時計愛好家の皆さんなら“雲上ブランド”への憧れは誰しもが持っているはず。頭一つ飛び抜けた、その名の通り雲の上のような存在である超一流時計は、なぜこんなにも魅力的なのか?そこで今回は、WN読者から熱い支持を集めたブランドから編集部が4ブランドをピックアップ。ブランドの確固たる歴史と今年の新作から、惹きつけられる理由を見てみましょう。
【A.ランゲ&ゾーネ】
宮廷時計師に従事したF.A.ランゲ氏が1845年に創業。第二次世界大戦後に国有化され社名も消滅しましたが、1990年に復興。1994年には、「ランゲ1」を含む復興後第1弾シリーズの凄まじい完成度の高さが世界に衝撃を与えました。
2017年の新作ではドイツの名門らしい複雑系を中心としたモデルを発表。特に“プール・ル・メリット”を冠したチェーンフュジー搭載のコンプリケーションを筆頭に、「ツァイトヴェルク」、「ランゲ1」から複数の新作が登場しています。「1815」初の年次カレンダーは、ボタン一つで全カレンダーを一斉に進められる便利機能で話題を集めました。
1994年の復興後にファーストコレクションとして登場した複雑時計の進化版。トゥールビヨン、鎖引き機構(チェーンフュジー)、クロノグラフ、ラトラパントに加え、新作はパーペチュアルカレンダーまで搭載。1319個ものパーツを1つ1つ磨き、組み上げる技術力は同社ならではです。
【パテック フィリップ】
リューズ巻き上げ式時計(1844年)や、ミニッツリピーター(1845年)、永久カレンダー(1889年)など、超複雑機構を含む数々の革新技術を開発してきた名門。2009年にはジュネーブ・シールに代わり、独自の品質ラベル「PPシール」を新設。
ヒゲゼンマイとタイムゾーン調整機構に特許技術を採用した「パテックフィリップ・アドバンストリサーチ」と、42.2㎜径の過去最大サイズで登場した「アクアノート・ジャンボ」、誕生20周年を迎えたこの2つのアクアノートが話題をさらいました。
シリーズ最大の42.2㎜径のジャンボサイズ。ブラック・グラデーションのブルー文字盤がカジュアル・シックで、ストラップも同色で統一されています。シースルーバックからは、自社製キャリバーの精緻な仕上げが楽しめます。
【IWC】
スイス伝統技術と米国最先端技術の融合を目指して1868年に創業。同年、傑作ムーブメント「F.A.ジョーンズ・キャリバー」を完成させました。「スペシャル・パイロットウォッチ」(1936年)をはじめ、これまで数多くの名作を開発。
毎年1つのシリーズを集中的にリニューアルを行うIWCは、今年10年振りに「ダ・ヴィンチ」をフルモデルチェンジ。2007年に初代モデルと同じトノー型となったコレクションが、再びラウンド型へと回帰しました。
クロノグラフの時・分積算計とムーンフェイズの機構を統合し、12時位置のサブダイアル1つで表示できる新キャリバーを搭載。スレートグレーダイアルに、着け心地のいい可動式ラグとサントーニ社製ストラップをセットしています。
【ヴァシュロン・コンスタンタン】
中世時計師の伝統を受け継ぐ老舗ブランド。さまざまな複雑機構の開発で知られ、1812年には鐘の音で分単位の時刻を知らせる「ミニッツリピーター」を開発。シックで格調高いデザインは、世界各国のセレブに人気を博しています。
2017年を「ソヌリと天体時計の出発点」と位置づけ、開発に5年~10年かけた「レ・キャビノティエ」をはじめ、「メティエ・ダール」からも天文三部作を完成させ、雲上ブランドらしい威厳を世界に見せつけました。
太陽中心説を唱えたニコラス・コペルニクスにオマージュを捧げる天文時計。自転しながら太陽の周りを公転する地球を示す文字盤は、グラン・フーエナメル、彫金、レーザー装飾&手彫りという個性的な三部作で展開されます。
ご紹介した中でも特に、パテックフィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタンは“世界三大時計”に数えられるだけあってWN読者からも人気。お値段は破格ですが、圧倒的な知名度や歴史、革新的な技術が揃った頂上モデルたちは、やはりいつかは手に入れたい憧れの存在です。