インターネット通販の拡大により、配達員の負担が重くなっている配達業界。ヤマト運輸ではその負担に耐えかね、宅配便の総量規制を打ち出すなど、社会問題化しているのが現状です。なかでも大きな問題となっているのが、再配達問題。いつ荷物を届けに行っても不在、不在の繰り返しで、配達員が大変な消耗を強いられています。そこでいま、脚光を浴びているのが不在時も荷物を受け取れる「宅配ボックス」。今回、パナソニックから宅配ボックスの最新モデルが発表されたというので、それが果たして実用性があるのか否か、チェックしてみることにしました!
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再配達を防ぐ宅配ボックスの注目度が急上昇
宅配ボックスは、大型マンションではすでに当たり前となっている便利な設備ですが、戸建てや小規模アパートではまだまだ普及どころか、存在すら知られていないのが現状。そんな現状を打破すべく、パナソニックがリリースしたのが、宅配ボックス「COMBO(コンボ)」シリーズ。今回、同シリーズの品種を拡充し、4月3日より発売することを発表しました。
戸建ての宅配ボックスは意外に歴史が古く、実はパナソニックでは1992年から販売を開始しています。ただ、当時はサイズが小さかったり、100V電源が必要だったりと制約が多く、価格も高かったので、普及に至らなかったそうです。しばらく低迷していた宅配ボックス市場ですが、ここ数年は俄然注目度が上がっているとのこと。
先述しましたが、その背景にはインターネットショッピングによる宅配便の増加があります。93年度と比べると扱い数はなんと3倍以上に。2015年度は約37.5億個もの配送があったといいます。宅配ボックスに注目が集まっているのは、共働き家庭の増加も影響しています。現在、約22%が共働き家庭で、日中に荷物を受け取る人が居ない状況となっています。
もうひとつ、再配達による弊害に目が向けられるようになったのもポイントです。国土交通省はCO2の削減を目的とし、再配達削減への取り組みを模索。また、再配達による宅配業者の労働環境の悪化が社会問題になっており、こちらの改善が急務となっています。こうした背景から、大型マンションだけでなく、小規模アパートや戸建てにも、再配達のいらない宅配ボックスの必要性が高まっているわけです。
アパート用、埋め込み用、ポスト一体型の3タイプを拡充
こうした需要を受け、パナソニックは宅配ボックス「COMBO(コンボ)」シリーズのラインナップの拡充に至りました。今回ラインナップしたのは、アパート用として複数世帯で使用できる「COMBO-Maison(コンボ-メゾン)」、ポストと宅配ボックスを一体化させた住宅壁埋め込み専用の「COMBO-int(コンボ-イント)」、門柱などに設置できる洗練されたデザインの「COMBO-F(コンボ-エフ)」。いずれも電気が不要でセキュリティ性も高く、取り付けも簡単になっているのが特徴です。
では、次に各タイプの特徴を見ていきましょう。アパート用の「COMBO-Maison(コンボ-メゾン)」は、6万9500~11万1500円(税抜・工事費別)で、入居者が変わっても鍵を交換する必要がない暗証番号式を採用。雨水処理をしているので屋外設置にも対応します。各戸で使用する「専有1錠」タイプ、複数戸で共有使用する「共有4・6・8錠」複数の部屋を共有するタイプを用意しており、世帯数や設置場所に合わせて選ぶことができます。
「COMBO-int(コンボ-イント)」は住宅壁埋め込み専用ポスト一体型タイプで、玄関のスペースを確保できるのが特徴。価格は17万5000円(税抜・工事費別)。家の中から郵便物や宅配物が取り出せるため、寒い冬でも、パジャマ姿でも、室内で気軽に荷物を取り出せます。鋼板を用いたボックス構造や断熱材を採用し、防火や結露に配慮した設計となっています。
「COMBO-F(コンボ-エフ)」は洗練されたデザインのポスト一体型。鋳鉄ブラック色、ステンシルバー色、漆喰ホワイト色、エイジングブラウン色など11種類の色柄から選べます。価格は色柄によって10万9800円、12万500円の2通りがあります。本製品は郵便ポストで多く使われているブロック2つ分のサイズから周囲-5cmとなっているので、ポストを取り外して、そのまま本品と交換ができるのが便利です。
いちど手順を覚えれば誰でも簡単に扱える
では、次に実際にどのように使うのか、以下で見ていきましょう。デモンストレーションをしたのは、アパート用のCOMBO-Maisonです。以下を見ていただければわかる通り、いちどやり方を覚えてしまえば、誰もが簡単に扱えます。
福井県の実験では劇的な効果が実証された
なお、福井県あわら市で行われた宅配ボックスの実証実験では、103世帯に宅配ボックスを導入した結果、再配達が49%から8%まで激減したという結果に。いかに宅配ボックスが効果的であるか、実証されたわけです。
また、宅配ボックスは大手宅配業者にも認知されており、しっかり利用してくれるのもポイント。以前は宅配ボックスの存在を知らず、持ち帰ってしまった例もあったそうですが、現在は認知度も高まり、利用率もアップしています。
配達業者の負担も減り、輸送車の燃料も節約できて環境の負担も減らせる宅配ボックス。受け取る側は再配達の手続きを行う手間も省けるという全方位にとってWin-Winのアイテムです。欲をいえば、もう少しお安く……といったところですが、本機の登場を機に、ぜひ広く普及してもらいたいところです。
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