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2025/5/1 19:45

キヤノンやシグマの最新機種に大行列!「CP+」から読み解く、7メーカーの注目製品とカメラトレンド

日本最大の「カメラと写真映像のワールドプレミアショー」を取材!主要メーカーを中心に、2025年のカメラトレンドを読み解いてみる。

 

CP+はどんなイベント?
年に一度開催されるカメラ関連の総合展示会

「CP+」とは、カメラに関するすべてを扱う展示会。個人・企業どちらも対象になっている。2009年までは「フォトイメージングエキスポ(PIE)」として開催されていたが、2010年からは主催団体が変わり「CP+」として再出発した。

↑会場はパシフィコ横浜。今年のテーマは「Visualize Your Story」で、キービジュアルの撮影を写真家の横浪修氏が担当。モデルは桜子氏。

 

【キヤノン】目的の被写体を「つかみ続ける」強力なAF機能をバスケで体験!

「EOS R1」「EOS R5 Mark II」の展示では、「サッカー」「バスケットボール」「バレーボール」の競技で“シュートしている選手”、“スパイクしている選手”などに自動でピントを合わせる「アクション優先」機能を、実際のバスケット練習を撮影して体験できた。

 

映画のような雰囲気のVlogも、作り込む静止画もこれ一台で

PowerShot V1
実売予想価格:14万8500円(税込)

ハイエンドなコンデジ。光学/電子手ブレ補正を搭載。内蔵マイク用ウィンドスクリーンが付属し、強風によるノイズを低減してくれる。顔ではなく「モノ」のほうにピントを合わせてくれる「レビュー用動画」モードが便利。

SPEC●センサー:1.4型CMOS ●総画素数:約2390万画素 ●焦点距離:8.2~25.6mm(35mm判換算約16~50mm相当。静止画撮影時)●常用ISO感度 ISO100~ISO32000(静止画) ●液晶モニター:3.0型TFT式カラー液晶 ●サイズ/質量:約W118.3×H68×D52.5mm/約379g(本体のみ)

 

↑冷却フロー。センサーやチップなど発熱の大きい部品を冷却し、左上部2か所から排気する。動画撮影時の過熱を防ぎ、長時間撮影が可能に。

 

↑EOS 「R1」「R5 Mark II」「R3」に搭載される、視線入力AF。ファインダーを覗くと瞳の動きが検知され、見ているところにAFフレームが移動する。眼鏡をかけていてもOK。

 

↑フルサイズミラーレス機「EOS R1」「EOS R5 Mark II」。「アクション優先」機能で、多くの選手が交錯するような競技でも、注目すべき動作をしている選手にピントが合う。

 

【ソニー】豊富なボディとレンズが用意され、スポーツからポートレートまで撮影を体験

ひときわ広かったソニーブース。12~24mmの超広角ズームレンズから400~800mmの超望遠ズームレンズまで試用でき、カメラボディも豊富。ボディやレンズそれぞれの特性をチェックできるスポーツの試技やモデル撮影などのコーナーも豊富に用意されていた。

 

大口径の明るいレンズながら小型軽量で携帯しやすい

大口径超広角単焦点Gレンズ
FE 16mm F1.8G
参考小売価格:13万6400円(税込)

非常に広い範囲を写し取ることができる超広角レンズ。最短0.15m(AF時)の近接撮影ができ、ボケを生かした撮影ができる。広角レンズだが周辺部まで高い解像性能を持ち、全体を高精細に描写できる。AFが高速で、動画撮影にも強い。

SPEC●マウント:ソニー Eマウント ●焦点距離:16mm ●レンズ構成:12群-15枚 ●開放絞り:F1.8 ●最小絞り:F22 ●フィルター径:67mm ●サイズ/質量:Φ73.8×D75mm/約304g

 

●絞り値F1.8

↑絞りを開放した(まったく絞らない)F1.8での撮影。ピントの合う範囲が狭くなり、手前の花だけにピントが合うのでボケを際立たせることができる。

 

●絞り値F22

↑最大に絞り込んだF22での撮影。ピントの合う範囲が広くなり、手前から奥までクッキリ撮れるため、情報量の多い写真になる。

 

↑フラッグシップモデル「α1 Ⅱ」と「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」の組み合わせで撮影を体験。ズーム全域で開放F2.8から画面周辺部まで、高い解像性能を実現している。

 

↑スポーツ撮影体験のコーナー。会場を囲むように用意されているカメラとレンズで、「剣道」「テコンドー」「トリッキング」の撮影ができた。カメラもレンズも種類が豊富だった。

 

【ニコン】新製品と新たな機能で表現の幅を広げられる!

