているのに対し、AWAは月額960円のSTANDARD会員になれば、ユーザー自身が作成したプレイリストを公開できるという違いがあります。

↑AWAは、1つのプレイリストに対し100曲まで楽曲を追加できるが、公開されるのは先頭の8曲までに限られている
↑AWAは、1つのプレイリストに対し100曲まで楽曲を追加できるが、公開されるのは先頭の8曲までに限られている

 

自分で短いプレイリストを作って公開したいならAWA、プロの手によってまとめられたプレイリストを長時間聴きたいならSpotifyを選びたいですね。また、Apple MusicやLINE MUSIC、Google Play Musicでもプレイリストは公開されていますが、Apple Musicは個別の楽曲とプレイリストが半々くらいの比重の印象です。LINE MUSICは、話題の新曲を聴くなど楽曲単位での視聴に向くといえるでしょう。

↑Apple Musicにはお気に入りに登録した楽曲をベースにプレイリストを自動作成してくれる
↑Apple Musicにはお気に入りに登録した楽曲をベースにプレイリストを自動作成してくれる

 

Google Play Musicのプレイリストは、時間帯に合わせたレコメンドをしてくれますが、おすすめされるプレイリストのバリエーションはやや少なめかなという印象です。

 

楽曲のラインナップに違いはある?

Spotifyは4000万曲以上の楽曲の視聴に対応していることをサービス開始時に発表していますが、ほかのサービスの現状の配信楽曲数は公開されていません。とはいえ、配信している楽曲の傾向は多少異なります。

 

まず、Spotifyは洋楽に強いラインナップとなっています。その反面、邦楽はまだまだ物足りなさを感じます。「トップ50(日本)」のチャートを見てもわかるのですが、トップ50のうち邦楽は10曲もありません。現時点では、洋楽好きのユーザーが愛用しているのかもしれません。

↑Spotifyは国別のトップ50を参照可能。日本のチャートにはまだ偏りがある
↑Spotifyは国別のトップ50を参照可能。日本のチャートにはまだ偏りがある

 

ほかのサービスで特徴的なのは、LINE MUSIC。プレイリストに含まれる楽曲を見てもわかるのですが、10代~20代が好むアーティストが多い印象です。

↑LINE MUSICのランキングを参照すると、若い世代に好まれるアーティストがランクインしている
↑LINE MUSICのランキングを参照すると、若い世代に好まれるアーティストがランクインしている

 

Apple Music、AWA、Google Play Musicに関していえば、いずれもバランスよく邦楽、洋楽が用意されています。最近はGoogle Play Musicで独占配信をする邦楽アーティストが出てきたり、Apple Musicで先行リリースの楽曲やビデオの配信も行われたりと、各サービスが独自性を打ち出しつつあります。

↑現在、スピッツは定額制音楽ストリーミングサービスのなかでもGoogle Play Musicでのみ配信されている
↑現在、スピッツは定額制音楽ストリーミングサービスのなかでもGoogle Play Musicでのみ配信されている

 

手持ちの楽曲を加えたときに管理のしやすさは?

音楽ストリーミングサービスを使うにあたって、すでにスマホに保存している楽曲をどう管理していくかも課題のひとつです。Spotify、Apple Music、AWAは端末内の楽曲もアプリ内で視聴できますが、LINE MUSICにはその機能はありません。あくまでも、LINE MUSIC上の楽曲を楽しむことを重視しているようです。

 

Spotifyは「My Music」、Apple Musicは「ライブラリ」、AWAは「Library」内の「マイミュージック」に端末内の楽曲が表示される仕様です。端末内の曲と音楽ストリーミングサービス上の曲が明確に区別されていることがわかりやすい点はAWAの魅力ですが、全部まとめて管理したいと思っている人にはSpotifyとApple Musicが便利に感じるはずです。

↑Spotifyは「My Music」→設定→「My Musicのインポート」で曲を選んでインポートできる
↑Spotifyは「My Music」→設定→「My Musicのインポート」で曲を選んでインポートできる

 

2週間使って感じたSpotifyの優位性とは?

Spotifyがほかのサービスより優れている点はどういうところでしょうか。料金に関していえば、無料で楽しめる割合がほかに比べてかなり大きくなっていますが、有料会員になるならばそれほど大きな違いはありません。楽曲は洋楽のラインナップが豊富なので、洋楽好きならオススメですが、邦楽を重視する人なら他社のサービスの方が充実しているといえます。今回試したなかで最も特徴的だと感じたのは、やはりバリエーション豊富なプレイリストの存在でしょう。

↑好みの音楽の傾向に合わせてプレイリストがレコメンドされるだけでなく、ジャンルや気分に合わせてプレイリストを選べるのもSpotifyの特徴
↑好みの音楽の傾向に合わせてプレイリストがレコメンドされるだけでなく、ジャンルや気分に合わせてプレイリストを選べるのもSpotifyの特徴

 

好みの楽曲の傾向に合わせておすすめされるプレイリストだけでなく、気分やシーンに応じた様々なプレイリストが用意されているので、自分がこれまで知らなかったアーティストや楽曲との出会いやすくなっています。色々な音楽をとにかくたくさん聴いてみたいという人や、生活のなかにさりげなく音楽を取り入れたいと思っている人にこそ、Spotifyは響くサービスだといえるでしょう。