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2025/4/4 19:00

アジア圏メーカーの勢いがすごい! 中国のBYDと韓国のヒョンデおすすめEV5選

環境に優しい乗りものとして真っ先に挙げられるのが電気自動車(EV)です。それは走行中の排出ガスがまったく出ないからです。そんな中で日本メーカーはハイブリッド車を主体として販売し、EVの販売はどちらかといえば積極的ではありませんでした。そうした中、日本国内で勢いを増しているのが中国のBYDと韓国のヒョンデです。ここでは、この両社が日本で販売しているおすすめのEVをご紹介したいと思います。

 

販売台数は世界第3位のHYUNDAI

ヒョンデは韓国の自動車メーカーで、キアを傘下に持つことで、その販売台数は日本のトヨタグループ、ドイツのフォルクスワーゲングループに次ぐ世界第3位となっています。それだけに北米や欧州に行けば、ヒョンデのマークを付けたクルマが数多く走っており、その数はもはや日本車と引けを取らないほど。それなのに日本で知名度が低いのは、2001年に一度日本市場に参入したものの、2009年に乗用車部門が撤退していることが影響しているのかもしれません。

 

そんなヒョンデが再参入を果たしたのが2022年。その際、同社は日本市場への戦略を大幅に変更しました。それは日本車が手薄となっているEVに的を絞ったことです。2022年当時、世界的にEVは追い風となっており、ヒョンデはその時流に乗るべくEVの開発を積極的に行い、その実力は欧米でも高く評価されました。

 

そうした中で、ハイブリッド車(HEV)が中心となっている日本市場には、このEVであればブランドを浸透させるチャンスがあるとの判断があったようです。その先兵として燃料電池車(FCEV)の『NEXO(ネッソ)』と共に送り込まれたのが、100%バッテリーEVの『アイオニック5』でした。その後、韓国ではガソリン車もラインナップする『コナ』をEVとして追加し、アイオニック5をマイナーチェンジしてバッテリー容量をアップ。さらにすでに予約販売を開始している小型EV『インスター』が登場する予定です(後半に解説記事)。

 

中国のEV市場ではトップシェアを獲得するBYD

一方のBYDは、中国・深圳市に本社を置くメーカーで、創業は1995年。最初はパソコンや携帯電話などに搭載するバッテリーの製造を中心としてスタートしていますが、そこで使った独自のバッテリー技術を活かし、2003年にBYD Autoを設立。ここから自動車メーカーとしてスタートしました。会社としては今年で設立30周年を迎え、自動車メーカーとしても今年で22年という若い会社です。

 

しかし、設立後はめざましい発展を遂げ、すでに中国のEV市場ではトップシェアを獲得し、日本だけでなく東南アジアや欧州など海外にも輸出することでその存在は広く知られるようになりました。日本市場にはまず2015年にEVバスなどの商用車で参入し、すでに累計350台のEVバスが走っている状況にあります。そして、2022年、満を持してEV乗用車での日本市場を果たしたのです。

 

BYDが日本市場において大きな特長としているのが、ディーラー網の充実にあります。テスラやヒョンデはEVの販売にあたり、オンラインでの販売を基本としていますが、BYDは「2025年末までにショールーム完備の店舗を100店舗以上作る」ことで、ディーラーによる対面販売を基本としたのです。2024年12月で誕生した正規ディーラーはすでに33店舗を数え、今年もその勢いは止まりそうにありません。

 

BYDが現時点でラインナップする車種は『ATTO3(アットスリー)』『DOLPHIN(ドルフィン)』『SEAL(シール)』で、今年4月には新たに『SEALION(シーライオン)7』が追加されます。また、2025年中にはEVだけでなくプラグインハイブリッド車(PHEV)の追加することも発表されました。

 

【その1】欧州チームが開発したEV

ヒョンデ

アイオニック 5

523万6000円(税込)〜

「アイオニック 5」は、デザインから足回りに至るまで同社の欧州チームが開発した、いわば生粋の欧州生まれのEVです。それだけに、外観は走りを意識した欧州車を彷彿させるデザインとなっています。

 

特にアイオニック 5 の個性をしっかりと表現しているのが「パラメトリックピクセル」と呼ばれる、デジタルピクセルをイメージしたユニークなデザインです。加えて、逆Z型のプレスラインを持ったサイドビューは、一度見たら忘れられない独創性を発揮しています。極端に短いオーバーハングは、バッテリーをフロアに置いたEV専用プラットフォーム(E-GMP)だからこそ実現できたもので、これがクラスを超える圧倒的に広い車内空間を実現。それだけに、運転席に座ると前後左右とも実に広々としていることを実感できます。

 

コックピットは大型で見やすい12.3インチのナビゲーション+12.3インチのフル液晶デジタルメーターを2つ並べて設置。そのデザインは素材からして高品質で、スイッチの感触も適度な重みがある心地よさを実感します。

↑音声認識機能付きの12.3インチナビゲーションシステムを搭載。ステアリング中央の4つのピクセルライトは、音声コントロールの際、運転手の声に反応して点灯します。

 

