「プロ仕様」ーーなんと魅惑的な単語だろう。道具好き・文房具好きにとっては、このキャッチコピーが製品名の横に付いてるだけでもうたまらない。売り場で見ただけで「プロ仕様? じゃあ買うわ」ぐらいの感覚である。強そうだし、高性能そうだし、同じ道具を入手するならそりゃプロ仕様のほうがいいにきまってる。
しかし実のところ、この「プロ仕様」には大きく分けて2つある。「プロにしか意味のないプロ仕様」と「アマチュアにもうれしいプロ仕様」だ。例えば、会計士や税理士の人には垂涎の「CASIO S100」という電卓がある。どんなに早打ちしても正確な入力ができるというプロ仕様のハイスペックな電卓なのだが、お値段は約3万円と超高級!
他にもさまざまな機能があり、猛烈な入力スピードを要求されるプロの道具としては間違いなく一級品。だが、月に数回ぐらいレシート見ながら家計の計算をポチポチ打つのに使うにはもったいなさ過ぎ。つまり、使いこなせないのである。
対して、我々のような一般人にもうれしいプロ仕様はある。多機能ではなく、純粋に基本性能が高い道具のことだ。そしてそんなにお高くない。以前に紹介した、段ボールがコピー紙のようにスパスパ切れるカッター刃「スピードブレード」なんかも、その類にあたる。
で、今回紹介するプロ仕様のテープのり、プラス「ノリノプロ」も誰が使っても得をする「プロ仕様」の逸品である。
プラス ノリノプロ 各432円
そもそも“テープのりのプロってなんやねん”という根本的な疑問はあるだろう。テープのりのプロというのは、要するに普段から仕事や自宅で日常的にテープのりを使ってる我々のような人のことなのだ。いつも封かん作業でいっぱいという事務仕事の人にも便利だし、自宅でたまにちょっと使うレベルの人でも「プロ並み」に使いこなせる。それがノリノプロだ。
のり自体のラインナップは、ドットテープで糊切れがよく貼りやすい「しっかり貼れる」タイプと、従来より2倍の粘着力をもつ強粘の「強力に貼れる」タイプ、そして仮留めに便利で貼って剥がせる「キレイにはがせる」タイプの3種類。それぞれテープ長が22mと、このサイズではロングめなのもありがたい。つめ替え用の交換カートリッジもあるが、「でも交換は面倒くさいからできるだけしたくない」というのがユーザーの本音だ。
そしてプロ仕様のゆえんたるのが、糊カスを許さない機能。通常、リールから引き出されたのりテープは本体先端ローラーを通して紙など接着対象に塗られるのだが、このときに紙に貼りきれなかった“糊カス”が先端ローラーの端に付着してしまうことが少なからずある。
この糊カスはやっかいなことに、次に使うときに紙に付着してキレイに貼れなかったり、本体内部に入り込んで故障の原因になったりもする。だが、プロ仕様はそういったトラブルも許さない。先端ローラーの隣に搭載された新開発のクリーンローラーが、この糊カスを根こそぎ剥ぎ取ってしまうのだ。
おかげで先端ローラーはいつもキレイな状態を保ち、接着不良を減らしてくれる。テープのりを使うのが下手な人ほど、この糊カスを出してしまい故障や接着不良が起きるのだが、ノリノプロならわりと安心して使えるはずだ。
また、クリーンローラーはカートリッジ内に付いているので、テープカートリッジを交換したら同時にクリーンローラーも新品にリセット。いつでもキレイな状態が保たれるというのはありがたい。
もうひとつ便利なのが、紙の辺にまっすぐのりが塗れるはしピタガイド。テープのり使いの下手な人がもうひとつやりがちなミスが、テープの迷走だ。封かんやノートにプリントを貼るときは、紙の端にまっすぐ貼りたい。なのにナナメになったり曲がったり、直線貼りは意外と難しいのである。そこで、プロは新機能のはしピタガイドを使う。
本体裏のスイッチをスライドさせると、ガイドが下部からひょこっと登場。あとはガイドの先端を紙の端にひっかけてローラーを引けば、どんな不器用な人でも延々とまっすぐにのりが塗れるという仕組みだ。いちいち端からズレがないかを塗りながら気にする必要もないので、作業の効率もかなりアップする。
あと、良くできているポイントなのが、このガイド。紙に強く押しつけてもロックがかかっていて本体側に引っ込まない。なのに、スライドスイッチをちょいと動かすだけで簡単に出たり引っ込んだりしてくれるのだ。こういう細かいところまで上出来なのが、プロ仕様グッズのうれしいところである。
あと一点、筆者の個人的なノリノプロ超お気に入りポイントだけお伝えさせて欲しい。ローラーを保護するフタ部分が、本体表側にあるボタンを押すことで開く簡単プッシュオープン式なのだが、このフタが開く感触が「パクン!」ととても小気味よいのだ。
ボタンを押すのが快感になって、ついつい使うアテもないのに何度も開閉してしまう。このあたりは、特にプロ仕様な機能とは関係ないかもしれないが、それでも「良くできてるわー」と感心してしまう部分である。