つい先日のこと。知人が仕事場を引っ越すという話なので、手伝いに行けない代わりにと「引っ越しに超便利な文房具」を差し入れておいた。これはなにかというと、“ノック式の油性マーカー”である。
何年か前に自分で引っ越しをしたときも、まぁこれが本当に便利で便利で……。非常に役に立ったのでこれ以降、知り合いの誰かが引っ越しするときには誰彼構わず「これ使うといいよ」とプレゼントしている。
ノック式油性マーカとは、文字通りノック式ボールペンの油性マーカー版。いちいち両手を使ってキャップを外す→なくならないように置く→書き終わったら乾燥しないようにすぐキャップを閉めて……という手間が不要なのだ。
あたり一面大量の段ボールに囲まれて「いちいちキャップを外してるヒマなんかないわ!」というシチュエーションを考えて欲しい。片手ワンノックで使える油性マーカーがどれだけ便利か、想像できるだろう。
定番の油性マーカーもノック式が便利!
ゼブラ マッキーノック 細字/162円
油性マーカーのド定番ことゼブラのマッキーにも、ノック式がラインナップされている。馴染みの深いあの軸ラベルにちゃんと「マッキーノック」と記されているとおり、キャップを外さずにワンノックで書けるのだ。
軸後端の一見キャップに見える太くて長い部分がノック部である。これをぐぐっと押し込むと、軸内部でシャッターを押し開くようにして先端チップが現れる仕組みになっている。このシャッター機構のおかげで、チップが外気の乾燥から守られているわけだ。
ただ、このシャッターによる防護機構のため、ノック式ボールペンなどと比べるとノックが長く、手応えも重くなっている。ノック距離は約25mm(ペンなら数mm程度)で、この長さを押し込むのにグッと力をいれなければならない。成人男性なら慣れればあまり気にならないが、握力の弱い女性やお年寄りなどはちょっと躊躇するかもしれない。
あと、ノックして先端チップを出したときに、「カチッ」というクリック感がないのも少し気持ち悪い。ノックが重いだけに「どこまで押し込んだらいいのか」という目安として、クリック感があった方がありがたかっただろう。
カートリッジが詰め替え可能なノック式マーカー
ぺんてる Pentel PEN ノック式ハンディS/162円
現在発売されている細字ノック式油性マーカーは2種類。先のマッキーノックと、もうひとつがぺんてる「ハンディS」だ。ノック式マッキーと比較すると、ハンディSはちょっとスリムかつ長さもコンパクト。
油性マーカーは軸の中がほぼ中綿インクなので、軸径の差はインク容量の差ということになる。つまりハンディSは、ノック式マッキーよりも書ける量が少ないということだが、心配には及ばない。ハンディSは、別売のカートリッジを交換することでインクの詰め替えができるのだ。
使っていると意外と消耗の早い油性マーカーなので、外で使う分には予備カートリッジを筆箱に入れておけばいいという安心感がある。もちろんランニングコストも抑えられる。
また、このスリムさが活きているのかノック距離は18mmと短く(それでもやっぱり長いが)、ノックもはっきりとした軽さだ。さらには、押し込んだときにも最後にカチッというクリックがあって、これが心地よい。
もうひとつ、ハンディSならではのメリットがある。クリップが開くと連動して自動的に先端チップが収納されるギミックだ。ノック式ボールペンではままあるの機構だが、油性マーカーの先端を出したまま胸ポケットに挿してしまうと、ボールペンどころじゃない大惨事確定となる。そういう意味では、この機構はかなりありがたい。
マッキーノックとハンディSはどっちがいいの?
同じノック式油性マーカーというカテゴリということで、こうやって比較すると「じゃあ、どっちがいいの?」という話になりがち。これに関しては、軸が太く、かつグリップに刻みがあるので軍手をしていても書きやすいノック式マッキーと、軽いノックで使えてインクカートリッジ交換もできるハンディS。どちらもそれぞれメリットがあるので、好きな方をどうぞとしかいいようがない。あとは目安として、チップの太さにも違いがある。
比較すると、ノック式マッキーの方がチップが細くて筆記線も細い。流通の現場などで大きな文字を段ボールに書き込むならハンディSの方がいい(さらに太く書きたければ、中字のノック式ハンディも存在する)し、名前ペン的な使い方をするならノック式マッキーの方がオススメとなる。使用用途に応じて、自身にあったペンを選んでもらえれば問題ないだろう。