覗けば深い女のトンネルとは? 第11回「鉄板出会いシーンで女の萌えを考える」
少女マンガ鉄板の「出会いシーン」ってなんでしょうか。遅刻しそうな女子が口に食パンくわえて走ってるところにイケメンと衝突……というのは例としてよく出ますね。が、実際には見たことないです(リアルはもちろんマンガでも)。元ネタ何なんだろうなあ。
和久井的「少女マンガにおける頻出出会いシーン」は、「突然の雨に困っている女子に傘を差し出すイケメン」ですね。これは結構よく見かけます。だいたい、感情が動くシーンって雨が降ってくるものだし。
さてこの出会いシーンを参考にして、女の萌えを考えてみましょう。男性のみなさん、突然の雨に困っている女子がいたとしましょう。そしてあなたは傘を持っています。さあ、どうしますか?
これ、正解できたらそうとうモテモテだと思います!! ちなみに、テレビの打ち合わせでこの話をしていて、正解をいったらけっこう男性スタッフからブーイングされました。
答えは「女子に傘を差し出し、自分は雨の中を走って帰る」です。
「相合い傘じゃないのか!」という意見がありましたが、「出会い」ですよ、これ。知らない男子にいきなりそんな接近されたくないです。
ただし、相合い傘がOKな場合もあります。それは「傘をめいっぱい女子の方へ差し向け、自分は半分濡れる」「距離が短い」場合です。
ここからわかるのは、女は男の自己犠牲の精神に萌えるってことなんですね。
出会い頭に相合い傘を提案してくる男子……女子にフンカフンカしたいだけかもしれません。女子が可愛い子ならなおさら、そういう男子の下心に触れる機会がたくさんあることでしょう。「ヤダこの人、キモい!」「だったら濡れて帰る方がマシ!」と思うかもしれません。
だけど、自分が率先して濡れることで、下心がまるっとカバーされるんです。傘は彼女にあげたものと思ってください。ひたすら下心を隠すんです。彼女はあなたを探してくれないかもしれません。濡れて帰って風邪を引いて、傘を失い、彼女からのアプローチもなく、徒労に終わるかもしれません。だけど、だからこそ少女マンガ的にはたいへんな萌えなんですよね。だって、無駄になるかもしれないことをされるのが女子萌えだから!
ところで、「モテる女の秘訣」みたいなのに、「ハンカチは2枚持て」というのがあるそうです。1枚は自分用、もう1枚は男子に差し出すようなんだそうな。雨で濡れた服を拭くのにも使うとか。すごい女子っぷりでびっくりです。和久井もしょっちゅうハンカチ2枚持ってますが、カバンに入れっぱなしだったのを忘れていただけなので、人には貸しません。
ハンカチ2枚持ちするくらいモテ志向の高い女子が置き傘を持ってない、なんてことがあるのでしょうか。むしろ傘も2本持っていそうです。傘のない女子はそこそこおおざっぱかもしれません。それでもよければぜひ濡れて帰ってください。
とまあ、なんでこんな話を思い出したかというと、いま、たいへんな高熱を出しててですね。世の中はバレンタインなんとかで盛り上がってるわけですよ。「体調を崩すとパートナーが欲しくなる」とかいいますが、ああ、確かにいま、誰か看病してくれたら楽……。いや、待てよ?
いままで、男に看病してもらって助かった~! って経験、ねえなあああぁぁ!
うちに来て、漫画読んで帰って「看病した」とかいい張るおとぼけくんとか、お見舞いにギトギトのお好み焼き買ってくる健胃なヤツとか、「大丈夫? 病院行ってきなよ」とか「あまり薬飲んじゃダメだよ」といった口しか動かさないヤツとか……思い出したくもないけど、ゲロ吐いて寝てるっつーのに襲いかかってきたりとか。
これが女子だともれなく「食べるものある?」とかピンポイントに必要なことを聞いてくれるんですよね。ほんとうに男と女では気遣いできる基準が違うなと思います。
単に男を見る目がないといわれればそこまでだけど、既婚者の夫に対する愚痴ってたいていこの手の話です。寝込んでる妻に向かって「ねえ、僕のご飯は?」たら聞いてくる夫の話を聞いたのは1回や2回じゃないし。
確かに、傘を置いて濡れて帰ってくれるような男子だったら、しっかり看病してくれそうだよな……とは思います。なかなか少女マンガは鋭いのです。