読書好きな人が「有能」とは限りませんが、仕事ができる人は「本をたくさん読んでいる」ような印象があります。本をたくさん読んでいる人は、物事をよく知っており、日ごろから大量の情報処理をおこなっているからです。
読書には、さまざまな効用があります。たとえば、悩みごとを解決したいとき「本に答えを求める」ことがあります。あらかじめ「読書のコツ」を知っておけば、問題解決をスピードアップできるかもしれません。
悩みごとは読書で解決しよう!
『仕事の仕方がガラリと変わる読書術』(伊吹 卓・著/学研プラス・刊)という本があります。70歳までに約1万冊の本を読んできたという伊吹さんは、あらゆる「悩みごと」を読書で解決してきたそうです。
生きていれば、悩みは尽きません。新たな「悩みごと」に遭遇したとき、わたしたちは大きく分けて5種類の反応を示します。
第1のタイプ──悩まない人
第2のタイプ──悩むだけで終わる人
第3のタイプ──悩みを乗り越えられる人
第4のタイプ──悩みを乗り越えるコツに気づいた人
第5のタイプ──新しい悩みを楽しむようになった人
(『仕事の仕方がガラリと変わる読書術』から引用)
伊吹さんは、70代をむかえて「新しい悩みを楽しむようになった」といいます。約1万冊の読書経験のおかげです。どのような本の読み方をすれば、伊吹さんのような境地に達することができるのでしょうか。
20代は「乱読(らんどく)」
20代で「乱読」をしていると、自然に自分が好きな本のタイプに気づくようになる。
そのようになると書店へ行った時にも「好きな本」がすぐ目につくようになる。
(『仕事の仕方がガラリと変わる読書術』から引用)
乱読とは、手当たりしだいに本を読むことです。新刊はもとより、テレビやインターネットやSNSで話題になっている本があれば、可能なかぎり読みましょう。自分が「何が好きなのか」を探り当てるためです。
いろいろな本を読むことによって、人生の指針となるかもしれない著者に出会えるはずです。判断力をつけるために乱読するのです。
30代は「ホレ読み」
私にとって「ホレた本の著者」は「師匠」であった。
私は本のなかに「師匠」の顔を見た。心を見た。
そして師匠が私のそばにいるかのように本に質問した。
(『仕事の仕方がガラリと変わる読書術』から引用)
『仕事の仕方がガラリと変わる読書術』の著者がホレたのは、『私の生き方』(小林一三・著)という本でした。小林一三は阪急グループの創業者です。阪急電鉄や阪急百貨店、宝塚歌劇団、東宝映画などを興した人物であり「経営の神様」といわれています。
20代の乱読期に『私の生き方』という本と出会ってからというもの、小林一三にまつわる本を買い集めたそうです。信頼できる著者を「ホレ読み」することで、ますます理解を深めることができます。
40代は「信じ読み」
私は、好きな著者を信じるようになった。そして、それに比例するかのように、自分を信じるようになっていった。
(『仕事の仕方がガラリと変わる読書術』から引用)
なぜ「悩み」が生じるかとえいば、自分を疑ってしまうからです。気の迷いは、行動力や判断力を鈍らせます。
「ホレ読み」した著者の考えを信じることによって、迷いがなくなります。そして、いつのまにか自分のことも信じられるようになるのです。自分を信じることを「自信」といいます。
50代は「反復読み」
若いころの私はホレた本を読んでいても「飛ばし読み」をしたものだが、50代になって読み直してみると、飛ばし読みをした部分にも共感し、感動する部分が続出してきたものである。
だから「反復読み」をするつもりだったのに、意外なことに新鮮なのである。
(『仕事の仕方がガラリと変わる読書術』から引用)
本というのは不思議なもので、読むたびに新しい発見があります。年齢と経験を積み重ねることによって、いままでの解釈がズレていたことに気づくのです。「反復読み」をすることによって、見識と自信をますます堅牢にすることができます。
『仕事の仕方がガラリと変わる読書術』には、さらに60代と70代に心がけるべき「読書術」が収録されています。本の賢い読みかたをマスターして、良い人生をすごしたいです。
(文:忌川タツヤ)
【文献紹介】
仕事の仕方がガラリと変わる読書術
著者:伊吹 卓
出版社:学研プラス
著者は現在75歳。20代の頃から様々な本を乱読してきた。仕事や人生につまずき、悩むたび、本にその答えを求めてきた。信じた本が私の師匠。そう言い切る氏の言葉は、まさに読書を通じて得た知恵への確信だ。若いビジネスマンに読んで欲しい実践読書術。
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