みなさんは、“工場見学”に参加された経験がありますか? 日本にある工場の数は約11万棟ともいわれており、近年は内部を開放し、工場見学を実施する企業が増加しています。子どもの学習のための社会化見学としてはもちろん、オトナも楽しめる一大エンターテインメントとして、様々な企業の工場が特色を生かした見学を行っているのだとか。なんと工場によっては年間数万~数十万人の来場者が訪れることも!
このシリーズではそんな工場見学を実施する、人気工場に編集部員が潜入! 多くの見学者を魅了する秘密を徹底解剖します。今回は山梨県甲府に本社があり、海外出店もおこなっている大手お菓子メーカー「シャトレーゼ」の白州工場を紹介していきましょう。
大自然を体感する、山梨県白州へ
今回訪れる「シャトレーゼ 白州工場」は山梨県北杜市白州町に位置します。年間なんと20万人、多い日には1日3500人を超える見学客が訪れる人気工場です。電車を利用する場合はJR中央本線小淵沢駅からタクシーで20分程度、車の場合は中央自動車道 小淵沢ICより約15分(約10km)という、標高800mほどの山麓に立地しています。
クルマで工場の敷地内に入っていくとわかりますが、なんと周りは鬱蒼とした森! まず白州の大自然に圧倒されます!
白州工場の特徴のひとつが、ツアー形式ではない個人の「自由見学」。営業時間内ならば予約なしで見学ができ、いきなりの見学もOK。工場見学につきものの「予約」なしで見学ができるのはほかの工場にはなかなかない特徴です。工場見学の営業日時については公式HPで確認しておきましょう。(※20名を超える団体の場合は事前の予約が必要です。)
また、自由見学ではなく、ツアーガイドが案内するガイド付きツアー(こちらは予約が必要)も楽しむことができます。今回、工場の敷地内は、白州工場担当の川崎さんにご案内して頂きました!
入口は白州の自然をイメージした幻想的な空間が広がる
工場見学用の室内履きに履き替えて、工場内部に入っていきます。入口にて待ち受けていたのは、白一面の壁と鮮やかなLEDがゆっくりと点灯する幻想的な通路。壁には部分的に白州の清水が流れる様子が投影され、水のせせらぐ音もやわらかく聞こえてきます。
「この通路は、白州の名水をイメージしたものです。白州に工場を作ったのは、この“白州名水”を使ってお菓子作りをするため。白州名水は軟水でクセがなく、ミネラルなどの不純物が少ないという特徴があります。そのため、お菓子作りにおいて味や素材のよさをより一層引き立ててくれる、最上の水なのです」(川崎さん)
白州という大自然のなかに工場を設けたのは、お菓子作りに欠かせない上質な水を得るため。そのこだわりを工場見学の入口である、この幻想的な通路で表現しています。お菓子作りと水の関係がわかったところで、それでは製造ラインの見学に入っていきましょう!
あんこの製造過程を間近で見れる!
幻想的な通路を抜けると、お菓子の製造が行われている建物に入っていきます。白州工場では、大きく分けて「製餡エリア」と「アイス製造エリア」の2つを見学可能。まずは製餡工程を見学します。製餡工程で主に見学できるのは、あんこを炊き上げる作業。実際に従業員の方が作業している様子を、ガラス越しに近距離で見学することができます。
「この製餡工程の見学は、一昨年4月にリニューアルしました。設備や鍋の位置の間取りも見学しやすい・見やすい位置に変更し、より近くで見学できるように工夫しています」(川崎さん)
まさに工場見学のために設置されたスペースで、タイミングがよければ鍋からあんこを移し替えるシーンも間近で見学ができます。大量のあんこが移し替えられる様子は圧巻の一言です。そして、この白州工場で製造されるあんこの種類はなんと約80種! それだけ繊細な調整を行うからこそ、風味豊かでバリエーションに富んだ和菓子を提供することができるんですね。
アイスクリームの製造から原料へのこだわりを実感
製餡ブースを抜けて外部通路を通り、再び工場の建物内に入るとアイスブースがあります。
パネルには“シャトレーゼのアイスクリームには、賞味期限がついています”とのこと。確かに、コンビニなどで販売されているアイスクリームには賞味期限がついていないものが多いです。これは、農林水産省の「加工食品品質表示基準」のなかで、“品質の変化が極めて少ないもののうち定められた食品については、賞味期限の表記を省略できる”という規定があり、アイスクリームは適切な温度管理を行えばその規定の食品に該当するからなんだとか。
では、なぜシャトレーゼのアイスクリームには賞味期限がついているのでしょうか?
