Apple Storeでは、Apple製品の基本操作からアプリケーションの使い方など、さまざまなことを学べる無料のワークショップが定期的に開催。Appleは特に教育分野に注力しており、小学・中学生向けのプログラムも用意されています。
1月25日には、子ども向けプログラム「フィールドトリップ」がApple銀座で開催され、茨城県古河市立上大野小学校の6年生20人余りが参加しました。昨年には同小学校の4年生から6年生が参加してiPhoneアプリを作り、完成したアプリはApp Storeで販売されているそうです。今回はApple Storeのスタッフにレクチャーを受けながら、iPadで動画の撮影と編集に挑戦しました。
実際に作業を始める前に、まずはおそろいのTシャツを授与。AppleのリンゴマークがスタイリッシュにデザインされたTシャツを参加者全員が着用し、一体感を高めます。
動画撮影から編集までを学ぶ
続いて、本日の作業行程についてスタッフから説明。今回のテーマは、ことわざを劇として動画で表現するというもの。会場でグループごとにiPadを使って撮影を行い、iMovieでつなぎ合わせ、タイトルや効果音などを挿入して編集し、1分ほどの動画にまとめます。トータル1時間半程度のフィールドトリップで、時間内に各種作業を終えるタイムマネジメントも重視されています。
生徒たちは、被写体にフォーカスを合わせることや明るさを調整する方法、できるだけ被写体に近づいて撮影すること、つなぎ合わせるときのために演技の最初と最後に空き時間を数秒入れることなど、撮影のコツを教わり、撮影を開始。会場は一般客も入れる場所でしたが、生徒たちは事前に用意したシナリオをもとに、元気いっぱい演技と撮影を行っていました。
15分程度で撮影が終わると、今度はiMovieで編集です。撮った動画をシナリオの順に並べ、トリミングして時間を調整。タイトルを付けて保存します。多機能なiMovieですが、生徒たちはかなり操作に慣れた様子。編集に使える時間も短時間でしたが、楽しそうに映像を編集していました。
力作揃いの作品が完成
編集が終わったら、1080pのHD解像度で保存。スタッフのMacBookにAirDropで作品をワイヤレス送信する予定だったのですが、力作が多く大容量だったためか通信がうまくいかず、AirDropでの共有は断念。しかし、無事にすべての動画が完成し、スクリーンで上映会が行われました。
製作時間が短時間で、映画の試写室のような薄暗い場所での撮影でしたが、効果音を挿入したり、動画クリップのつなげ方に凝ったりして、立派な“ことわざ動画”が出来上がっていました。上映後には、感想や工夫点などを発表するのですが、撮影時に手が震えて困ったという感想や、笑ってしまって演技が難しかった、編集が楽しかったという声もありました。
IT教育は今後ますます重要に
生徒たちを引率していた、古河市教育委員会が任命したICTエバンジェリストでもある薄井直之先生にお話をうかがったところ、上大野小学校はIT教育に注力しており、生徒それぞれに1台ずつiPadを与え、ほぼすべての教科で広く活用しているそうです。学校が与えているiPadはセルラー版で、機能制限によってSafariを使うことはできませんが、各種アプリを使って調べ物ができるようにしています。生徒たちのiPadに関する知識は深く、プログラミングの経験がある生徒も5、6人いました。
教師にとっても、教材をデジタルデータで配布できるので、紙にプリントする手間が省けること、修学旅行でもiPadを持ち歩くので「iPadを探す」機能で生徒たちの行動を把握できるといったメリットがあるということでした。一方で、生徒たちが自在にiPadを使いこなしている様子とは対照的に、教師の中にはデジタル機器になじめない人もまだ多いそうです。
報道関係者もいるなかで、元気に気負いなく演技し、iPadを自然に使いこなしている小学生たちは非常に頼もしく感じられました。iPadを入り口にパソコンなども使いこなし、将来、画期的なアプリやサービスを開発してくれる人が、このAppleのフィールドトリップから生まれてくるかもしれません。
今回は学校単位での参加でしたが、個人で申し込めるプログラムも用意されていますので、お子さんにデジタル機器の使い方を学ばせたいという方は、ぜひAppleのサイトをチェックしてみて下さい。