SNSで発表され、現在「webComicアパンダ」で連載中の同名人気ホラーコメディ漫画を実写映画化した『見える子ちゃん』が6月6日(金)より全国公開。ある日突然霊が見えるようになったが、見えないふりをして生活する主人公・みこを原 菜乃華さんが演じている。じつは怖いものが大の苦手という原さん。怖いことがバレないようにする演技が難しかったそうで、撮影の裏話をいろいろ教えてくれた。

【原 菜乃華さん撮り下ろし写真】
これは『見える子ちゃん』のテンポ感だ! 撮影に入るのがすごく楽しみ
──もともとホラーや怖いものが苦手だとか。『見える子ちゃん』のオファーを受けたときの心境はいかがでしたか?
原 ホラー作品はちゃんと見終えたことがないくらい苦手です。でも『見える子ちゃん』は、原作を読んでいたよく知っている作品なので、「出たい!」という気持ちが強くありました。ホラーだけではなくコメディ要素も強い作品なので、「これなら私でも……」と思いました。
──原作と脚本を読んだ感想を教えてください。
原 原作を読んだときに、コメディとホラーがミックスしたような独特のテンポ感があって、シュールで面白いなって思いました。もちろん脚本は原作と違う部分もありますが、漫画の独特なテンポ感と面白さがそのまま表現されていて、「これは『見える子ちゃん』のテンポ感だ!」って一瞬でわかる脚本だと思いました。だから撮影に入るのがすごく楽しみで。間違いなく『見える子ちゃん』の実写化です! と胸を張って言える作品になる予感がして、すごくうれしかったです。
──突然霊が見えるようになった女子高生・みこを演じる上で意識したことはありましたか?
原 私が演じたみこは霊が怖いけど、怖がっていることをバレないように振る舞っています。でも映画を観る方には、ちゃんとみこの恐怖の感情が伝わらないといけない。だから霊に対する恐怖と、それを悟られてはいけないから隠す、その塩梅が難しかったです。他にも見てくださる方を驚かせなきゃならない芝居が必要な場面があって。そこは映像として見えている状況と、みこの内側の感情で、まったく違うものを出力しなきゃいけなかったので難しかったですね。
──あんばいは中村義洋監督と話し合って調整されたのでしょうか。
原 最初から最後まで、監督とお話しながら細かく演出をつけてもらいました。でも意外とバンッとわかりやすい演出で驚くところはなくて。それでも怖がっているお芝居をしなきゃいけないので、監督からは「目線のちょっとした動きや瞬き、そういう本当に細かな部分でみこの恐怖は伝わるから」と教えていただきました。「スクリーンを見るお客さんと、みこが見えている景色は同じだから、安心して抑えた芝居をして大丈夫」と言っていただいて、なんとなくお芝居の方向性が決まっていきました。私の中にホラー作品は感じている恐怖を全面に出すお芝居を出すという、勝手なイメージがあったんです。撮影初日に自分の中ではだいぶ抑えたお芝居をしているつもりなのに、監督から「もっと抑えても大丈夫」と言われて。それで見ている方に伝わるのか、最初はすごく不安でしたけど、監督の言葉のおかげで、不安な気持ちがなくなりました。
──撮影中、霊の姿は見えていたのですか?
原 はい、霊の格好で目の前にいらっしゃいました(笑)。
──霊の格好をしている方を見て怖くなかったですか?
原 意外と大丈夫だったかもしれないです。でもツトムくんという小さい男の子の霊は怖かったかも(ツトムを演じた木下瑛太くんは)すごくかわいくて、ずっと歌っていて、たくさん話しかけてくれました。私の膝に座って一緒にゲームしたり楽しく遊びましたけど、霊のメイクをして近くでニッと笑われると、一瞬心臓がヒュッとなりました。
──みこと両親との関係性についてはどう思われましたか?
原 みこは周りへの愛が深い子だなと思いました。感情をすごく表に出すようなキャラクターではないけど、常に「人のために」ということを原動力に動いている子で。その理由がお父さんとお母さんに全て詰まっているような、温かい家庭なんだろうなと思いました。
おふたりがいらっしゃることで、青春モノを撮っているんだな
──文化祭について話し合う様子を見ると、クラスでの立ち位置もそんな感じかもしれませんね。
原 文化祭の出し物はハナがやりたがっているから、おそらくそれに寄り添ってあげているんだと思います。みこ自身はそんなに前に出るようなキャラクターじゃなくて、常に人のことを考えて動いてる子なんだなって思いました。
──久間田琳加さん演じるハナとの友情も素敵でした。
原 素敵ですよね。私にはできないなと思いました。みこは友達を守るために、いろいろと行動を起こしていくので。私ならここまでの度胸を持ち合わせていないなって。みこは人のためならどこまででも動ける子なんだな、そこがすごくかっこいいと思いました。
──現場の雰囲気はいかがでしたか?
