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2025/3/7 11:00

お笑いをうつ病に処方したら効果は? 英国がまじめに試験導入

思いっきり笑って、病気も医療費も吹き飛ばせ! そんな試みが英国で国会議員の支援を受けて始まりました。

↑嫌なことは笑い飛ばせ

 

「コメディ・オン・プリスクリプション(コメディの処方箋)」と名付けられたこのプロジェクトは、同国のテクノロジー企業、クレイク・ヘルスが立ち上げました。主に孤独になって社会から孤立しているような人々に、コメディショーやイベントなどで気軽にコメディを楽しんでもらえる場をつくり、支援していこうというものです。

 

英国の国民保険医療制度「NHS」によると、イングランドでは2023年と2024年に870万人もの人々が抗うつ薬を服用し、2022年と2023年と比較すると2.1%の増加となりました。

 

同国の国立医療技術評価機構のガイドラインは、軽度のうつ病患者に対して、本人の希望がない限り、抗うつ薬を日常的に提供するべきではないと提示しています。しかし、うつ病には抗うつ薬以外の治療法がほとんどないため、実際には抗うつ薬を服用するケースが多くなってしまうのかもしれません。

 

そこで、コメディ・オン・プリスクリプションの出番です。コメディは、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールを減少させ、意欲を沸き起こすドーパミンを生成し、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンなどを放出させると言われています。

 

クレイクを立ち上げたジャクソンさんは、「コメディショーを1回見たり、コメディアンから笑いを誘う方法を子どもたちに教えてもらったりするだけで、その効果は24時間続く。間違いなく抗うつ薬よりいい」と話しています。

 

また、クレイクはこの試みにおいて、地域の精神疾患による費用をどれだけ削減できるかを見ていくそう。いずれは、コメディ業界や地域社会、政府などを巻き込んで、この取り組みが英国中に広がることを目指しています。

 

笑うと元気になることは、きっと誰もが経験して知っている事実でしょう。日本でも医療費の増加が問題になっており、「笑って元気になる」方法が治療法の選択肢として検討されてもいいかもしれませんね。

 

【主な参考記事】

Daily Mail. Is laughter the best medicine? Comedy shows could be prescribed for people on antidepressants to curb NHS costs. February 20 2025