「私たちが製造しているアイスクリームは添加物などを極力入れておりません。そのため、野菜などど同じようにアイスクリームの品質が劣化してきてしまうため、賞味期限をつけています。他のアイスクリームと違って賞味期限はついてしまいますが、添加物を使用しないことで安心・安全かつ自然な味わいの製品作りを実現しています」(川崎さん)
ここからもシャトレーゼのお菓子の品質への強いこだわりが感じられますね。
工場見学の目玉! アイスが食べ放題!
アイスブースを抜けると、アイスクリームの製造過程を実際に見ることができる広場が現れます。
ここでは、全9種類のアイスクリームの無料試食が可能。しかも時間無制限の食べ放題というから驚きです。
「このサービスが大好評で、夏場は多いときだと1日に3500人を超えるお客様にご利用頂いています。時間制限などはありませんので、ゆっくりと自慢の商品を味わっていただければと思います」(川崎さん)
白州工場が年間20万人という見学客を集められる理由はココにあったんですね。もちろん、試食スペースの広場から一望できるアイスクリームの製造過程も見逃せません。数種類のアイスクリームが製造されていくところを間近で見学することができます。
おいしいアイスクリームを堪能したあとは、シャトレーゼの歴史コーナーのパネルをゆっくりと見学し、工場の入り口へと戻ってくることができます。見学所要時間は試食時間を含めて約50~60分程度でした。
とにかく「楽しかった」という体験をして頂ければ嬉しい
見学のおわりに、広報担当の川崎さんに白州工場についての話を聞きました。
「この白州工場は、1994年の創業当初よりずっと工場見学のお客様を受け入れてきました。様々な試行錯誤を繰り返しつつ、より多くのお客様に楽しんで頂くために“予約不要”、“アイスクリーム食べ放題”という形式を昨年の4月のリニューアルから導入しました」(川崎さん)
昨年4月のリニューアルに伴う作業は、かなり大掛かりなものだったといいます。見学者が見やすいように工場内部の機械・設備の配置を変えたり、個人見学の方でもより理解してもらえるようにパネルを追加したり……などなど、とにかく「お客様が楽しめる」ことを追求したのだそうです。
このように工場見学についてトコトン「こだわり」をもって取り組んでいる白州工場ですが、その進化はまだまだ続くといいます。
「夏場に比べて冬場はやはり見学する方が減るので、定期的なイベントを開催して、より多くの方に、何回でも白州工場を楽しんで頂ける様に工夫しています。まだまだ志向錯誤は続きます。そして私どもは白州の水など、お菓子づくりの原材料には徹底したこだわりがあります。その原材料へのこだわりを、実際にアイスクリームを試食することで体感して頂ければ嬉しいです。また、少しでもよいので“楽しかった”という体験をして頂いて、それを広めて頂けたら、こんなに嬉しいことはありません」(川崎さん)
柔軟な受け入れ体制と、アイスクリーム食べ放題という特色、そして季節限定のイベント。シャトレーゼ 白州工場は大人が何回行っても楽しむことができる工場でした!
~工場詳細~
「シャトレーゼ 白州工場」
住所:〒408-0315 山梨県北杜市白州町白須大原8383-1
運営時間:【自由見学】 9:00~16:00 (最終受付15:00)
【ガイド付きツアー】 10:00~ / 14:00~ (1日2回開催)
休業日:公式HPにてご確認をお願いします
見学料金:無料
駐車場:無料
~注意事項~
・敷地内は禁煙です。(工場敷地内に喫煙スペースはございません)
・食品を扱う工場です。敷地内のペットの持ち込みはご遠慮いただきます。(介助犬もご遠慮ください)
・工場内の機械設備の写真・ビデオ撮影はお断りしております。
(案内パネル撮影やグループ様でのスナップ写真等は可能です。
今回掲載した画像は取材のため特別に許可を頂いて撮影しております)
・降雪や悪天候、不測の事態の場合、急遽閉館となる場合があります。あらかじめご了承下さい。
・設備点検等で製造ラインの稼動が少ない場合もございます。あらかじめご了承ください。
・冬季の場合ノーマルタイヤでのご来場をお断りする場合があります。
・お客様用のレストラン等はございません。
・徒歩、自転車でのご入場はお断りしております。公共の電車、バスをご利用の方はタクシーやレンタカーにてご入場下さい。
・中学生以下の方のみのご入場はお断りしております。成人の保護者同伴でお願いいたします。
・見学通路は上履きを使用していただき、脱いだ靴は履き間違い防止のため持ち歩きをお願いしております。 (上履き、ビニール袋は当社でご用意いたします)
【URL】
シャトレーゼ https://www.chateraise.co.jp/
シャトレーゼ白州工場 https://www.chateraise.co.jp/enjoy/02factory.php