2017年の紅葉シーズンがやってきた。今年こそ、一眼カメラできれいな紅葉を撮ろうではないか! 撮影に出掛ける前に、まずは必要な機材とカメラの設定をチェックしよう。
【機材】軽装備でも撮影は可能だが、PLフィルターは必需品
紅葉撮影の初心者なら、まずは一眼カメラと標準ズームレンズ1本を用意しよう。標準ズームの画角は肉眼で見たときの視野に近いため、神社仏閣や庭園、公園などの箱庭的な紅葉風景を、目で見たときの印象に近く捉えることができる。また、比較的コンパクトな製品が多いので、登山や旅行に持っていくのにもおすすめだ。
山岳エリアなど広々とした紅葉風景を狙うには、広角レンズと望遠レンズが欲しくなる。広角レンズは広がりや遠近感を生かした撮影を楽しめるが、あれもこれもと欲張ってフレーミングすると散漫になりやすい。主役となる紅葉に近づいて、大きく捉えることを意識しよう。
遠くのものを引き寄せられる望遠レンズは、紅葉の迫力ある姿を捉えるのに有効だ。紅葉の樹形を生かしたり、鮮やかな部分を切り取ったりすることができる。
紅葉についた水滴や霜をまとって色づいた落葉などをアップにするならマクロレンズの出番。しかし、軽装で出掛けたいのであれば、これは省いてもいいだろう。マクロレンズはステップアップのつもりで挑戦してみてほしい。
そして、紅葉の鮮やかさや青空の深さを引き出すのに欠かせないのがPLフィルターである。紅葉の表面反射を取り除くことで、紅葉の深みのある色を表現できる。曇天や雨天時にも白い空を映して紅葉は白くテカリがちなので、晴天時以外でも積極的に使用したい。その際は、ファインダーをのぞきながらフィルター枠を回転させ、効果を調整しながら使うこと。
晴天時の紅葉は光も強くて、手持ち撮影でも対応できるが、曇天や雨天時は暗くなりがちなので三脚が欲しい。PCで画面全体を見ていると問題なくても、拡大してみるとブレやピンボケに気づくことは多い。特に朝夕やライトアップ下の撮影では、ブレを防ぐための三脚とレリーズは必須だ。
【カメラ設定】鮮やかな色、繊細な描写を引き出す設定にしよう
紅葉撮影では絞り優先オートで絞りの効果を生かすとよいだろう。葉のアップなどでボケを生かすなら絞りF2.8~5.6、広大な景色の前景から背景までシャープに捉えるならF8~16程度まで絞り込みたい。
手持ち撮影では手ブレが心配だが、1/125秒以上のシャッター速度ならひとまず安心だ。ただし、望遠レンズは手ブレしやすいので、できれば三脚を使いたい。三脚使用時は一眼ならではの最高画質を得られるISO100やISO200にセットし、手持ちならISO400やISO800に感度を上げてシャッター速度を稼ぐといい。
ホワイトバランス(WB)は「太陽光(晴天)」モードにして、現場の色や光など臨場感を引き出す。日中の自然な色合いだけでなく、朝夕の赤い光や日陰の青みを帯びた色など、光の効果を生かせる。ただ曇天や雨天時に紅葉の色が青みを帯びてしまうときは、「曇天」モードで暖かみのある色調にしよう。
仕上がり設定は、適度なコントラストと鮮やかさでメリハリのある描写となる「風景」モードがおすすめだ。ただし、紅葉をアップにすると鮮やかすぎることも多いため、そうした場合は「スタンダード」や「ニュートラル」で優しい色合いと滑らかな階調を捉えたい。
さらに、空が白とびしたり、影になった紅葉がつぶれて黒くなったりしてしまうのを防ぐために、階調補正機能は通常「オート」にしておこう。明暗差が強すぎる逆光シーンなどでは、「強め」や「より強め」に変更するようにしたい。
ピント合わせは、パンフォーカス撮影なら画面の中央付近にピントを合わせて絞り込めばよいが、紅葉をアップにするときは主役の紅葉にしっかりとピントを合わること。設定は、ピンポイントに測距点を選べる「1点AF」と、静止した被写体を撮るのに向く「AF-S(シングルAF)」がベターだ。
紅葉撮影における機材とカメラ設定がわかったところで、次回は最適な天候&光と露出を解説する。