Appleは9月12日(米現地時間)、「iPhone X」および「iPhone 8/8 Plus」を発表しました。本記事では、現地のタッチアンドトライ会場の様子を交え、「iPhone X」に関する筆者のファーストインプレッションをお届けいたします。
今回の会場となったのは、新社屋Apple Parkにある「Steve Jobs Theater」。 1階は全面ガラス張りで、柱がなく、4つの入り口から出入りできる作りになっています。中には、左右に分かれる2つの下り階段があり、そこを下るとプレゼンテーションが行われたホールの入り口に到達。タッチアンドトライ会場となったのは、そのホールの入り口に相当する場所でした。
iPhone Xは操作性が大きく変更された
今回発表された数ある新機種のうち、最注目はやはり「One more thing……」のキーワードとともに発表された「iPhone X」です。
同機は、従来のiPhoneシリーズからデザインを一新しました。ボディは両面ガラスで、側面をステンレススティールのフレームがぐるっと囲みます。手に持った印象では、Plusシリーズほど大きくはなく、iPhone 7よりも少しだけ大きいかなと感じるサイズ感。ガラスならではのしっとりとした手触りも印象的でした。
ディスプレイのサイズは5.8インチ。OLEDディスプレイ、すなわち有機ELを新採用しています。前面カメラの周辺部のみがくぼむ変則的な形ですが、端末のほぼ全面がディスプレイになっているのが特徴。「TV」アプリで動画を表示させたところ、シネスコサイズのコンテンツでも黒帯を少なく表示でき、全画面表示に切り替えることもできました。
「Super Retina HD Display」と称されたディスプレイの解像度は、2436×1125ドット(458ppi)となっており、シリーズ史上最も高精細です。コントラスト比も100万:1という非常に高い基準をクリア。HDRをサポートしているので、iTunesやNetflixのHDRコンテンツを視聴できる点もポイントです。iPhone XはiPhone 8とそこそこ価格差がありますが、よく動画を視聴する人にとっては、ディスプレイ目当てで購入しても損はないでしょう。
前面カメラ部分にくぼみがあることで、アンテナや時刻の表示場所が少し変わっています。従来中央に表示された時刻は左端へ移動。そして、左端にあったアンテナのアイコンが右側へと引っ越しました。
また、iPhoneの象徴とも言うべき下部のホームボタンが無くなったこともトピックです。そのため、大きく変わった操作方法も確認しておきましょう。まず、スリープ状態から復帰するには、サイドのボタンを押すか、ディスプレイをタッチします。
ホーム画面を起動するには、(従来ならホームボタンを押しましたが)ホームボタンがあった下部中央部分を上向きにスワイプアップします。何かアプリを起動していても、スワイプアップで、ホーム画面に戻ります。アプリ画面からスワイプアップする際に、画面から指を離さずにいると、マルチタスク画面が表示される仕様です。また、ディスプレイ下端を左右にスワイプすることで、複数のアプリを素早く切り替えることができました。
スワイプアップなどによる操作は、筆者としては、ホームボタンを使ったものより快適に感じました。最初は違和感があっても、2日くらい慣れるのではないかと思います。それくらい自然に使用できました。
一方、従来スワイプアップで行えた「コントロールセンターの表示」について操作方法が変わっています。これは、画面上部右側(バッテリー残量が表示されている場所)をスワイプダウンするのが正解。画面上端の操作でコントロールセンターが起動します。大抵の場合、問題ないと思われますが、手の小さい人や、右利きの人がたまに左手で持った時などは、ちょっと苦労するかもしれません。ちなみに、そのほかの上端をスワイプダウンすると、従来通り通知センターが開きました。
「Face ID」や前面カメラにも注目
ホームボタンが無くなったことで、Touch IDによる指紋認証が使えなくなりました。その代替として新登場したのが、「Face ID」による顔認証。Touch IDと同じ感覚でユーザーの顔を2回登録すれば使えます。Androidの顔認証と異なるのは、単に正面を向いた顔を登録するのではないというところ。Face IDの登録では、カメラに顔を写しながらをラジオ体操のように首をぐるっと一周します。つまり、顔の立体的な形を登録しているわけです。もちろん、Face IDは画面ロック解除だけでなく、Touch IDのようにApple Payの認証などにも使えます。
Touch IDは、手の皮脂が付いているときや、水を触ったあとなど、上手く反応しないシーンもたまにありますよね。Face IDではそういった点も解消されるのではないかと期待されます。ちなみに暗所でも使用できるとのことです。
関連する前面カメラの機能についても紹介されました。例えば「SnapChat」で使えるマスク風のスタンプは、顔の向きを変えてもぴったりと皮膚に沿った形で表示されます。
また、メッセージで使える「Animoji」では、自分の顔の動きが画面内のキャラクタースタンプに反映されます。
つまり、顔の立体的な形を捉えているのです。これは、「TrueDepthカメラ」システムとして、前面カメラの周辺部に「赤外線カメラ」「投光イルミネーター」「ドットプロジェクタ」などが搭載されていることによります。最新のA11 Bionicチップも一役かっています。
ポートレートモードの進化
話を背面のデュアルカメラに移しましょう。iPhone Xは、各1200万画素のデュアルカメラを搭載します。外見としてはカメラが縦に並んでいる点がユニークです。また、広角・望遠カメラともに光学手ぶれ補正に対応したため、ズーム時や動画撮影時、暗所でもよりブレの少ない映像を撮影できます。F値は1.8(広角)と2.4(望遠)となっています。
会場では、「ポートレートライティング」(β版)を体験できました。これはポートレートモードの撮影画面か、あるいは撮影後の写真の編集画面にて、ライティング効果を追加できるというもの。カメラ画面下部(横向きの場合には横)にエフェクトの一覧が表示されるので、それを選択するだけで使用できます。また、「ポートレートライティング」はインカメラでも使用可能です。
ちなみにエフェクトの種類は「NATURAL LIGHT(自然光)」「STUDIO LIGHT(スタジオ照明:くっきり写す)」「 CONTOUR LIGHT(輪郭強調照明:印象的な影に)」「STAGE LIGHT(ステージ照明:暗い背景にスポットライト)」「STAGE LIGHT MONO(ステージ照明のモノクロ)」の5種類があります。
綺麗な写真にライティングは必須ですが、なかなか日常では現実的にそこまでの準備はできませんよね。数回触っただけなので詳細なレビューは避けたいと思いますが、「ポートレートライティング」を使えば、思い通りの写真が撮れるかもしれないなと期待が高まりました。
iPhone Xは10月27日に予約開始、11月3日に発売となります。Apple Storeでの価格は一括11万2800円〜。iPhone 8/8 Plusから約1か月遅れとなりますが、果たしてどのモデルを買うべきか。これからたくさん悩みましょう!