ここ数年、歩数や燃焼カロリー、心拍数をトラッキングしてくれるウェアラブルデバイスが次々に発売されています。しかし、どれもハードウェアの装着が不可欠。いちいち付けたり外したりするのは、意外とめんどくさいですよね。それで購入をためらっている人は多いはず。
しかし、これから着脱型ウェアラブルデバイスは時代遅れになるかもしれません。いま、ハーバード大学の研究チームが開発したトラッキングできる布センサーが注目を浴びているのです! このセンサーが浸透すれば、服や下着から自分のデータを楽に確認できるため、間違いなく負担が減らせます。
布センサーは服だけでなく手袋にも縫い込める
ここでいう布センサーとは、導電性繊維でシリコンを挟み込んだ静電容量方式センサーのシートのこと。センサーが微細な電荷を継続してモニタリングし、身体のわずかな動きをトラッキングします。つまり、服に布センサーを縫い込むことで服がウェアラブルデバイスになるのです!
布センサーは自由に切り抜くことができるため、手、足、腰、背中など身体のさまざまな身体部分の形状に合わせられます。シャツの背中部分、ズボンの膝部分、股関節部分に縫い込むことで、身体全体の動きをトラッキング可能に。これまでのハードウェアなウェアラブルデバイスと大きく異なり、柔軟な計測ができるというわけです。
もちろん縫い込むことができるのは服だけではありません。布センサー付きの手袋なら、手を開いたり閉じたりするという大きな動きだけではなく、それぞれの指の動き、指の相対的な位置をトラッキングすることができます。
そのため、将来的には身体全体の動きやパフォーマンスをトラッキングするアプリケーション開発に活用することが期待されています。
たとえば、スポーツウェアに布センサーを縫い込み、アスリートの身体全体のパフォーマンスをトラッキングするなど。トラッキングしたデータを元にパフォーマンスを診断し、フィードバックをアスリートに与えてパフォーマンスを向上させるようなイメージです。
とくにフォームが重要なゴルフのようなスポーツも、この布センサーがあると便利になります。ゴルフウェアがそのゴルファーの姿勢や身体の使い方を継続的に診断し、不調の改善も楽にできるようになるからです。この布センサーがあれば、健康をサポートしてくれるだけでなく、スポーツをますます楽しみやすくしてくれるでしょう。
ジェームズ・ボンドが布センサーを使いそう?
ただ、この布センサー開発中のニュースに関して、海外では「これはすばらしい」「007のQ(ジェームズ・ボンドを様々なテクノロジーツールで支援する科学者)がこのアイデア気に入りそうだ。ジーェムズ・ボンドのパンツらセンサーを縫い込めば、そこから彼の活動が追跡できるからね」といったコメントが寄せられています。
ほかには、「これイギリスの研究じゃないな。イギリスはスマートアパレルで何もリードしてないな」「わざわざ、何の意味あるの」「役立たないよ」などの厳しい意見も。
しかしこの布センサーは、服に縫い込むだけで着れるウェアラブルデバイスに変えられます。これまでのウェアラブルデバイスよりも、ずっと楽に身体のコンディションをトラッキングできるようになることは間違いありません。
残念ながらまだこのセンサーは商品化・量産はされていませんが、今後のウェアラブルデバイス業界を変革するポテンシャルを秘めた研究成果です。
もっと小型・軽量化すれば、貼ったままで使えるシールのようなウェアラブルも開発されるかもしれません。そう考えたら、スマートウォッチやスマートリングの購入はもう少し待ってもいいかもしれないですね。