「開けたら最後。You can’t stop.」で一世風靡したアメリカ生まれの成型ポテトチップス「プリングルズ」。スマートなラインと堅めの触感にハマッている方も多いでしょう。
一気に食べてしまったあとで気がつくのが、缶の処理です。開けたら最後ですけどフタがついているので、トングや菜箸などの長いものを収納するケースとして使ったり、パスタや蕎麦などの乾麺入れとして使ったり、室内用プランターとして使うなど、リユースの幅は無限大。「プリングルズ リサイクル」で画像検索すると、様々な活用法を見ることができますよ。
この流れに、本体であるプリングルズも乗り気の様子。プリングルズ缶の中ぶた19枚を1口として応募すると、もれなくプリングルズ缶にハメて使えるスピーカーがもらえるのです! しかも今年のモデルはBluetoothに対応しており、ワイヤレスで音楽が楽しめます。音を聴いてみましたが、いわゆるオマケ的なスピーカーとして捉えると悪くない。中域を中心に届けてくれるカマボコ的バランスで聴きやすい音になっています。
しかし納得がいかない部分があるのも事実です。オリジナルワイヤレススピーカーをプリングルズ缶につけて音を鳴らすと、スピーカーの振動がキャビネットとなったプリングルズ缶を伝わり、床や台も震わせます。この振動が逆にスピーカー側へと戻ってきて振動板の動きを阻害することがあります。結果、音の輪郭がにじんだような、ぼやけた音になりやすいんですね。
Astell&Kernのポータブルオーディオプレーヤー「AK70」とスピーカーを付属のオーディオケーブルで接続して、SPYAIR「RAGE OF DUST」を再生。冒頭部の音をスマートフォンの周波数解析アプリで録ってみました。波形としてみると、320~800Hzの帯域が落ち込んでいるのがわかります。ボーカルの厚みやメロディラインを受け持つ楽器が多く含まれる周波数帯域ゆえに、ここのラインをフラットにもっていければいいのですが……。
なんとか改善できないでしょうか。プリングルズ缶の華やかなグラフィックを生かしたままで!
防振インシュレーターで振動を抑える
そこで、近所のホームセンターで購入した八幡ねじの「微振動吸収パッド 6mmx21φ」をインシュレーターとして使ってみました。インシュレーターとは絶縁材のこと。オーディオの分野ではスピーカーやプレーヤー、アンプの振動を設置している台や床に伝えないためのパーツのことを指します。
設置したときの安定性も高くなるので、普通のスピーカーに使うのも効果的。重量のあるスピーカーならオーディオ用に作られたインシュレーターを用いたほうがいいのですが、そもそもプリングルズ缶は軽く振動しやすいので、機械的なバイブレーションを吸収してくれるこの製品を用いてみました。
底面に4つのパッドを貼ります。サイズ的に3つでもいいかもしれません。
さきほどと同じ曲を再生して、アプリで計測してみました。周波数の傾向はあまり変わりがないように見えますが、床に伝わる振動は明らかに低減。さらに中低域の音が引き締まってきたように感じます。ベースラインの動きが明確になってきたので、疾走感が強くなってきましたね。
もし、極力お金をかけたくないというなら、5円玉6枚とパチンコ玉3つを使って、3点でプリングルズ缶を支えてみましょう。軽いからずれやすく、倒れやすくなりますが、インシュレーターの効果を確かめるのであればオススメです。
プリングルズ缶内部に吸音材を貼る
次なる一手はエンクロージャー内の不要振動をなくすためのテクニックです。一般的なスピーカーの内部には、綿やウレタン、発泡スチロール球などが入っているのですが、これらはすべて吸音材として使われています。
ここで使ったのは八幡ねじの「ノイズカバーシール耐熱吸音材」。EPDMゴムスポンジにシールをつけたもので、プリングルズ缶の内周に貼りやすいんですね。こちらはクルマ用なので耐熱仕様となっていますが、今回のプリングルズスピーカーのようなものならば、それほど熱は発生しないので、耐熱性にこだわる必要はありません。
