直したい箇所はあるけど、相場がよくわからないしお金もかかりそう……と、住宅リフォームって二の足を踏みがち。でも、窓や給湯器など省エネ関連のリフォームは、条件を満たせばオトクな補助が受けられるケースもあるのだ!
ハードルが高い印象があるが、補助金が使える場合が多い
昨今の物価・エネルギー価格の高騰により、省エネ対策のリフォームへの注目が高まっている。とはいえ、リフォームはなんとなくハードルが高いというイメージが拭えないのも実情だ。2023年4月、ホームセンターチェーンのコメリが400人(30〜60代男女)を対象に行った「リフォームに対する意識調査」によると、省エネ対策のリフォームをしたいと考えている人(全体の48%)のうち、「リフォームをしたいができない」という人の割合が64.8%に。
その理由のトップ3が、「金銭的に難しい」、「業者選びが難しい」、「敷居が高い」というものだった。省エネ対策のリフォームへの需要が高まっている一方で、実際に行動を起こす人は多くないことが判明している。リフォームのハードルが高いと感じるのは、不明瞭なことが多い点と金銭的な不安があるからだろう。実際に前述の意識調査でも、「見積もりの相場や価格がわからない」、「工期がどれくらいかかるのか」、「会計が不明瞭」などの不安要素がハードルの高さにつながっていることがわかっている。
相場や価格、工期への不安以前に、いったいどこへ・どのように依頼するのか、何から始めれば良いのか悩んでしまう人も少なくなさそうだ。リフォームは、専門会社、ハウスメーカー、住宅設備メーカー、工務店、設計事務所などに依頼するのが一般的。大手で安心感を重視したいならハウスメーカーが、すでに希望の商品や好きなメーカーがあるなら住宅設備メーカーに依頼するのがオススメだ。パナソニックやTOTO、LIXILなどの住宅設備メーカー大手は自社製品を取り扱う工事店とのネットワークを持っており、契約前後のやりとりもスムーズになる。
費用や工期については、リフォームの部位や工事の規模によってさまざま。需要の高い水まわりでいうと、キッチンが50〜200万円前後、浴室が50〜150万円、トイレが20〜50万円程度が相場だ。実際に改修を行う前に、見積もり金額とその内訳について詳しくヒアリングすると良いだろう。
費用については、さまざまな補助金制度や減税があり、ガクッと出費が減るケースも。最も注目すべきが「住宅省エネ2025キャンペーン」である。これは国土交通省・経済産業省・環境省による住宅の省エネ化支援強化のための補助金制度。「先進的窓リノベ2025事業」、「子育てグリーン住宅支援事業」、「給湯省エネ2025事業」、「賃貸集合給湯省エネ2025事業」の4事業が実施され、併用すれば200万円以上の補助を受けられる。こういった制度を賢く活用すれば、リフォームのハードルもグッと下がりそうだ。
リフォームの基本的なダンドリ
リフォームの目的を明確化する
現状の住まいの不便な点や不満な部位を書き出してみて整理。リフォームの実例なども参考にしながら、どんなふうに改善したいのかもじっくり考えてみよう。この段階では予算は度外視して、より具体的に考えてみることでリフォームの優先順位や予算が決めやすくなる。
リフォーム会社を選定する
専門会社、ハウスメーカー、住宅設備メーカーなど、3社ぐらいに絞って資料請求や問い合わせをしてみよう。見学会やショールームに足を運んでみるのも◎。国の補助金の対象となり得る箇所を改修する場合は、登録事業者となっている会社かどうかも要チェック。
工期や申請書類を確認し、着工
現地調査や見積りが済みプランを具体的に決めたら、正式な見積明細書と実施設計図をもらって本契約。契約後の大幅な変更は困難なので、内容や契約書類はよく確認しよう。着工と完成日以外に、工事期間中の開始時間・終了時間もチェックしておくと良い。
リフォームにかかる費用と目安
商品代と工事費用以外にも、思わぬところで出費は発生
改修の規模にもよるが、リフォーム費用の平均は戸建てで471.6万円、マンションで278.6万円(※1)。リフォーム検討時の予算よりも実際の費用のほうが上回ることが多いそう。「商品代」と人件費、処分費、養生費などを併せた「工事費」のほかにも、税金、リフォーム後の家財購入など出費が発生することも押さえておきたい。
※1:出典:「住宅リフォームに関する消費者・事業者に関する実態調査 結果報告書(2022年度)」一般社団法人住宅リフォーム推進協議会。
使える!対象になりやすい主な補助金制度
「住宅省エネ2025キャンペーン」のうち注目度の高い3事業をチェック。上手に活用して賢くリフォームしよう!
【その1】子育てグリーン住宅支援事業
“子育て”世帯でなくても補助が受けられる!
2025年に新築(注文、分譲住宅含む)、住宅リフォームで活用できる補助金制度。“子育て”とあるが、条件を満たした全世帯が申請対象だ(登録事業者との工事請負契約が必要)。(1)開口部(窓やドア)の断熱、(2)外壁・屋根・天井・床の断熱、(3)エコ住宅設備の設置、3種すべての改修を行うと、一戸あたり上限60万円まで補助を受けられる。

【その2】先進的窓リノベ事業
窓だけでなく玄関ドアも!最大で200万円の補助
住宅の省エネ性能向上のため、窓の断熱改修を行う際の費用を一部補助。内窓の設置、外窓の交換、ガラス交換が対象で、サイズやグレードによって補助金額が変動する。窓リノベ事業者と契約し24年11月22日以降に着手した工事が対象で、申請受付は25年3月下旬から開始。
【その3】給湯省エネ事業
給湯器の寿命や故障で買い替えを検討してる人は要チェック!
先進的窓リノベ事業者と契約して行うエコキュート(ヒートポンプ給湯機)、ハイブリット給湯機、エネファーム(家庭用燃料電池)のいずれかを導入する工事費用の一部を補助。補助金の金額は細かく定められており、条件によって1台あたり5〜20万円が補助される。
補助対象となる給湯器
1)ヒートポンプ給湯機(エコキュート)
2)電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)
3)家庭用燃料電池(エネファーム)