ムーブメントは時計ブランドの技術力を見極めるうえで、特に欠かせない要素。各社はどんなところに注力しているのか?時計ツウの皆さんであれば知りたいであろう、ムーブメントの個性を探っていきます。
本来は見えない部分を吟味するのが時計ツウ
ムーブメントは見えない部分の仕上げを省いたような機械ならそれなりの価格に収まり、受け板の裏側まで仕上げてあるようなマニュファクチュールムーブメントであれば高額になります。機械式時計は“人が作り上げる”工業製品であり、美術工芸品でもあるもの。超一流の職人たちが時間をかけて作ったものほど高額になっていくのは、当然のことと言えるでしょう。
完全マニュファクチュール
数多くの特許技術や世界初の機構で時計界を牽引し続ける
一部の超ハイエンドブランドは例外ですが、真のマニュファクチュールは他社に供給するほどの量産体制を持っていると定義できます。独創的な自社製ムーブメントでも、頑張れば手の届く名門をピックアップしました。
ロレックス:オイスター パーペチュアル シードゥエラー(Cal.3235)
1220m防水仕様の高性能ダイバーズの最新型。搭載するCal.3235は、14件もの特許を取得しており、日差±2秒という驚異的な精度を誇ります。パワーリザーブは約70時間。自動巻き。ステンレススチールケース。
ジラール・ペルゴ:ジラール・ペルゴ 1966 40㎜(Cal.GP03300-0030)
ブランドを代表する王道ドレスウオッチのステンレススチール仕様。プレートの面取りや装飾が美しいCal. GP03300-0030は、厚さ3.2㎜の薄型設計。ケース厚も8.9㎜(直径40㎜)とスリム。自動巻き。3気圧防水。
ゼニス:クロノマスター エル・プリメロ(Cal.400)
時計界で唯一、ゼニスだけが量産可能な毎時3万6000振動の自動巻きクロノムーブ「エル・プリメロ」を搭載。文字盤カラーと直径38㎜のサイズは、1969年の初代機を受け継いでいます。
ジャガー・ルクルト:レベルソ・トリビュート・デュオ(Cal.854A/2)
反転式角型ウオッチの大定番「レベルソ」用の角型ムーブを搭載。表と裏の両面で時間を表示するなど、時計の特徴に合わせた機構を有します。ケースはステンレススチール製で縦42.9×横25.5㎜。手巻き。
かつては時計師でしか見ることができなかったムーブメントは、多くの時計がシースルーバックを採用するようになり、ガラス越しにいつでも鑑賞できる時代となりました。ツウな時計選びのポイントとして、これからはムーブメントから吟味してみるというのが、今後の新常識となっていくかもしれません。