花粉症の人にとって最も身近で、かつ不可欠な対策グッズといえば、やはりマスクですよね。そのため、マスクについて研究している飯田裕貴子さんに、花粉から身を守るのに効果的なマスクの選び方と正しいマスクの着け方についてインタビューを決行。マスク選びの新常識が見えてきました。
マスクの研究家が示す効果的なマスクの選び方
まずはマスク選びから。
飯田さんによると、「現在、市販されているほぼ全てのマスクは、パッケージに『99%カット』と書いてあると思います。これは実際のフィルター性能のこと。この表記があるマスクなら、性能自体に大差はないと考えて大丈夫です」とのこと。
さらに、重視すべきはマスクの形状なのだとか。
「フィルターが平らな面のままの状態ではマスクと顔に隙間ができてしまい、本来の性能を生かせません。正しい着用法を守り、呼吸がしっかりフィルターだけを通っているかを確認しましょう」(飯田さん)
取材に際し、市販されているマスク10点を無作為に持参。そのうち、飯田さんの研究で漏れが確認されなかったマスクは4点。少なく思えますが、これでも形状を重視するメーカーが増えてきたほうだといいます。
「産業用から子ども用、民生用など、幅広くマスクについて調べていますが、市販品はどうしても隙間ができてしまうものが結構あるんです。その点、興研、シゲマツ、3Mの製品は業務用のノウハウを生かされていて、オススメです」(飯田さん)
飯田さんのオススメする、興研の「ハイラックNeo」、シゲマツの「New クリーンメイト Fine Fit Plus(ファイン・フィット・プラス)」、3Mの「Vフレックス 防じんマスク DS2 レギュラーサイズ」を選んでみましょう。
フィルター性能を生かす正しいマスクの着け方
飯田さん曰く、花粉対策にはプリーツ型か立体型のマスクが効果的とのこと。つぎに、プリーツ型マスクの着け方を解説します。気をつけるべきは「漏れなく」「隙間なく」です。
(1)裏表を確認してプリーツを開く:マスクを取り出したら顔側と外側を確認。プリーツをしっかり広げて形を作っておきます。
(2)中心で折り曲げズレを予防する:鼻に合わせて折り目を作ると、フィット感が増します。会話したときのズレを防ぐ効果もあります。
(3)しっかり広げてアゴまで覆う:マスクを着けたらアゴの奥まで覆って下側の漏れを防止。緩いときは紐を短くして調整します。
(4)目頭・涙袋までマスクを当てる:鼻筋の立ち上がりから目のラインに合わせてフィットさせます。呼気が漏れなければOK。
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マスクを正しく着けた状態:口の前がカップ状になるよう形を整えつつ、上下左右の隙間がなくなるようマスクを顔に密着させます。呼吸しても息が漏れず、ズレることもなければ花粉が防げます。
最後に今回の内容をまとめると、マスクの選び方&着け方は、ガーゼマスクは効果なし、顔に合ったものを正しく着ける、TPOに応じてマスクを使い分ける、の3つがポイント。
(1)平面のままのガーゼマスクは上下左右から花粉が漏れ込むため、対策効果はありません。防寒・保湿用と考えましょう。
(2)プリーツを広げずに着けてはガーゼマスクと同じこと。漏れなく顔に密着させてこそ性能は発揮されます。
(3)自分の顔に合っていれば箱買いもOK。ただし花粉が多そうなときは高価なマスクで完全防備を!
マスクを正しく着けて、花粉から身を守りましょう。
【解説してくれた人】
労働科学研究所 研究員 飯田裕貴子さん
産業用から市販品まで幅広くマスクの性能を研究。一方で、正しいマスク着用の重要性を伝える啓蒙活動なども行っています。