春でうららかで爽やかで桜で新緑で、新入学だったり新入社だったりするシーズンである。年度の変わり目でもあるし、「この時期に普段使いの文房具をガサッと総入れ替えをしちゃう」というのも気分が新たになっていいものだ。ぜひこの時期は、文房具屋に足を運んでみてほしい。
で、ひとつお願いなんだが、筆記具とか持ち歩きの文房具を刷新するなら、ついでに筆箱も一緒に変えてほしいのだ。極端な話だけど、例えばメインの筆記具をボールペンから万年筆に変えたとすると、傷がつかないように気を遣いたいし、持ち運び方も変える必要があるだろう。
普段使いのペンが増えた場合はもちろん、減った場合もそれに合わせて筆箱をスリムなものに変えるといい。シックで渋いオトナ筆箱の選択肢が広がるし、思ったよりカバンの中がスッキリする。また、一昨年ぐらいから機能性筆箱がブームということで、ちょっとワザの効いたヤツを各メーカーとも次々と発売している。せっかくなら、新しい便利な筆箱のほうが使いやすいだろうーー。
ということで今回は、そんな中でも“まだあまり知られていないけど、実はこれいいぞ!”というワザ効き便利筆箱を紹介したい。
べろーんと引き出すスッキリ整頓系ケース
コンサイス ベロウズ ペンケース 1620円
「ベロウズ ペンケース」は、ロール型の整頓性とポーチ型の収納力を併せ持つ“たっぷり入って、きれいに持ち運べる”筆箱だ。見た目はまったく普通のポーチなのだが、ジッパーを開けてまず見えるタグをぐいっと引っ張ると「べろべろべろーん!」と三つ折りになっているホルダーが出てくるのである。
この三つ折りホルダー、本体とはベルトで結合されており、引っ張り出すとホルダー部が完全にポーチから飛び出すようになっている。なので、ホルダーに挿した文房具がとても取り出しやすいのだ。これはポーチ型がこれまで抱え続けていた検索性の悪さ……「使いたい文具が素早く取り出せない問題」をスパッと解決する妙案といえる。
ポケット+ゴムベルトのホルダー自体の収納力が高いので、だいたいの普段使いアイテムはここに挿しておけるだろう。長さは定規など16cm強まで、厚みは消しゴムやミニサイズのテープのりぐらいなら問題なく収まる。で、タグを引っ張るだけで、これらが一列に並んだ状態でべろーんと出てくるんだから、これは本当に使いやすい。
ホルダーに納めにくいサイズのもの(ステープラなど)は、ポーチの底に放り込んでおけばOK。ホルダーさえ引き出せば、中に沈んでいるものも簡単に取り出せるので問題なし。内部にはベルクロで閉められるメッシュポケットもあるので、ペンの交換用リフィルやカッターの替刃といった小物も散らばらない。
もうひとつ、ペンを2~3本ストックしておける外ポケットも装備。手帳に書くペンや携帯ハサミなど、屋外で取り出す可能性のあるものをここに入れておくと、アクセスが早くてありがたい。
スリム&コンパクト&スタンド型ケース
カミオジャパン patatto 1815円
コクヨのネオクリッツ以降、自立してペン立てに変形する筆箱がすでに5メーカー以上(筆者が把握しているだけで)から発売されているが、「patatto」はその中でもわりと珍しいハードケースタイプのもの。容量的にはペン5~6本+消しゴムぐらいがちょうどのコンパクトさ。合皮製でソリッドな雰囲気は、男女問わずスーツ姿の持ち歩きにも違和感はないだろう。
面白いのは、タテとヨコの2wayで使える特殊な構造。ヨコ置きにしてマグネット式のフタを開けるとフルオープンの筆箱として使えるが、フタを閉めた状態から中央をポキリと折るようにして立てると、タテ置きのペン立てに変形するのだ。
トレー部もマグネットになっているので、折り曲げたところでピタッとくっつき、とても立てやすい。これまでの“立つ筆箱”は、布やウレタン製といったソフトタイプがほとんど。これは構造上、ちょっとたっぷりめに文房具を詰め込んだ方が安定して立ちやすく、中身も取り出しやすくなる。
対してハードタイプの「patatto」は、ガワがしっかりしているのでペン数本程度の容量でも安定して使うことができる。というか、むしろペン立て状態のほうが本来の姿で、“持ち運ぶために筆箱にも変形できるよ”ぐらいのものなのかもしれない。
あと、中にもマグネットが効いているので、ゼムクリップを放り込んでも内部で1か所に固まってくれて散らばらない。いわゆるクリップトレーのようにも使える裏ワザだ。