iPhone10周年の節目に登場した「iPhone X」――。来たる11月3日に、ついに発売を迎えます。ホームボタンが廃止され、全面に広がる有機ELディスプレイを新搭載。使い慣れた「iPhone」とは異なる挑戦的な姿勢に、多くの人が興味を持っていることでしょう。
今回は、発売前の実機を手にする機会を得たので、数ある特徴の中でもiPhone Xの独自性が高いインカメラ――「TrueDepthカメラ」に焦点を当て「ポートレート撮影」や、特に気になる顔認証機能「Face ID」をじっくり検証してみました。
【気になるとこ1】「Face ID」の動作はスムーズ?
とにもかくにも、まずは「Face ID」について。こちらはTrueDepthカメラによって、ユーザーの顔を認識し、画面ロック解除やコンテンツ購入時の認証に利用できる機能です。iPhone Xでは、ホームボタンが廃止されていることもあり、「Face ID」の使い勝手は、そのまま端末の使い勝手に直結してくるところ。
登録方法は、従来の指紋認証機能「Touch ID」の登録と似ています。まずは、「設定」アプリの「Face IDとパスコード」から「Face ID」をタップ。その後は、画面表示の指示に従って、顔の情報を登録していきましょう。カメラを見ながら首をぐるっと回して、立体的な情報を覚えさせます。登録時には、何とも言えない「未来感」が伝わってきました。
実際の使い心地は、非常に良好でした。iPhone Xは「サイドボタンを押す」または「画面をタップする」とスリープ状態が解除されるのですが、次の瞬間には画面ロックが解除されています。そのまま画面下端をスワイプアップすれば、ホーム画面が起動。先述の通り、鍵のアイコンが開錠される表示はありますが、実際の操作ではその表示を待つ必要はありません。スリープ復帰後、すぐにスワイプアップすればOK。流れるような操作が実現します。
またFace IDでは、顔の正面だけでなく、立体的な情報を照らし合わせているので、iPhone Xを顔の正面まで持ちあげる必要はありません。普段通りの姿勢でも、問題なく使用できます。「寝ている間にロックを解除されやすいのでは?」と疑問に思う人も多いでしょうが、その心配は不要。設定項目で、「Face IDを使用するには注視が必要」をオンにしておけば、iPhoneを見たときのみに認証されるようになります。なお、同項目はデフォルトで有効になっています。
【気になるとこ2】結局ちゃんと認証できるの?
他社スマホの顔認証機能というと、機種によっては、眼鏡の有無でも認証できなくなることがあります。では、iPhone XのFace IDではどうなのでしょうか? みなさんが実際気になるのはここでしょう。今回は様々な条件で検証を行い、使い勝手を調べてみました。なおFace IDの登録は、メガネや帽子などを一切身に着けずに行っています。
(1)暗所でも解除できるのか? → 〇
(2)帽子をかぶると? → 〇
(3)マフラーを深く巻くと? → ×
(4)眼鏡をかけても大丈夫か? → 〇
(5)サングラスではどうか? → 〇
(6)マスクをつける場合は? → ×
(7)顔の輪郭が隠れたらどうか? → 〇
どうやら口周りが隠れていると、Face IDではうまく認証できないことが分かりました。マスクやマフラーで口元を隠すことが多い人は、パスコードを4桁に変更しておくと良いかもしれません。一方、帽子や髪型などが変わっても、メガネ・サングラスの装着の有無でも、認証結果はさほど影響を受けませんでした。日々の生活の大部分で、快適に利用できることが期待されます。
想像していた以上の高度な認識率。実機に触る前に抱いていた、Face IDに対するほのかな不信感はいっさい消えてしまいました。指紋認証から顔認証への変更は大きな変化ではありますが、従来のiPhoneユーザーでも違和感なく移行できるでしょう。
【気になるとこ3】8/8 Plusと比べてサイズは大きいの? 小さいの?
Face IDの実力は堪能して頂いたと思いますが、せっかく実機が手元にあるのでその他の気になる点にも少しだけ触れたいと思います。iPhone Xと言えば、ご存知の通り凹型のディスプレイが特徴的。サイズは5.8インチであり、iPhone 8と8 Plusの間くらい。シリーズ初となる有機ELディスプレイを採用していて、コーナーに沿って曲線的なエッジを実現しています。視野角も非常に広いのが特徴です。
解像度は、2436×1125ピクセルで、458ppi。従来のiPhoneよりも高精細なディスプレイは「Super Retina HD Display」と呼称されます。HDRコンテンツを視聴できることもポイントです。
【気になるとこ4】「TrueDepthカメラ」って何がすごいの?
上部の「凹」部分に位置するのが「TrueDepthカメラ」。冒頭ではインカメラと紹介しましたが、正確にはフロントカメラのほか、赤外線カメラ、投光イルミネータ、近接センサー、環境光センサー、ドットプロジェクタなどが集まったカメラシステムです。iPhone X独自の機能で、Face IDと同じく注目度の高いカメラのすごさをサクっと解説します。
iPhone Xでは、「ポートレート」撮影が背面カメラだけではなく、前面のTrurDepthカメラでも使用可能となるのがポイント。なお、「ポートレート」はiPhone 7 Plusで初搭載された撮影モードで、背景をぼかす「被写界深度エフェクト」により、被写体を際立たせられます。
注目したいのは「ポートレートライティング」機能。プロのカメラマンに撮ってもらったかのような照明効果を追加できます。iPhone 8 Plusの背面カメラ、およびiPhone Xの背面・前面カメラで使用可能です。
背面カメラでは、自分のポートレートを撮影するのに、人に頼まなければいけませんでした。でも、人に撮ってもらうのが苦手な人も多いはず。前面カメラなら、自分の思うままに撮影可能。この点は、ほかのiPhoneにはない魅力の一つです。
次世代機が誕生するたび、未体験の新機能を打ち出してきたiPhoneですが、iPhone Xが搭載するFace IDや独自のポートレート機能は、不安を一切感じさせない確かな使い勝手と機能性を与えてくれるでしょう。