デジタル
2017/10/5 17:04

日本発売は、あるのか!? ――東芝が北米でAI搭載スマートスピーカーを発売

東芝の液晶テレビ「レグザ」を開発・販売する東芝映像ソリューションが、北米のAI搭載スマートスピーカー市場に進出。記者会見を開催し、アマゾンのAIアシスタントであるAlexaを搭載した「TH-GW10」を今年の12月に発売することを明らかにしました。価格は200~300ドル前後になります。

 

AIアシスタントにアマゾンAlexaを採用したAIスマートスピーカー

本体は茶筒のような円筒形のデザインで、ブラックとホワイトのツートンカラー。オンキヨーと共同開発した高音質スピーカーユニットを内蔵するほか、音声によるコマンドを正確にピックアップするマイクアレイと、正面には130度広角レンズ仕様のカメラユニットを搭載しています。充電池は内蔵せず、電源ケーブルをつないで使う据え置き型のスピーカーになります。

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↑アマゾンのAlexaを搭載したAIスマートスピーカー「TH-GW10」は12月に北米で発売予定。ボイスコマンドを話しかけて、様々なスマート家電やIoTデバイスと連携操作ができます

 

スマートスピーカーが宅内にある通信方式の異なるIoTデバイスとつながるためには、ホームゲートウェイと呼ばれるデバイスを別途用意する必要がある場合もありますが、東芝のTH-GW10はホームゲートウェイ機能を内蔵していることが大きな特徴です。「通信規格はWi-Fi/Bluetooth/Zigbee/Z-Waveの4つに対応しているので、北米で販売されているたいていのIoTデバイスとつながって不自由なく使えます」と、商品の開発を指揮した東芝映像ソリューション技師長の石橋泰博氏がコメントしています。

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↑プレゼンテーションを行った東芝映像ソリューション技師長の石橋泰博氏

 

東芝が独自に開発したスマホアプリを介して、スピーカーの様々な機能を設定したり、宅内にあるIoTデバイスのコントロールをスマホからコマンドを送って、スピーカー経由で制御できるようにもなります。特にスピーカーに内蔵するカメラで撮影したストリーミング映像の再生、あるいはクラウドサーバーへの録画操作にはスマホアプリが必携といえるでしょう。音声とアプリの両方で手軽に操作できるところも同スピーカーならではの特徴です。

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↑スマートスピーカーとして、あるいはホームゲートウェイや本機自体がセキュリティIoTデバイスとしても機能できるマルチなデバイスとして位置づけています

 

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↑東芝が独自に開発したモバイルアプリで操作します

 

いくつかあるAIアシスタントの中でアマゾンのAlexaを採用した理由について、石橋氏は「北米では最も広く普及していて、認識精度も高いという評判を受けたため」と説明しています。記者会見の会場では新製品TH-GW10を使って音楽ストリーミングサービスから聴きたい曲を再生したり、スマートドアロック(アプリなどで遠隔操作できるドア鍵)の開閉をAlexa経由で操作するデモンストレーションも披露されました。Alexa対応の冷蔵庫やオーブンなどスマート家電があれば、これらも本機で操作ができるだろうとのこと。なお音楽再生については、スマホの中に保存した音楽ファイルをBluetooth経由でスピーカーにつないで聴くこともできます。

 

「TH-GW10には、マイクから入力された音声をクリーンに集められる東芝独自の技術が乗っています。“アレクサ”と声をかける時の“トリガーワード”についても、機械学習の技術を応用することでより正確に認識することができます」と石橋氏はマイク性能のチューニングに東芝ならではのノウハウが投入されていることを強調しています。オンキヨーが培ってきた高音質スピーカーの技術とあいまって、音楽を聴く方でもリッチな体験ができるところが本機の魅力だといえます。

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↑音声認識の高い精度が東芝のスマートスピーカーならではの特徴です

 

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↑スマートドアロックなど、ネットワーク通信規格が異なるデバイスもホームゲートウェイを追加せずにTH-GW10単体での操作が可能です

 

日本発売の可能性は?

TH-GW10は12月以降、北米では家電ショップをメインに販売されることになりそうです。本体のカメラで映像をストリーミングしたり、クラウドサーバーに録画ができる機能などもユーザーに無料で開放されるとのこと。「まずは一定数のユーザーを獲得できるまで無料で使ってもらえるサービスを充実させていきたい。よりプレミアムなサービスについては有償で提供することも視野に入れています」と石橋氏が戦略を語ります。

 

TH-GW10が、この先日本でも販売される可能性はあるのでしょうか? 石橋氏は「日本と北米ではユーザーがスマートスピーカーを使う環境がかなり違うので、このまま商品を投入するのは難しい」としながら、だからこそインターネット接続やタイムシフト録画など“テレビのスマート機能”を充実させてきた薄型テレビ「レグザ」との連携など、色々な可能性を含めて検討していくことが大事だと述べています。

 

それはつまり、AlexaなどAIアシスタントを搭載するレグザがこの先に日本で発売される可能性もあるということなのでしょうか? 質問してみたところ「レグザとの連携についてはあらゆる可能性を検討すべきだと考えています。ご期待ください」という楽しみな答えが返ってきました。テレビは家族が集うリビングや、一人暮らしのワンルームにもなくてはならない家電なので、そこにAIアシスタントと連携する音声コントロール機能が加わってきたら、スマート家電の魅力が一段と強く実感できるかもしれません。

 

なお、今回の記者会見ではTH-GW10をベースに、日本語による音声コマンド入力に対応させたプロトタイプもお披露目されました。こちらは東芝のグループ企業である、東芝デジタルソリューションズが開発を進める独自の日本語対応AIアシスタント「RECAIUS(リカイアス)」の音声合成技術を組み込んで、製品化に向けたトライアルを進めているそうです。もし東芝の日本版AIスマートスピーカーが発売されるなら、Alexaとリカイアスの両方をサポートすれば、できることが増えて面白くなりそうです。