気温が上がり、喉が渇きやすい季節になってきました。いつも同じものを飲んでいると、次第に飽きてきませんか? マンネリ化を避けるためには、海外でポピュラーな飲み物を試してみるのもひとつ。
本稿では、ちょうど5月18日に外相会談が行われて話題のポーランドにスポットを当ててみます。ポーランドには、日本ではあまり見かけないものの、幅広い世代の国民から親しまれている絶品ドリンクがあるのです!なかでも、日本人の舌にも合うコーヒー&ジュースをポーランド在住の筆者が4つご紹介します。
【その1】ヘルシーなインスタントコーヒー「インカコーヒー」
ポーランドでは「インカ」と呼ばれている、こちらの商品。赤いレトロなパッケージに入っているので、スーパーのコーヒーコーナーではひと際目立つ存在です。
インカは、カフェインを含まない穀物からできた優しいコーヒー。原材料は大麦、ライ麦、チコリの根であり、コーヒー豆は含まないため、厳密に言うとコーヒーではありません。しかし、ほんのりコーヒーの風味を感じることのできる黒い色をした飲み物なので、いまではすっかりコーヒーの一種として認識されています。
インカは苦味がほぼないので子どもにとっても飲みやすく、お湯の代わりに牛乳やお好みでシナモンパウダーを入れるとまた変わった味になります。そして、何より嬉しいのはヘルシーなこと。
本物のコーヒーは中毒性があり、カフェインが入っているため夜中に飲むのに適しません。しかし、インカコーヒーはノンカフェインなので睡眠前や授乳中でも安心。健康志向のコーヒー好きさんにはありがたい飲み物なのです。
また、最近ではカフェメニューのようにアレンジしたり、ヨーグルトやケーキなどスイーツに入れて楽しむといった方法もポピュラーになっています。日本のAmazonや楽天などのオンラインショップでも買えるので、ぜひお試しください!
【その2】日常的に飲まれているフルーツジュース「コンポート」
フランス語の「compote」という単語から来た、コンポート。ポーランド語では「kompot」とつづり、「コンポト」と発音します。日本でコンポートというと、フルーツさえあれば簡単に作ることのできる甘いデザートですね。
しかし、ポーランドのコンポートは常温や温かいまま飲むのが一般的なフルーツジュース。リンゴやアプリコットなど、生のフルーツとシナモンなどのスパイスを混ぜ、水といっしょに一時間ほど煮ると完成します。想像通りの素朴な味ですが、ポーランドでは最も家庭的な飲み物だといえるでしょう。
ポーランドのコンポートは、レストランではなかなか見かけません。その代わり、ストウォフカと呼ばれる庶民的なカフェテリアや、田舎町の小さなカフェに行くとメニューに載っていることがあります。簡単なので、一度作ってみるのもオススメです。
【その3】子どもも大好きな野菜ジュース「ラバルバルのジュース」
ラバルバルはダイオウ属と呼ばれる植物の総称で、薬用と食用の2種類があります。ポーランドで広く親しまれているのは食用のラバルバル。日本ではルバーブと言いますが、寒冷地の長野県と北海道でしか栽培されていないため、あまり知られていません。
ルバーブは肉質の茎部分を食用としますが、果物ではないのに甘味をつけてデザートのようにして食べるのが特徴です。ポーランドでもケーキに用いたりジャムにして食べることが多いですが、なんといっても定番の楽しみ方はジュース。
ルバーブの爽やかな甘酸っぱい味は、ちょっとイチゴに近いかもしれません。夏の味としてポーランドだけでなく、ヨーロッパ中で広く飲まれています。しかも、繊維質が豊富でビタミンCやカリウムを多く含むので、女性の美容効果にもバツグン! ルバーブはヨーロッパのジュースのなかでは欠かせないフレーバーのひとつです。
【その4】東欧の伝統的な微炭酸発酵飲料「クワス」
最後は、「クワス」。物知りな人は、「それはロシアの飲料だろう」と思ってしまうかもしれません。しかし、実は東欧を中心にポーランドでも深く馴染みのある国民的飲料なのです。
ライ麦パンを酵母で発酵させて作られる「クワス」はアルコールをわずかに含みますが、どちらかというとジュースのような感覚で飲まれます。東欧の人たちは酒飲みといったイメージがありますが、そんな東欧人にとって1~2.5%しかアルコールを含まない「クワス」はお酒のうちに入らないないのかもしれません。
個人的には炭酸が入った甘い麦茶のような味で、炭酸の抜けたビールのようだと言う人もいます。一口に「クワス」といっても実はさまざまなフレーバーが存在するので、一度試してみる価値はありでしょう。
ラバルバルのジュースは日本や多くの国では入手困難ですが、「クワス」は輸入食品専門店やオクトーバーフェストのようなイベントでたまに販売されます。見かけたらぜひ試してみてください!