「週刊GetNavi」Vol.54-1
シン・ゴジラ Blu-ray特別版 4K Ultra HD Blu-ray 同梱4枚組(税抜8800円)
発売・販売元:東宝
©2016 TOHO CO.,LTD.
スポットが当たりにくい新メディア・UHD BD
Blu-ray Disc(BD)がこの世に出て、ずいぶん時間が経った。記録用の「第1世代型」が出たのが2003年、現在のような映像・ゲームの配布メディアとしてのBDを含む製品が世に出たのが2006年のことだから、10年以上が経過している。DVDが1996年から製品化されたので、DVDとBDの間隔と同じだけの時間が、過ぎ去っている。
では、新しいメディアはどうなっているのか? というと、もちろん生まれている。「Ultra HD Blu-ray(UHDBD)」だ。BDは1920×1080ドット、2Kまでの解像度を想定したメディアだった。4Kテレビが増えていくなかで、縦横倍の4K解像度で映像を配布するメディアが必要になり、BDの技術を進歩させる形で生まれたのがUHD BDである。
だが、DVDからBDへの時以上に、UHD BDへの移行には各社苦労している。なにより、注目度があまり高くない。
このあたりは、時代の変化と価値判断、両面があるだろう。
現在、ディスク販売ビジネスはシュリンク傾向にあり、DVDからBDへも「完全移行」という形にはならなかった。日本映像ソフト協会の統計によれば、DVDとBDの販売比率は4対6から5対5の間を、毎月いったりきたりする状況である。ディスクソフトを熱心に買う人はBDに移行済みだが、そうでない人はいまだDVDを使っている。その状況では、UHD BDへの移行に注目が集まらない。ネット配信も充実してきた現在、ディスクを買うことにこだわらない人は、UHD BDにはなかなか振り向いてくれないだろう。実際、UHD BDのタイトル数もまだまだ少ない。
だが、テレビを軸に家電メーカーと映画会社は、UHD BDに期待している。それは4Kテレビの差別化に有効だからだ。
メーカーに温度差があるUHD BDへのスタンス
UHD BDの価値は4Kだけではない。HDRの導入により、輝度・色の情報が豊かになったことが大きい。画質にこだわったテレビほど輝度と色の制御を行っており、BDとの画質差がより大きくなる。日本の主要テレビメーカーのように、画質による差別化を軸にしている企業にとってはプラスである。
しかし、その家電メーカー各社の取り組みには大きな温度差がある。はっきりと乗り気なのはパナソニックやサムスンくらい。ソニーやシャープは一歩も二歩も引いて構えていた。販売数量の見込みづらい、高価でハイエンドな初期ユーザー向けのUHD BD市場に踏み込むよりも、時間をかけてコストを抑えたUHD BD機器を作り、市場に展開したいと考えていたのだ。
そのため、この2社は今年度に入ってからUHD BDレコーダー/プレーヤーを製品化することになった。執筆時(4月上旬)ではシャープのみ発表しているが、ソニーも近く日本向けの製品を発表する。
すなわち、今年こそが日本におけるUHD BDの本格始動の年になるのだ。3月末には話題作「シン・ゴジラ」がUHD BDで発売され、注目も集まった。
では、本当にUHD BDの普及に問題はないのか? 利点と懸念点はどこか? そのあたりは次回のVol.54-2以降で解説する。
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