テレビのクイズ番組を見ると、インテリ芸人が大活躍しています。
難しい漢字をすらすらと書けたり、読めたりするのを見て、「おおっ!」と感嘆している人も多いのではないでしょうか。
何を隠そう、私はライターの仕事をしているというのに、漢字がとっても苦手なのです。原稿を書いているときは、常に漢字の間違いがないかとビクビクしています。だから、漢字の読み書きができる人をリスペクトしています。
漢字に強くなるにはどうすればいいのでしょうか。手っ取り早い方法が、漢字検定、すなわち漢検を受けてみることです。
漢字検定1級の世界
『漢検のひみつ[新版]』(アサミネ鈴・漫画、オフィス・イディオム・構成/学研プラス・刊)によると、漢字検定は10級~1級まであるそうです。
80字から出題される10級は小学1年生を修了したレベル。2136字から出題される2級くらいまで取れれば、高校卒業・大学・一般程度の漢字の知識をマスターしたことになり、日常生活で漢字の読み書きができなくて困ることは、ほぼないようです。
最難関の1級は約6000字から出題されます。
しかも、四字熟語から当て字まで、難解な漢字・熟語のオンパレードです。ここまでくるとマニアの領域。まず、日常生活では使わないものばかりです。
激ムズな問題にチャレンジ
そんな超マニアックな漢字検定の、準1級~1級の問題を解いてみましょう。あなたはこれらの漢字・熟語を読めるでしょうか? レッツ、トライ!
次の文のなかで、太字で記された熟語を読みなさい。
・江戸時代の稗史を渉猟する。
・返状の濡滞したことを謝する。
・近ごろ矢鱈と忙しい。
・羅馬時代の簪珥が陳列されていた。
・糵を和え物にする。
すべて、『漢検のひみつ[新版]』からの出題です。
問題の答え合わせ
いかがでしたか? 漢検は準1級から難易度がめちゃくちゃ上がります。ちなみに、上から3問は準1級、残りが1級の問題です。答えは以下のとおりです。
・はいし
・じゅたい
・やたら
・しんじ
・もやし
矢鱈はさすがに意味がわかります。稗史は民間の言い伝えをまとめた歴史書、濡滞は滞ること、簪珥は装飾品の一種のようです。
一番びっくりなのは糵。もやしってあのもやしですか!こんなに難しい漢字とは!恐れ入りました!
現代人は書けなくても読める
コンピューターやスマホの普及で、現代人が漢字を書く機会は減っています。一方で、漢字を読む能力は格段に上がっているように思います。
一昔前には、常用漢字に含まれていないからといって、「醗酵」を「はっ酵」と書いたり、「拉致」を「ら致」と書いたりしていました。が、今はそんなことをしなくても、「醗酵」も「拉致」も読める人が増えていますね。
アニメ・ラノベオタクであれば、某ラノベのタイトルになっている「憂鬱」は、ほとんどの人が読めるでしょう。「忖度」は、今年のニュースのおかげで知られるようになりましたね。
あのイベントも漢検つながり!
余談ですが、毎年12月に清水寺で発表される「今年の漢字」は、漢検を実施している日本漢字能力検定協会が決定しているのだそうです。知っていましたか? 世間に広く浸透しているイベントも行っているのですね。
2016年の漢字は「金」でした。リオデジャネイロオリンピックの金メダル、政治と金の問題に揺れたことから選出されたそうです。2017年はどうなるのでしょうか?
個人的には、受検のことよりも「今年の漢字」が気になってしまうのでした。
(文:元城健)
【文献紹介】
漢検のひみつ[新版]
著者:アサミネ鈴(漫画)、オフィス・イディオム(構成)
出版社:学研プラス
みんなは「漢検」って聞いたことがあるかな?「漢検」とは、漢字能力を測る検定試験のこと。子どもから大人も受ける人気の検定試験だけれどもどんな問題が出るのか、合格するとどんないいことがある、とか……この本を読めば漢検のひみつが解き明かされるよ。