ミスタードーナツが好きです。
多いときには、1か月あたり10回以上はミスドへ行きます。
わたしの目的は、ミスドのお得なモーニングセットです。開店から朝11時までのあいだ、ドーナツ(パイ)1個とドリンクの組み合わせを320円で購入できます。
ドリンクは、ホットブレンドコーヒーかホットカフェオレを選びます。おかわり自由です。二者択一なので、飲み物について悩むことはありません。
ただし、ドーナツに関しては、苦渋の選択を迫られます。なぜなら、ミスドでは20種類以上のドーナツが売られているからです。
なぜ、優先順位がつけられないのか?
ドーナツは好物ですが、朝っぱらから2個も食べる気はしません。およそ20種類の中から、どれか1個を選ぶことになるわけです。たった1種類のドーナツを選ぶだけなのに、わたしはすぐに決められません。
そんなときには、ミスド店員や他のお客さんの視線が気になってしまい、納得しないまま適当なドーナツを選ぶことになります。気が弱いからです。
わたしは優柔不断であり、物事の優先順位をつけるのが苦手です。
弱点を克服するために『なぜ若者は優先順位がつけられないのか?』(長谷川一彌・著/学研プラス・刊)という本を読んでみました。
『若者は~』と題していますが、年齢にかかわらず、正しい優先順位がわからないという悩みは誰にでもあります。当コラムでは、年齢にこだわらずに「優先順位」について考えます。
優先順位とは何か?
優先順位は、明確な意思決定ができないときや確認するとき、つまり悩んでいたり混乱している心の状態を整理整頓するために使います。
(『なぜ若者は優先順位がつけられないのか?』から引用)
約20種類のドーナツ(パイ)を目の前にしたとき、わたしの心は、まさに「混乱状態」になります。心が乱れていては、正しい意思決定をおこなうことができません。
わたしは、どのような状況下にあっても、1種類のドーナツを「正しく」「速やかに」選べるようになりたいです。
そのためには、優先順位をつけるコツを身につけなければいけません。
『なぜ若者は優先順位がつけられないのか?』という本には、優先順位を決定するためのコツが書いてありました。
「ひとつの価値観でやり通す」「すぐできる優先順位決定法」という、2つの考え方について紹介します。
ひとつの価値観でやり通す
一つの価値観で最後までやり通したとき、自分がすっきりすることを理解しよう
(『なぜ若者は優先順位がつけられないのか?』から引用)
悩んでしまうのは、2つ以上の価値観のあいだで心が揺れ動いているからです。好きか、嫌いか。損か、得か。本能に従うか、理性で抑えるか。
わたしがいちばん好きなドーナツは、『オールドファッションハニー』です。しかし、行きつけのミスドでは、『オールドファッションハニー』をうまく仕上げることのできない店員がいます。
接客態度や雰囲気はとても良いお店なので、クレームを申し立てたことはありません。そんなときには、『オールドファッションハニー』以外のドーナツを選ぶことになるわけです。
わたしの心の中に「悩み」や「迷い」が生まれる瞬間です。混乱状態です。
わたしはいかにして1種類のドーナツを選ぶのか?
優先順位とは、明確なストーリー作りのためのポイントの箇条書きと、並べ替えのようなものなのです。
(『なぜ若者は優先順位がつけられないのか?』から引用)
『オールドファッションハニー』の醍醐味は、たっぷりのグレーズ(はちみつ風味のシロップ)です。
甘さで舌がしびれるくらいの量のグレーズが、ドーナツ片面の溝(みぞ)を埋めつくすほどに滴っていなければ、ミスドの『オールドファッションハニー』とは認めることができません。
たっぷりのグレーズが真っ白に凝固していることを視認できないときには、『オールドファッションハニー』を見送ります。つまり、別のドーナツを選ばなければなりません。
ミスドのドーナツ(パイ)は約20種類です。選べるのは1つだけ。どれを食べればいいのかわかりません!
「おいしいドーナツを食べて満足したい」という漠然とした価値観では、速やかな意思決定はできないのです。あわてて不本意なドーナツを選ばないためには、自分にとっての「優先順位」を定める必要があります。
もしも「舌がしびれるくらいの甘さ」を重視するならば、チョコレート系ドーナツや、粉砂糖+たっぷりカスタードの「カスタードクリームドーナツ」が候補に挙がります。
しかしながら、寝起きの胃腸にとって、チョコレートやカスタードクリームの脂肪分は重たく感じてしまいます。
やはり、はちみつ風味であるグレーズの「胃にもたれにくい甘さ」を最重視したいです。
つまり、『オールドファッションハニー』と同じくグレーズを滴らせている『フレンチクルーラー』や『ハニーチュロ』や『ハニーディップ』が代替案になります。
しかしながら、これらの代替商品は『オールドファッション』系ドーナツのような食べごたえには及びません。
わたしが朝ミスドに求めている「ひとつの価値観」を明文化するならば、「チョコ系ではない軽やかな甘味がたっぷり味わえるオールドファッション系ドーナツ」ということになります。
すなわち、コクがありながら胃にもたれにくい黒砂糖パウダーをまぶした甘味たっぷりで食べごたえのある『オールドファッション黒糖』です。
ひとつの価値観によって優先順位づけをおこなうことにより、正しい意思決定ができました。
すぐできる優先順位決定法
「ごちゃごちゃ考えたくない!」という人のためには、もっとシンプルな優先順位決定法があります。
子どもは目の前にお菓子がたくさんあると選べないので、困った挙句全部欲しいとか、適当に選ぶ、親に決めてと頼む、などの行為をしがちです。
私がやっていたことは、お菓子をまず一つ手に取らせます。それと別のお菓子を比べてどっちがいいか決めていくのです。
必ず二つに一つの選択をしていくのです。
(『なぜ若者は優先順位がつけられないのか?』から引用)
このテクニックは、20種類以上から選ぶことになるミスタードーナツにおいて、きわめて有効です。
『オールドファッションハニー』がダメならば『オールドファッション黒糖』、それが品切れならば、その日の体調に合わせて『ハニーチュロ』か『カスタードクリームドーナツ』のいずれかを選ぶのが、わたしの朝ミスドにおける定番メニューになりました。
(文:忌川タツヤ)
【文献紹介】
なぜ若者は優先順位がつけられないのか?
著者:長谷川一彌
出版社:学研プラス
何をしたらいいのか自分で決められない若者たちが多い。有名スポーツ選手などのメンタルトレーナーとして豊富な経験を持つ著者が、彼らの実例を挙げ、タイプ別に分析し、対処法及び解決策を提示する。若者たちの心と向き合うための書である。
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