ようやく暖かい陽気になってきて、衣替えや新しい洋服選びなど、おしゃれが好きな人には楽しい春が到来しました。新しい季節は、新しい服を着て出かけたいですよね。まずは“外さない”ための、最新トレンドをチェックしておきましょう。そこで、毎シーズン海外コレクションを取材し、さまざまなメディアで活躍するファッションジャーナリスト、宮田理江さんに教えてもらいました。今年の春夏のトレンドと、スタイルアップのポイントとは?
ディテールやフォルムで遊ぶ自由なテイストに注目!
「2017年の春夏のファッションは、ポジティブで若々しい雰囲気がキーポイントになると思います。おしゃれを自由に楽しもうという流れやシルエットの変化があり、エクストリーム(=極端)、オーバーサイズ、アシンメトリーなどの、ディテールやフォルムで遊ぶようなアレンジが盛り上がる兆しがありますね」(宮田さん)
ルールにとらわれない、オリジナリティを主張したファッションが流行とされる今シーズン。世界4大コレクションのひとつ、NYコレクションには毎年必ず足を運ぶという宮田さんは、続けてこう話してくれました。
「トレンドのシフォンやチュール、レースなどの薄手で透け感のある素材は、素肌をうっすらと透かして見せてくれるので、グラマラスとガーリーが混じり合いながら、健康的で上品な“色気”をほどよくプラスできると思います」(宮田さん)
初心者は、デコルテや袖、裾など部分的に取り入れて!
ということで、シフォン、チュール、レースといった透け感のある素材は、女性らしさを表現できるとあって、この春のワードローブにぜひともプラスしたいアイテム! でも、チュチュやウエディングドレスなど、フォーマルな印象のあるこういった素材は、どのように取り入れたら、間違いなくおしゃれに見せられるのでしょうか? 普段から、ミックススタイルやレイヤードスタイルを体現している宮田さんに、続いて、上手な取り入れ方について聞きました。
「気をつけたいのは、やりすぎを避けることです。全体に使うのではなく、デコルテや袖、裾など部分的に取り入れること。そうすることで、透ける部分と透けない部分の濃淡差が際立ち、コーディネートに深みが出るんです。ロマンティックな雰囲気が引き出せる透け感素材は、全体をフェミニンにまとめてしまいがちですが、逆にカジュアルなものやメンズ風のエッセンスをミックスしたりすると、こなれた感じを出せますよ。デニムジャケット、レザースカート、トラックパンツといったストリートのアイテムと、スポーティでクールなアイテムを合わせると、お互いのテイストを引き立て合ってくれますね」(宮田さん)
今シーズンのコレクションでは、もちろん多くのブランドが、チュールやレースなどを取り入れたルックを発表しています。実際にどうやってコーディネートしたらいいのか、参考になるルックを宮田さんにいくつかピックアップしてもらいました。
まずは『beautiful people(ビューティフルピープル)』のルック。2007年にブランドをスタート。ウィメンズ、ウィメンズ、メンズ、シューズ、バッグなど幅広いラインナップで、着た人に新しい刺激を与え、思考の転換や新たな価値観を提供することをコンセプトにしているブランドです。
続いて『support surface(サポートサーフェス)』のルック。1999年スタートのサポートサーフェスは、女性の立ち居振る舞いや表情までも、より美しく見せてくれるアイテムを生み出しているブランドです。
「今シーズンは、白や黒などのベーシックカラー以外に、ビューティフルピープルのルックにあったイエローや、サポートサーフェスのルックにあった鮮やかなレッドのほか、ピンク、イエロー、ブルーなどのポジティブな色目のレースやチュール素材のアイテムもたくさん登場しています。遊び心とアレンジ次第で、今っぽさやこなれた感じを作れるので、おしゃれをもっと楽しめると思います」(宮田さん)
宮田さんはほかにも、こんなアドバイスも送ってくれました。
「レイヤードに取り込むなら、透け感のある生地のブラウスにカーディガンを重ねたり、薄手のサマーアウターをかぶせたりするのもいいと思います。透ける素材を重ねることにより、手抜きに見えがちな夏の着こなしにも動きが生まれ、肌見せの加減も好みで調整できるんです。またボトムに取り入れる場合は、チュールスカート(パニエ)を別のスカートやパンツの上に重ねると、おしゃれ上級者という感じが出ますね。デニムパンツと組み合わせるのも旬なコーディネートとしておすすめですよ」(宮田さん)
透ける素材を取り入れるのは、コツさえわかればもう難しくありませんよね。早速チャレンジしてみましょう。
取材・文=宮野さや夏
Profile
宮田理江
ファッションジャーナリスト、ファッションディレクター。多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。ディレクター、コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。著書に『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(学研パブリッシング)がある