小型軽量なキヤノンの35ミリ判フルサイズ機・EOS 6Dは、EOSで初めてWi-FiやGPS機能を搭載したことでも話題を集めた。その人気エントリーフルサイズ機の後継モデル「EOS 6D Mark II」が、約5年の年月を経て登場。本稿では従来機からの進化点や特徴などを踏まえつつ、実写レビューしていく。
画像処理が高速化され歪曲収差補正なども搭載
大きな変化として、背面モニターのバリアングル化が目立つが、それ以外の基本性能・仕様もかなり向上。映像エンジン、AF測距点数や測距エリア選択モードなどが進化している。さらに、これまで上位の一部の高性能モデルにしか搭載されていなかった、歪曲収差補正などにも対応している。
画素数を増やしながら連写速度も向上
画素数は、約30パーセント増加しつつも、連写速度は4.5コマ/秒から6.5コマ/秒にアップ。これは高速な映像エンジン「DIGIC7」採用によるところが大きい。タッチ対応のバリアングル液晶モニターを採用しながら、ボディの厚みや重さを微増に抑えている点も評価したい。
ここからはそれぞれの特徴を、作例とともに詳しく見ていこう。
【特徴1】新型の約2620万画素センサー搭載で階調豊かに撮れる
APS-Cサイズの約2.5倍大きい35ミリ判フルサイズセンサーは、1画素あたりの受光面積が広く、一般的に階調再現性に優れる。EOS 6DマークⅡに搭載される約2620万画素の新開発CMOSセンサーは、新規微細プロセス、新規フォトダイオード構造、新カラーフィルターといった最新のセンサー技術を導入。その結果、高画素化しながら、高ダイナミックレンジによる豊かな階調再現と低ノイズ化も実現している。
【特徴2】バリアングル液晶採用でライブビュー撮影が快適
バリアングル液晶の採用により、さまざまなカメラポジションやアングルでの撮影が可能になる。しかも、高速でスムーズなAFを可能にするデュアルピクセルCMOS AF方式も採用され、タッチパネル操作で素早いピント位置選択やタッチシャッターも可能。これらにより、快適なライブビュー撮影が行える。
【特徴3】AF測距点が45点に増え、動体撮影が行いやすい
EOS 6Dでは11点だったAF測距点は、45点へ大幅増。これにより、動く被写体や小さな被写体を、素早く正確に捉えることが可能になった。もちろん、素早さだけでなく、精度の高さや適応範囲の広さも重要。45点のAF 測距点は補足能力の高い「全点オールクロス」仕様で、上下18点を除くAF測距点が「開放F8対応」。だから、開放F値が暗い望遠~超望遠レンズにエクステンダーを装着した際にも、AFによるピント合わせが行える。AF測距点が45点に増え動体撮影が行いやすい
【特徴4】ピクチャースタイルに「ディテール重視」を追加
彩度などをイメージどおりに仕上げられるピクチャースタイル。EOSシリーズなどでお馴染みのキヤノンの絵作り機能だが、そのなかに「ディテール重視」という項目が加えられた。被写体の細部や階調再現を重視した仕上がりが得られるモードになっている。
【特徴5】初心者でも使いやすい「ビジュアルガイド」を採用
EOS 6DマークⅡには、フルサイズ機は高性能で高画質だが、操作が難しそうといったイメージを払拭してくれる「ビジュアルガイド」が採用されている。各撮影モード等の効果が、背面モニター上に写真を使って表示されるのである。選択した撮影モードや機能は、どういう働きや効果があるか? このガイドによって、それを直感的に知ることができる。
【特徴6】歪曲収差補正搭載で広角レンズ使用時も安心
レンズの収差を補正する「レンズ光学補正」機能。EOS 6Dには周辺光量補正と色収差補正が搭載されていたが、本機は新たに「歪曲収差補正」と「回折補正」も搭載。歪曲収差補正は広角レンズなどの歪みが自動補正される便利な機能で、少し前までは一部の上位モデルのみに搭載されていた。
【特徴7】4Kタイムラプス動画撮影がカメラ単体で行える
一定間隔で撮影した静止画をつなげて動画として記録・再生できるタイムラプス動画。EOS 6DマークⅡでは、映像エンジンDIGIC7の働きで、EOS初となるタイムラプス動画の4K記録も可能になった。各フレームごとの自動露出調整により、明るさが変化しても自然に記録される。
ボディ価格は少々上がったが、それでもフルサイズ機としては低価格。しかも、フルサイズEOS初のバリアングルモニターを搭載し、AF性能も大幅に向上。その高機能・高性能ぶりは目を見張るものがあり、エントリークラスのフルサイズ一眼の超本命といえるだろう。