パソコン周辺機器大手のロジクールは、同社としては7年ぶりのモデルチェンジとなる新型トラックボール「MX ERGO」を発表しました。MX ERGOは、同社のマウスやキーボードのハイエンドモデルに名付けられる「MX」を冠したモデルで、フラグシップ的な位置づけなモデルです。9月6日の発表会以降、様々なメディアが進化ポイントや使い勝手の良さに触れていますが、それも納得の出来! 本稿ではマウス派の筆者が非トラックボーラー視点で同製品の詳細と使い勝手をレポートします。
フラッグシップにふさわしい多彩な機能
フラグシップたる理由として、手や腕の疲労を低減するエルゴノミクスデザイン、本体の傾斜角を2段階で調整できる機構、2台のデバイスを切り替えて使用できるワイヤレス仕様など、多彩な機能が搭載されています。
特にワイヤレス機能は、同社のハイエンドマウスでもお馴染みのUnifying(2.4GHz接続と)Bluetoothに対応し、2台のデバイスをペアリング可能。さらに2台のデバイスの画面をカーソル移動させるだけで、操作先を切り替えられる「FLOW」という機能にも対応しています。
豊富なボタン類による高い操作性
ボタン類はお馴染みのロジクールクオリティ。クリック感が心地良い左右ボタンのほか、左右にチルトするホイール、様々な機能を割り当てることができるサイドボタンなど、同社のハイエンドマウスに搭載されている機能を踏襲しています。
また、正確なカーソル操作を行うために、カーソルの移動速度を切り替える「プレシジョンモード」を搭載。カーソルの移動速度をボタン1つで2段階の切り替えが可能な機能です。
エルゴノミクスデザインを実現するために試作された型の数々
本モデルの製品名にもなっているエルゴノミクスデザインは、数多くの「型」を試作して完成した経緯があります。フィット感や手首の角度を最適化することにより、マウス使用時に比べて手や腕の疲労が約20%も低減することに成功したそうです。
トラックボールはマウスの代わりになるのか?
MX ERGOがコダワリを持って開発されたのはわかりましたが、そもそもポインティングデバイスとしてトラックボールは使えるの? という疑問もあります。
デスクトップパソコンを使用していれば、大多数の人がマウスをポインティングデバイスとして使用していると思います。筆者もご多分に漏れず、マウスを使用しており、トラックボールを本格的に使うのは今回が初めて。
まずMX ERGOを握った感想ですが、「大きめのマウス」といった手触りで、思わずマウスの様に机上で動かしてしまいそうになります。
次に、MX ERGOに搭載された角度調整機能ですが、筆者の場合は20度の傾斜をつけたほうがしっくりきました。小指側の側面(手刀の部分)をデスクにぺったりと置くことができるので、安定するし疲労も少なく感じます。
では、肝心のトラックボールの操作ですが、意外にもすぐに慣れました。マウスでカーソルを移動する場合は、マウス本体を親指と小指で挟み込むことで、握力的な疲労がありましたが、トラックボールは握力を使いません。本体に手のひらを乗せて、ボールを親指だけでクリクリと操作するので、腕の動きがマウスに比べて少なめ。
疑問視されている正確なポインティングも、筆者的には特に問題なし。ブラウザのリンクをクリックしたり、アイコンをダブルクリックする程度の操作はなんら違和感がありません。
ただしこれは、あくまでもカーソルを移動してクリックするといったボールとボタンを別々に操作する際の話です。
ボタンを押しながらボールを操作するとなると、話は変わってきます。例えば、コピペ元のテキストを選択したり、ファイルをコピーしようとしてアイコンをドラッグするなどの、いわゆるドラッグ&ドロップのを操作するには少々慣れが必要そうです。ボタンを押しながらボールを操作していると、ボタンから指が離れてしまい、アイコンを変なところでドロップしてしまうといった誤操作をしてしまうことも。
MX ELGOはトラックボールとしては秀逸ですが、そもそもトラックボールの操作に慣れる前提があるというのが、マウスユーザーである筆者の感想です。ただし、使用前に抱いていたほどの違和感がなく、疲労低減や省スペースなどのメリットも多いため、慣れさえすれば常用する価値は十分にある製品と言えるでしょう。もちろん、日ごろからトラックボールに慣れ親しんでいる“トラックボーラー”にとって要チェックな製品であることは間違いありません。
【SPEC】
MX ERGO
●メーカー希望小売価格(税抜):1万3910円 ●サイズ W51.4×D132.5×H99.8 mm ●質量168g(本体のみ)