搭載されるバッテリーは、2024年11月の仕様変更で84kWhにまで容量をアップ。一充電走行距離をRWD車で703kmの実現することとなりました。このほか、ドライブモードに各種設定を任意で調整できる「MY DRIVE」の追加や、最上位グレードのラウンジにはドライブレコーダー、ARナビ、デジタルキー(スマートフォンやスマートウォッチで施錠・解錠・始動が可能)を装備して機能を充実させています。その走りは軽くアクセルを踏んだだけで素直に速度が上がっていき、アクセルを少し強めに踏み込むとBEVらしい強烈な加速が味わえ、これはガソリン車では絶対に得られない感覚です。回生ブレーキを使ったワンペダルも自然で、峠道でのドライブも楽にこなすことができました。

 

また、2024年2月、ラインナップに“EVスポーツカー”とも呼ぶべき『アイオニック5N』を追加。前後両軸にアイオニック5とは別のモーターを備え、最高出力は合計で609PS、最大トルクは740Nmを発生するなど、強烈なパフォーマンスを発揮してくれます。

 

【その2】未来的なスタイリングとユニークなキャラクターライン

ヒョンデ

コナ

399万3000円(税込)〜

韓国ではガソリン車も用意される『コナ』ですが、日本市場向けにはEVの第2弾として2023年9月に導入されました。ボディ形状はクロスオーバーSUVとしており、グレードは他の車種と同様、「カジュアル」「ヴォイヤージ」「ラウンジ」の3グレードを用意します。

 

そのデザインは、「アイオニック5」で採用された水平基調のピクセルを使ったラインが際立ち、その上で柔らかい曲面を組み合わせたユニークさを感じさせるものとなっています。一方で好き嫌いがハッキリ分かれるのもコナのデザインです。テールランプはがリアのホイールアーチのエンドに配置する独特のデザインで、ここに好き嫌いが分かれるのもコナらしさなのかもしれません。ボディサイズは全長4335×全幅1825×全高1590mmと十分に大きく、車内や荷室は余裕のあるスペースが確保されています。しかも、このサイズながら、その大きさをほとんど感じさせず、住宅街でも取り回しは想像以上に良い印象です。

 

低速から十分なトルクを発生するEVは走りもかなり軽快で、発進から中低速の速度域まで力強く加速していきます。走行モードは、エコ、ノーマル、スポーツ、スノーの4種類に切り替えが可能で、回生ブレーキはステアリングのパドルスイッチによって、最弱から最強まで4段階の調整ができます。“最強”に設定すれば、完全停止までワンペダルで走行することも可能です。

 

市街地走行で安心度を高めてくれたのがウインカーを操作すると、操作した側の斜め後方をメーター内に映し出す機能。要はドアミラーとカメラ&モニターの両方で確認できるもので、必要な時だけ表示されることで周囲の状況確認に貢献してくれるというわけです。また、ARナビゲーションと呼ばれる、カメラで撮影した映像に進行方向などを重ねて表示して案内するのも重宝するかもしれません。

↑開放的な水平基調のダッシュボード、12.3インチクラスターとナビゲーションディスプレイが統合した12.3インチパノラマディスプレイを採用。

 

また、2024年8月、スポーティな装備を加えた新グレード「N Line」をラインナップ。ファミリーカーテイストが強かったコナに“走り”を強く意識したデザインのグレードが追加されました。

 

【その3】海洋生物の自由さや美しさから着想を得たデザイン

BYD

ドルフィン

363万円(税込)〜

2023年9月、BYDが日本市場向け第二弾として発売したのが、コンパクトハッチバックのEV『DOLPHIN(ドルフィン)』です。実車を前にして実感するのは、思ったよりも存在感があるということです。全長4290×全幅1770×全高1550mmで、クラスとしてはBセグメントとCセグメントの中間に位置するサイズ。これは日産「ノート」や「フィット」よりも一回り大きいサイズに相当します。

 

徹底した日本市場向けのローカライズも大きなポイントです。高さを回転式駐車場制限に合わせて1550mmとしたほか、「ATTO 3」と同様、ウインカーレバーを中国本国の左側から右側に変更し、急速充電についても日本で一般的なチャデモ方式を採用。日本では装着が義務づけられている誤発進抑制システムや、各種機能の日本語による音声認識機能までも追加しているのです。

 

グレードはスタンダードな「ドルフィン(車両価格:363万円)」と、より上級な装備を搭載した「ドルフィン・ロングレンジ(車両価格:407万円)」の2種類。その違いで最も大きいのはバッテリー容量とモーターの出力で、ロングレンジはバッテリー容量を58.56kWhとし、一充電での航続距離は476㎞。一方のスタンダードはバッテリー容量が44.9kWhとなり、一充電当たりの走行距離は400kmとなります。

↑「ドルフィン ロングレンジ」。

 

駆動方式はどちらも前輪駆動のみ。サスペンションは、フロントはどちらもストラットですが、リアはロングレンジがマルチリンクで、スタンダードはトーションビームを組み合わせます。外観上は、ロングレンジにはルーフとボンネットをブラックとした2トーンカラーを組み合わせましたが、スタンダードは単色のみの選択となります。

 

