ゲーム&ホビー
2017/2/28 16:49

【インタビュー】3歳児でもプログラミングを学べる玩具「Cubetto キュベット」の生みの親フィリッポ・ヤコブ

「Cubetto キュベット」という幼児用玩具がある。四角い箱型のロボットとブロック、それを差し込むボード、そしてマップで構成されたおもちゃだ。

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木の風合いを大切にした、古典的な知育玩具にも見えるが、実はかなり高度な「ハイテク」玩具。子どもたちが遊びながらプログラミングの能力を身につけることができるのだ。

 

プログラミングといっても、スマートフォンやタブレットは一切使わない。ブロックを差し込み「ロボットに進む方向を命令する」だけで、プログラミングの考え方を身に着けられるのだ。

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↑ボードにカラフルなブロックを差し込み、最後に水色の丸いボタンを押すと、ブロックからの指示に合わせて箱型のロボットが動く

 

このおもちゃは2016年にイギリスやアメリカで発売されると、またたくまにヒット。いまや90ヶ国で販売されている。日本でも昨年11月からウェブでの先行販売を行っていたが、2月15日からは伊勢丹で展示販売も開始された。

 

これに合わせ来日した、プリモ・トイズのCEOであり、開発者であるフィリッポ・ヤコブ氏に話を聞いた。

 

プログラミングは21世紀のリテラシーに

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↑プリモ・トイズのCEOであるフィリッポ・ヤコブ氏。息子に楽しくプログラミングを学ばせたいとの思いから、クラウドファンディングのプラットフォームであるKickstarterを利用し、2013年にPrimo Toysを起業

 

「プログラミングの重要性はどんどん増しています。読み書きや計算に加え、21世紀にもっとも重要なリテラシーになるでしょう」。そうヤコブCEOは話す。

 

日本でも2020年を目標に、小学校でのプログラミング教育をスタートすることが検討されている。プログラミング玩具や子ども向けプログラミング教室など、関連ビジネスも加熱気味だ。

 

しかし、キュベットはそれらとはちょっと異なる。なぜなら、まだ読み書きができない3歳児でも使えるからだ。

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「大人になって何をするか、どんな職業に就くかは、子どもの頃に好きだったものの影響を強く受けます。そして、子どもの頃に何を好きになるかは、幼少期に与えられた玩具によって変わります。幼少期に見た最初の“きらめき”が大きいのです」

 

しかし、3歳が扱えるプログラミング玩具を作るのは容易ではない。実際、ヤコブCEOが起業してから製品化するまでには、3年を要した。

 

「慎重なリサーチの結果、3つの気付きを得ました。ひとつ目は『子どもたちは遊びながら学ぶため、テキストを読む必要はない』ということ。ふたつ目は『3歳から6歳はチャレンジを好むが、自由遊びよりも課題を与えられることのほうが好き。完全な自由遊びを好むのは、6、7歳になってから』ということ。そして、『この年齢の子どもたちは、抽象化が苦手である』ということです。数十のプロトタイプを作りましたが、常にこの3原則に立ち戻るよう心がけ、最終的に現在の形に辿り着きました」

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「これまでの伝統的なおもちゃをこれに置き換えるのではなく、それらと一緒に遊べるようにしたいと思っています。そして何より子どもたちが『楽しい』と思えることを重視しています。子どもたちが楽しんでいる姿を見れば、プログラミング教育に懐疑的な親にも受け入れてもらえるはずですから」

 

子どもに「本物のプログラミング」を!

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↑友達や家族とボードを囲んで一緒に遊びながらプログラミングを学べるのもキュベットの魅力だ

 

シンプルな構造のため、確かに3歳児にも十分楽しめる。だが、「プログラミング」としてのレベルは意外に高度だ。キュベットには「ファンクション」という機能がある。よく使う動きを登録し、それを呼び出すことで、効率的にロボットに命令を送ることができるのだ。

 

これはまさに、本物のプログラミング言語が備えている「関数」の仕組みそのもの。低年齢向けのプログラミング玩具では「難解である」として省かれることの多い要素だが、ヤコブCEOは、あえてそれを入れた。

 

「プログラミングのふりをした何かではなく、本物のプログラミングを子どもたちに与えたかったんです。4、5歳であればファンクションも十分に使いこなします。ここで経験しておけば、将来、本格的にプログラミングを学ぼうとしたとき、とっかかりやすくなるはずです」

 

キュベットは今後拡張される計画もある。ブログラミングに使うブロックの種類を増やし、より高度な遊び方をできるようにするというのだ。

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「機能を拡張させることで、子どもが大きくなっても遊べるものになります。我々の目標は、キュベットをスタンダードな玩具のひとつにすることです。すべての子どもたちが、キュベットでプログラムを作る体験をしてから大人になる、そんな玩具になってほしいと思います」

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「私は20年後がすごく楽しみです。その頃には、キュベットで育った最初の子どもたちが、大人になっているはずですからね。彼らはどんな大人になっているのでしょう。そして、彼らが今度は自分の子どもにキュベットを与える。そんな玩具に育ってほしいです」

 

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Cubetto キュベット 3万1968円(税込)
キュベット(木製ロボット) x1、 コントロールパネル(木製ボード)x1、ブロックx16、 ワールドマップx1、 ストーリーブック(日本語版)x1
https://www.primotoys.jp/