黒船系バーガーVSハンバーガー評論家・松原好秀 「THE COUNTER®」編
LA発のハンバーガーショップ「UMAMI BURGER®(ウマミバーガー)」と「THE COUNTER®(ザ・カウンター)」。どちらも1個1000円を超えるハンバーガーを提供(米国で11~13ドル)、テーブルにはナイフとフォーク、ナプキンがセットされ、ドラフトビールやボトルワインを揃えたバーがあって、注文と会計はすべてテーブルで済ませるーーそういったスタイルのハンバーガー「レストラン」が、この春、都内に続けてオープンした。
両店はいわゆる「ファストフード」チェーンではない。多店舗展開はしているが、商品個々にかける手間暇、その思いのほどは、近年日本国内に増える「ハンバーガー専門店」のそれと変わりない。商品に対し、サービスに対し、妥協を許さぬ職人的な気質を両店ともに持ち合わせているのだ。彼らが持つ技術とノウハウは、従来のチェーンのようなシステマティックなものでなく、もっとアナログ的で、ずっと人間的だ。傾ける情熱もまた然り。
そんなLA発、日本初上陸の2店ーー。前回の「UMAMI」に続いて、本記事では「THE COUNTER」の魅力や楽しみ方についてご紹介してゆきたい。
その数100万通り以上! カスタムバーガーの魅力とは?
THE COUNTER は2003年オープン。現在米国内33店のほか、海外7か国に9店を展開している。近隣ではマレーシアに1店。ハワイで食べた人もいるだろう。その43番目にあたる店が日本1号店。六本木の東京ミッドタウンにある。商業施設内の店であり、また上階に多くのオフィスを抱えるビジネス街の店でもある。
席数59席の店内中央には、コの字型の大きなカウンターが置かれている。店名の由来はこれかと思いきや、創業者ジェフ・ワインスタイン氏によると、
全80種類の食材とトッピング
THE COUNTER の特徴はずばり「カスタム」。全80種類の食材を自分好みに組み合わせて100万通り以上のカスタムが楽しめるという、それに尽きる。80種類の内訳はーーパティ5種類、バンズ4種類、バンズに代わるサラダ4種類、チーズ13種類、ソース21種類、その他トッピング33種類。さらにサイド(付け合せ)8種類。本国LAには86種類の食材がある。バイソン(野牛)やターキー(七面鳥)のパティなど、どうしても揃えられなかった食材もあるが、それでも海を越えて80種類まで再現できたのは快挙だ。
その陰には大変な努力がある。例えば、ハラペーニョはアチラでは”生”を使う決まりだが(一般的には瓶詰めの酢漬け)、日本国内でこれを探すのはひと苦労だった。アナハイムチリという唐辛子に至ってはある国内農家に”お願いして”作ってもらっている。日本限定の食材もある。マヒマヒ(シイラ) のパティは日本だけのプレミアムパティだ。
あなたのバーガーをカスタムしよう!
では実際にカスタムしてみようーー。オーダーシートに「1」のパティから順に鉛筆でチェックを付けてゆく。わからないことがあっても大丈夫。店員がやさしくサジェストしてくれるので。
私がカスタムした用紙を例に見てみよう。この「CREATE YOUR OWN burger(CYOB)」はパティのサイズでハンバーガーの値段が決まる。例えば、「100%ビーフ」パティのサイズ「6oz(170g)」を選ぶと1190円(以下:すべて税別)。これはいわば定額料金だ。バンズを選び、チーズとソースを選び、「6」からトッピングを好きなだけ選んで、ここまですべて1190円の料金内。私はさらに「7」のプレミアムトッピングからベーコンを選んだのでプラス100円で1290円。チーズとソースは2種類目からプラス100円。逆に「なし」も選択可。サイドはプラス300円。バンズをサラダスタイルにするとプラス250円。そのほか、プラス○円とあるものを選ぶとその分が加算される仕組みだ。
このオーダーをもとにキッチンで調理された”MY OWN burger”がこちらである。
記念すべき1作目はいろどり重視で。パティはホルモン剤を使用せずに生育したオージービーフ170グラム。バンズはマルチグレイン(雑穀粉入り)。チーズはめずらしいピメントチーズを選択。赤い色が欲しくてソースはスパイシートマトジャムに。「6」からは何種類でもトッピング可能だが、しかし食べ物にはシナジーの限界がある。だから4種類を目安に選んだ。
その成果は……
だがこの場合、最も重要なのは、
選び方ひとつで変わるカスタムの面白さ
THE COUNTER のカスタムには、乗車駅は同じでも、
最初のうちは思い通りにカスタムできないかも知れない。
「自分好みにといわれても……」という人のために、店おすすめのトッピングによるシグネチャーバーガーもある。「ザ・カウンターバーガー」は、その定番中の定番だ。
まずはプンと香るパティのコゲ味の芳ばしさ。焼き加減はミディアムレア、中はジューシーでやわらか。注目はオニオンフライ。薄く平たくスライスされてパリパリとした新食感だ。そこへブリオッシュバンズの強めの甘味。マッシュルームの滋味。チーズの控え目なコク味。アイオリソースの味も強くなく適度ーー。このまとまりは「料理」のまとまりだ。
いままで私たちが知らなかった新しいハンバーガーの食べ方を教え
― shop data ―
所在地:東京都港区赤坂九丁目7番4号 東京ミッドタウン ガレリアB1
アクセス:東京メトロ・都営大江戸線 六本木駅8番出口直結、歩3分
オープン:2017年3月31日
営業時間:11:00~23:00(LO22:00)
定休日: 不定休(施設に準ずる)