原 同年代の方が多かったので、本当に学校の休み時間みたいで、和気あいあいとしていました。
──学生時代を思い出したりしました?
原 しましたね。現場であったかいスープを用意していただいたので、みんなで取りに行って。お弁当も「何がおいしい? どれにする?」って話しながら選んで、控え室で食べたんですけど、高校のお昼休みを思い出すなーと思いました。
──久間田さん演じるハナ、なえなのさん演じるユリアとみことの友情も見どころだと思うんですが、おふたりと共演した感想は?
原 おふたりがハナとユリアで良かったなって思っています。群馬に泊まり込んでの撮影で、撮影期間中にご飯にもたくさん行きました。おふたりといるときはすごく楽しかったです。ひとりの撮影だとちょっと寂しくなるくらい。おふたりがいらっしゃることで、青春モノを撮っているんだなって感覚にもなりました。
京本さんは虫がすごく苦手みたいで、かっこよく俊敏に避けていらっしゃいました(笑)
──先生役で京本大我さんも出演されています。ちょっと挙動不審な感じの先生役で、こういう京本さんを好きな方も多いだろうなと。
原 撮影日数的にはそんなに多くなかったけど、たくさん話しかけてくださいました。撮影場所は虫が多かったんですが、京本さんは虫がすごく苦手みたいで、かっこよく俊敏に避けていらっしゃいました(笑)。虫を避けるときも先生はかっこいいんだなって思いつつ……、すごく面白かったです。私が立っている側の壁に虫がいたことがあって、「なんかいる!」って私が言ったら、京本さんが怖がりながらもパッと追い払ってくださったので「先生!」って思いました(笑)。
──原さんご自身の怖いものは何ですか?
原 いっぱいあります。ジェットコースターに乗れないですし、虫も苦手です。おばけも怖いですね。
──ということは、遊園地は楽しめないタイプですか?
原 雰囲気や遊園地という場所は好きですけど、怖いアトラクションはちょっと……。でもお仕事で乗るとなったら、もうやるしかないってなると思います。
──もしみこのようにある日突然霊が見えるようになったら原さんならどんなリアクションをすると思います?
原 なんか……無視するのが本当に良いらしいので、いないものとして過ごすかもしれないです。でもある日突然ですもんね。私はもうダメかな。一旦泣き叫ぶと思います。きっとパニックを起こします(笑)。
お香を焚きながら本を読んだり、アニメーションを見たり
──それではここからはモノやコトに関する質問をさせてください。最近ハマっているモノはありますか?
原 最近お香を集めています。春なら桜とか期間限定の香りだったり、自分の好きな匂いのお香を買って焚くのにハマっています。
──もともと香りものはお好きですか?
原 好きです。ルームフレグランスだったり、そういうものの延長線上で好きな香りを見つけて買ったらすごくハマってしまいました。
──好きな香りの系統は?
原 ウッディー系が好きです。でも、そもそもお香の香りが好きなんです。休みの日は家にいることが多いので、お香を焚きながら本を読んだり、アニメーションを見たりする時間がリラックスできる時間になっている気がします。
──これから夏になっていきますが、やってみたいことはありますか?
原 SUPやラフティングをしてみたいです。あとパラグライダーもいいな。
──けっこうアウトドア派なんですか?
原 いえ、すごくインドアなんですけど、昨年か一昨年か家族旅行に行ったときに激流下りをしたんです。それがすごく楽しくて! 夏じゃないと水辺の遊びってできないから。地方に住んでいる友達がいて、その子の住んでいる場所の近くでできるらしいので、夏になったらやろうねって約束しています。
見える子ちゃん
6月6日(金)より全国公開
原作:泉朝樹『見える子ちゃん』(MFC/KADOKAWA刊)
脚本・監督:中村義洋
音楽:堤博明
主題歌:BABYMONSTER「Ghost」(Sony Music Labels Inc.)
出演:原 菜乃華、久間田琳加、なえなの、山下幸輝、堀田茜、吉井怜/高岡早紀、京本大我、滝藤賢一
配給:KADOKAWA
(C)2025『見える子ちゃん』製作委員会
撮影/映美 取材・文/佐久間裕子 ヘアメイク/馬場麻子 スタイリスト/山田安莉沙