「Z6III」や「Z50II」に搭載された、写真の色味を多彩に調整できる「イメージングレシピ」機能。その機能を存分に試せるよう、カラフルな被写体の並ぶ撮影コーナーが用意されていた。クリエイターが作成したレシピでの作例も豊富に展示され、来場者から注目されていた。

 

望遠側3000mmまでカバー! 驚異の125倍ズーム

COOLPIX P1100
ニコンダイレクト参考価格:14万9600円

広角から超望遠まで対応するレンズを内蔵したカメラ。約1cmでもピントが合う「マクロAF」や、4K UHDでの動画撮影も可能。モードダイヤルに「鳥モード」「月モード」が用意されており、必要なときに素早く切り換えられる。

SPEC●センサー:1/2.3型原色CMOS ●総画素数:1679万画素 ●焦点距離:4.3~539mm(35mm判換算約24~3000mm相当) ●ISO感度 ISO100~ISO1600 ●液晶モニター:3.2型TFTカラー液晶 ●サイズ/質量:約W146.3×H118.8×D181.3mm/約1410g(電池・カード含む)

 

↑手ブレを高度に軽減する「デュアル検知光学VR」は、なんと4.0段分もの補正が可能。手持ちでの望遠撮影でもブレを抑えられる。

 

↑野鳥を美しく撮影できる「鳥モード」。AFを「スポット」や「ワイド」などから選べるため、鳥の位置に応じた自由な構図が可能だ。(c)半田菜摘

 

↑レトロ調のヘリテージデザインが特徴の「Zf」は、外装を6色から選んで張り替えられる「プレミアムエクステリア」サービスを適用したボディが展示されていた。

 

↑「色味」の加工設定を自分で作成したり、クリエイターが作成した設定を利用できる「イメージングレシピ」機能。古びた写真やビビッドな写真などを自在に作成できる。

 

【パナソニック】高度な映像制作やスマホ連携などアプリも充実

2024年発売のフルサイズ機「LUMIX S9」や、発売前の「LUMIX S1R MarkII」が展示され、注目を集めていた。ドラマやドキュメンタリーのような映像の制作を支援するスマホアプリ「LUMIX Flow」の体験では、実際にアプリを使って映像制作の体験が可能だった。

 

被写体を逃さないA‌F性能と、超高解像度イメージセンサー

LUMIX S1R MarkⅡ
実売予想:47万5200円(ボディ)

4430万画素イメージセンサーと、ライカと共同開発の画像処理エンジンにより、緻密かつ自然な仕上がりを実現したデジタル一眼カメラ。手ブレ補正は8.0段ぶんの補正が可能で、望遠の手持ち撮影でも手ブレを抑えられる。

SPEC●センサー:35mmフルサイズCMOS ●総画素数:4590万画素 ●ISO感度 ISO80~ISO51200(通常) ●液晶モニター:3.0型TFTカラー液晶 ●サイズ/質量:約W134.3×H102.3×D91.8mm/約795g(電池・SDメモリーカード1枚含む)

 

↑ミラーレス一眼カメラ「LUMIX DC-GH7」は、冷却ファンの効果を最大限に生かす放熱構造によって、動画の長時間連続撮影が可能。CP+が開催されている79時間もの間、連続撮影するチャレンジが行われていた。

 

↑ピントを合わせつつ秒間約40コマの連写が可能。高速追随する像面位相差AFと、AIによる被写体認識で、高速に動く被写体も正確に捉える。

 

↑新開発のイメージセンサーは、4430万画素裏面照射型CMOS。毛髪や植物など、細かい描写が必要な被写体も高精細に描くことができる。

 

【富士フイルム】ほとばしる「フィルム愛」とデジタル技術との融合を体感

デジタルカメラの「フィルムシミュレーション」による色再現力を体感できるコーナーや「instax WIDE Evo(TM)」の特徴である、100段階で調整できる10種類のレンズエフェクトと10種類のフィルムエフェクトの機能を試すコーナーを展開。様々なカメラと被写体で撮影を楽しめた。

 

「フィルム写真」を手軽に味わえるカメラ

“チェキ” instax WIDE Evo
実売価格:5万5000円

カメラ背面のモニターを見ながら撮影し、好きな画像を選んでプリントできるカメラ。横長の「ワイドフォーマットフィルム」に対応し、スマホやデジタルカメラで撮影した写真のプリントも可能となっている。