その走りは、モーター出力が小さいスタンダードでも、もたつく印象は一切なく、決して速さは感じませんが、軽くアクセルを踏むだけで交通の流れに乗れるので、運転はとてもラクに感じました。一方のロングレンジは、モーターの出力の違いもあって、その力強さは絶大。走行モードを「スポーツ」に切り替えてアクセルを踏み込むと、車重が1680kgもあるクルマとは思えない圧倒的な加速力を見せてくれます。

 

【その4】ファミリーユースで使えるSUV

BYD

ATTO 3

450万円(税込)〜

『ATTO3(アットスリー)』は2023年に、ファミリーユースで使えるSUVとして日本市場に導入されたEVです。WLTCモードで470kmの航続距離を実現しつつ、リン酸鉄バッテリーを縦長に並べた独自のブレードバッテリーで高い安全性をアピールしてきました。そのATTO 3が2024年3月にアップデートされています。

 

ボディカラーに「コスモブラック」を追加し、窓枠とクオーターピラーのガーニッシュにグロスブラックを採用。リアにあった説明っぽい「BUILD YOUR DREAMS」から「BYD」へと変更されてもいます。インテリアは大きな変更はありません。個性的なデザインのダッシュボードやドアパネルはそのまま。しかし、ダッシュボードをはじめとして、全体の質感は極めて高いものとなっています。ボタン類の表面処理や手触り感、操作時の触感に至るまでとても質感が高いのです。

 

強いて難を言えば、操作スイッチの表示や、ディスプレイ上の文字が小さくて読みにくいこと。一方で中央の巨大なディスプレイは、従来の12.8インチから15.6インチへと大幅に拡大。画面いっぱいに展開されるカーナビゲーションは、ここまで必要かとも思う反面、大画面の魅力に取り憑かれた人にとっては大きな魅力となることは間違いないでしょう。さらにアップデートにより、インフォテイメントとしての機能も進化しており、専用のアプリストアを介してウェブブラウザーや「Amazon Music」が楽しめ、さらにカラオケの導入も可能となったのです。

↑流線的なデザインが特徴の室内。15.6インチの大型ディスプレイはインパクト大!

 

その走りにもアップデートは図られています。最初のバージョンに比べて、中高速域での路面追従性が進化し、フラット感が高まったようにも感じました。中でも好印象だったのが低速~停止時のブレーキタッチで、これまでよりも効き方がリニア。操舵フィールの中央が曖昧なのは同じですが、全体としては走りの質感が明らかに向上しているのがわかります。この辺りは、クルマとしてより自然なフィールを感じられるクルマに仕上がってといえそうです。

 

【その5】狭い路地や住宅地の道でも扱いやすいスモールEV

ヒョンデ

インスター

284万9000円(税込)〜

ヒョンデが2025年春以降に日本での納車を予定している新型EVが「INSTER(インスター)」です。インスターは2024年6月に韓国・釜山モビリティショーで世界初公開されたモデルで、日本で販売されるラインナップで最も小さなモデルとなります。まだ、日本仕様の正式なスペックは確定していませんが、明らかになっているデータからご紹介したいと思います。

 

インスターが持つ最大のポイントは、全長3830mm×全幅1610mmというコンパクトなサイズながら、全高は1615mmと少し高めのSUVっぽいフォルムを備えていることにあります。実はインスターは、韓国内で軽自動車規格「軽車=キョンチャ」として販売されている「キャスパー」をベースとしています。それを、全長で230mm、ホイールベースで180mm長くし、後席と荷室を広げて実用性を高めたEVとして登場しているのです。

 

驚くのはその価格です。グレードは「カジュアル」、「ラウンジ」、「ヴォイヤージ」と3グレードあり、ベース車である「カジュアル」はなんと284万9000円! まだ、補助金額が決まっていませんが、仮に55万円が認められれば、実質223万円を下回る可能性が高いのです。しかもEVで重要なスペックとなるバッテリー容量はカジュアルで42kWhと、日本の軽EV「SAKURA」の2倍以上! 航続距離も間違いなく300kmを超えてくるでしょう。

 

充実した装備も大きなポイントです。緊急時SOSコールやセントラルドアロック、タイヤ空気圧モニターなどは全車に標準装備。上位グレードのヴォイヤージ(車両価格:335万5000円)、ラウンジ(車両価格:357万5000円)ではバッテリー容量が49.0kWhに増えるのと共に、ACCやブラインドスポットモニターなどが装備され、最上位のラウンジにはシートヒーター&ベンチレーション機能、スマホ用ワイヤレスチャージ、デジタルキーまで備えているのです。

↑大画面の10.25インチナビゲーションとベンチタイプのフロントシート。助手席フルフォールディングやリヤシートスライド機構で、使いやすい室内となっている。

 

ただ、インスターは韓国で軽自動車規格をベースにしていることもあり、定員は4名。しかし、そのサイズから日本では登録車のカテゴリーに入ってしまいます。それでも補助金を考慮すれば300万円前後で手に入れられるわけで、300kmを超える航続距離を達成できるEVは現状ありません。その意味でも日本での期待度はかなり高いEVといえるでしょう。

 

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