今年のバーゼルワールドで、カシオのブースは大きく変貌を遂げていました。そこで大々的に打ち出されたのが、「CASIO CONNECTED」という概念。世界に向けて発信されたカシオの新機軸を、初搭載モデルと開発者の取材から解き明かしていきます。
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薄型化、耐磁性能、ソーラー駆動……関係者が語った新型モジュール開発の挑戦
カシオが今年のバーゼルで発表した「CASIO CONNECTED」とは、標準電波とGPS衛星電波、Bluetooth の3つの受信システムを持つモジュールのこと。
モジュール内に3つのアンテナを持ち、6モーター(内2つはデュアルコイルモーター) も備えながら、耐磁性能まで確保しています。この摩訶不思議な構造の秘密を探るべく、モジュ ール開発部の小島さんと商品企画部の斉藤さんに話を聞きました。
「CASIO CONNECTEDは、これまで培ってきたGPSハイブリッド電波の技術とBluetooth通信の技術が融合したものです。ただ、必要となる機能や受信感度などの関係で、アンテナやモーターの位置はほぼ決まってしまいます。それらの影響を考慮しながら、耐磁性能を持たせるために、技術担当者は耐磁板の形状と部品配置を何度も見直すんです。決して特別な素材などは使っていませんよ」(小島さん)
素材の変更などではなく、ひたすらトライ&エラーを繰り返して作り上げる開発は、G-SHOCK誕生のストーリーを彷彿とさせます。
ですが、どうして既存のGPSハイブリッド電波よりも薄くできたのでしょうか。
「最も大きい要因は、GPSア ンテナや二次電池、モーターの小型化ですね。あとは、1枚の基板に平面的に部品を配置する従来方式から2枚の基板に立体 的に組み込むようにモジュールの設計が変わったこともあります。新型は、限界までデッドスペースをなくした設計。本音を言うと数ミクロンでも全体を大 きくできれば設計に余裕ができるのですが、誰もそれを良しとしない。本当に、できることをすべて詰め込んだ『技術の結晶』なんです」(小島さん)
まさにカシオの開発魂が生んだ新機軸。では、なぜ初搭載モデルに航空〝G〞を選んだのでしょうか。
「モジュール開発計画のかなり早い段階から、機能訴求が最もわかりやすいモデルとして、グラビティマスターを選びました。 ただ、モジュールを新しくしただけでは物足りないので、先代型でアイコンとなっていたラグのワッシャーをやめることに。モジュール開発にも言えることですが、ネジを極力使わないケース設計というものは日々考えられているんです。ネジを使うと、穴を空けるぶん、ケースに も厚みが必要になって時計も大型になったりするので。そうした毎日の積み重ねから、新世代機のバンドの固定方法も自然と出てきましたね」(斉藤さん)
GPW-2000は、様々な進化を果たしながら、先代機から価格据え置きというのも特筆もの。
「カシオ コネクテッドの便利さ、楽しさを多くの人に知って欲しいと思って頑張りました。アプリのフライトログもかなり面白いので、いろんな使い方をしてみてください」(斉藤さん)
「絶対精度の向こう側」へ――3アンテナが“G”の可能性を広げた
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環境特化型「マスター オブ G」のパイロット仕様が、GPS衛星電波と標準電波、Bluetooth通信機能の搭載と共に進化。ケース10時側面には、飛行士に欠かせない協定世界時の瞬時表示ボタンを備えています。ソーラー駆動。大きさは、縦66×横57.1㎜(厚さ18.2㎜)。
モジュールの3D設計で3アンテナの搭載を達成
上の展開図の一番下にある基盤にはGPSと、Bluetoothの2つのアンテナをセット。同じ階層に二次電池も配置されます。その上から標準電波アンテナを備えた基盤を合わせ、最後にモーターが搭載されたプレートに組み込む構造に。一番上は、針がどの位置にあっても安定した発電が行える遮光分散型ソーラーパネルです。
GPW-2000は、専用アプリ(無料。Android/iOS対応)を使うとより便利に。世界のタイムゾーン情報を最新の状態に書き換える他、位置情報の記録から移動の軌跡を表すフライトログ機能も内蔵。アラームなどの各種設定も画面上で行えます。
進化し続けるトリプルGレジスト構造
グラビティマスターの外装で最も変わった点が、バンドの固定方法。直接バンドをネジで固定せず、スチール製のパイプにファインレジン製の靴を履かせ、それをカーボンプレートに噛ませて固定。その上からカバーで覆う構造により、耐振動性能の信頼性を高めている。
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