SPEC●センサー:1/3型CMOS原色 ●記録画素数:4608×3456ピクセル(広角スイッチONかつmicroSDカード使用時) ●焦点距離:16mm(35mm判換算) ●ISO感度:100~1600 ●液晶モニター:3.5型TFTカラー液晶 ●サイズ/質量:W138.7×H125×D62.8mm/約490g(本体のみ)

 

↑GFX/Xシリーズの最新機種も体験可能。舞い踊るダンサーを被写体に撮影体験し、動きを捉えるだけでなく瞳を捉えてピントが合う機能を実感できた。

 

↑エフェクトの度合いを調整するレンズリング(左)、エフェクトを切り替えるダイヤル(中)、手動で巻き上げるクランク(右)を備える。

 

↑instax(TM)の展示コーナー。instax(TM)のロゴが目立ち、製品ラインナップがズラリと並ぶ入口が印象的だった。もちろん体験コーナーもあった。

 

【OMシステム】常時開催の使いこなし講座で何度も立ち寄りたくなる

撮影体験ブースは中央部に「森」が作られ、中には何羽もの野鳥(模型)が。その光景を、周囲にぐるりと設置された何種類ものレンズ+ボディで撮影できた。プレゼンテーションコーナーでは、プロカメラマンによる製品機能の使いこなし解説が常に行われていた。

 

フラッグシップと同等の性能で500gを切る軽さを実現

OM SYSTEM OM-3
実売価格:26万4000円(ボディ)

往年のフィルム一眼レフカメラ「オリンパス OM-1」の設計思想を継承。撮影後の画像処理を、カメラ本体内でできる「コンピュテーショナル フォトグラフィ」機能や、複数枚の撮影を合成し高解像写真を生成する「ハイレゾショット」機能を搭載。

SPEC●センサー:4/3型 裏面照射積層型 Live MOS ●総画素数:約2293万画素 ●ISO感度: LOW(約80相当、100相当)、ISO200~ISO102400 ●液晶モニター:3.2型TFTカラー液晶 ●サイズ/質量:約W139.3×H88.9×D45.8mm/約413g(本体のみ)

 

↑体験ブースでは単焦点の広角レンズや100〜400mmの超望遠レンズなど、多彩なレンズでの撮影を試すことができた。右端に見えているのが、被写体となっていた「野鳥のいる森」。

 

↑クリエイティブダイヤルを装備。「カラープロファイルコントロール」「カラークリエイター」など、調整機能をすぐ呼び出せる。

 

↑重厚な質感のダイヤルやスイッチが並び、往年の名機を思わせる軍艦部(本体上面の操作部)。画面で操作するより確実でもある。

 

↑「オリンパス OM-1」の影響を受けた「OM-3」ボディのモックアップ。ペンタ部の形状や、ボディの両サイドを角張らせることで、握った際に手に馴染む工夫が施されている。

 

【シグマ】シンプルなフルサイズ一眼と高コスパレンズに行列ができる

シグマのブースは、まるでモンゴルの住居「ゲル」のような巨大な円筒形のテント。そこに、初日の接待者やプレス限定の時間帯から長い列ができる人気ぶりだった。2月に発表されていたフルサイズデジタル一眼の「BF」を試すことが目当てだったと思われる。

 

シンプルさと高性能をともに極限まで追求

Sigma BF
参考小売価格:38万5000円(ボディ)

スイッチ類を最小限に抑え、シンプルなデザインを実現した。撮影設定値をサブモニターに表示することで、メインモニターには撮影プレビューだけを表示して撮影に集中できる。最大6Kでの動画撮影も可能。

SPEC●センサー:35mmフルサイズCMOS ●総画素数:2530万画素 ●ISO感度 ISO100~ISO102400 ●液晶モニター:3.15型TFTカラー液晶 ●サイズ/質量:約W130.1×H72.8×D36.8mm/約446g(電池含む)

 

↑BFの発売に合わせ、新しく9本のレンズも発売。カラーリングは、BF本体色に合わせてブラックとシルバーの2種類が用意される。

 

↑Sigma BFは大人気。列に並んでシグマのブースに入れたあとも、BFを試用するために順番待ちをしなければならないほどだ。レンズとBFを組み合わせて実際の撮影を体験できた。

 

↑ズームレンズの「Sigma 16-300mm F3.5-6.7 DC OS Contemporary」も人気だった。これ1本あれば、広角から望遠までほとんどの撮影ができてしまう。実売価格11万8800円。

 

※「GetNavi」2025月5月号に掲載された記事を再編集したものです