スピーカーを入れることを考慮してサイズを決めて切り出し、プリングルズ缶に入れて接着します。
肝心の音を聴いてみましょう。波形としては中高域が右肩下がりになってしまいました。人の耳で聴くと、中域の不要振動を吸収してくれたのでしょう、ボーカルやギターの音に密度が出てきたことがわかります。
お金をかけたくないには、三角形のティーバッグを中に入れるのもオススメ。ティーバッグは、昔から自作スピーカーを作る人たちの間では有名な吸音材なんですよ。
ブチルゴムでスピーカーそのものの振動を抑制
いままでの改造は、エンクロージャーとして使っているプリングルズ缶の振動対策が目的でした。しかし、肝心要のスピーカー本体の振動対策がまだ残っています。
プリングルズ缶にピッタリとハマるように作られたスピーカー本体。分解してケース内部に振動吸収パーツを組みこむこともできますが、手間がかかるし現実的ではありません。筒型タイムドメインスピーカーのようにアンカーをつり下げる方法も難しいでしょう。そこで八幡ねじ「メタルラバーシール制振材」をスピーカー本体周囲に貼って、振動を吸収することにしてみました。
これはカーオーディオのカスタムメイクで一般的な手法で、デッドニングと呼ばれています。ドアの内張りをはがすと見えてくる穴(整備用のサービスホール)などをメタルラバーシールで埋めることで、ドアを振動させにくくするのです。
90年代。5人乗りセダンの後部座席を取り外し、大口径ウーファーを何発も埋め込んで低音どっかんどっかんな車を作ったりしましたが、当時からシールタイプの耐熱吸音材やメタルラバーシールにはお世話になりました。再度使うことになるとは、我ながらびっくりです。
閑話休題。プリングルズ缶の内径に合わせて作られたスピーカー本体です。本当は全周囲に貼りたいのですが、そうすると缶に収めることができなくなってしまいます。そこで入れやすく加工された凹みのある部分に、細く切ったメタルラバーシールを貼っていきます。
さっそく音を聴いてみましょう。おっと、低域がより引き締まってきました。波形で見るとボリュームが下がっていますが、これはいままで膨らんでいた低音成分がなくなり、スピーカーユニット本来の音が出ているとみることができます。中高域の音もフォーカスが合うようになり、音像がクリアに変身。これは聴き応えある音ですよ。
ボーカルの実像感が高くなり、バッキングの音も目に見えてシャープに。これならば5000円級のPC用スピーカーと肩を並べられるかも。
よりリーズナブルにカスタムしたいならば、巻テープ型のブチルゴムを使いましょう。ただしスピーカー本体とプリングルズ缶が接着してしまうので、電池を取り出すことができなくなります。すなわち、Bluetoothスピーカーとしては使えなくなってしまうので覚悟は必要です。
オマケのスピーカーでも手を加えれば立派な音質のスピーカーに変身。みなさんもプリングルズの缶スピーカーでカスタムを楽しんでみませんか?
【SPEC】
●定格出力:3W●Bluetoothバージョン:2.1+EDR●伝送距離:約10m●周波数域:50Hz~20KHz●使用電池:単4形乾電池(4本)※景品に電池は含まれません●オーディオ Line In:3.5㎜ステレオミニプラグ●サイズ/質量:約W72×H70㎜/約168g
【キャンペーン概要】
キャンペーン名:「プリングルズ『絶対もらえる!!』スピーカーキャンペーン2017」
応募方法:プリングルズの対象の中ぶた19枚を1口とし、専用応募用紙または必要事項を記入したメモ用紙を封筒に入れ、所定の料金分の切手を貼り、下記宛先まで郵送します。
応募先:〒470-1188日本郵便株式会社 豊明郵便局留
「プリングルズ『絶対もらえる!!』スピーカーキャンペーン2017」事務局
応募締切:2017年6月30日(金) 当日消印有効
対象製品:プリングルズ(53g入/110g入/132g入)
キャンペーンサイト:http://www.pringles.com/jp/termsandconditions.html