元Jリーガー・長谷川太郎が教える「いまさら聞けないサッカーのコツ」。第4回のテーマは「シュート」。シュートはただボールを強く蹴ればいいわけではない。ゴールを決めるためにこそ、しっかりとボールをとらえられるフォームを体得しておくことが重要だ。そこで今回は、シュートのやり方と練習方法を長谷川さんに聞いた。
元Jリーガーの長谷川太郎さん(中央)。現在はストライカー育成のためのアカデミーを中心にチームのコーチや各種イベントを主催するなど精力的に活動中。左は甲府時代のチームメイト宇留野 純さん。右は浦和ユース出身の山田伸昭さん。
ゴールマウスに向けてしっかり蹴ることができなければ、きっとサッカーは面白くないだろう。ヴァンフォーレ甲府在籍時にFWとしてゴールを量産し、当時の甲府のJ1昇格に大きく貢献した長谷川さんは、ゴールを挙げられる人材を育成するために「ストライカーアカデミー」を主宰しているほど。ゴールとその過程でもあるシュートにこだわる指導者でもある。しかも長谷川さんによると、シュートを打つ以前の段階でボールをうまく蹴ることができない子どもが増えてきているという。
「ボールを蹴るほうの蹴り足をうまく上げられない子どもが増えています。なので、シュート練習をする前にまずやってほしいことがあります。それは太もも前部のストレッチを兼ねたキックの練習です」(長谷川さん)
蹴り足を後方に折り曲げ、それを蹴り足と同じサイドの手で押さえながら片足立ち。これが蹴る前の段階だ。しっかり蹴り足を折り曲げて、手で押さえよう。
そして、手を離して前方に蹴り出す。「蹴り出した後、その勢いで少しだけジャンプするようにして、軸足と蹴り足をクロスさせてください。このクロスさせるようにする動きをしっかり意識することが大切です」と長谷川さんは語る。おわかりだろうか。つまり上の写真のように、シュートのフォロースルー時に、蹴り足と軸足をクロスさせるということだ。しかも、この状態から元の形へ戻らなくてはいけない。
「振り上げた足を戻すときに、ちゃんと軸足を踏み込めていないとバランスが崩れてしまいます。しっかり手と足をクロスさせたら、また元に戻す。この繰り返しが重要です」(長谷川さん)
まずはこの練習で、蹴り足を折り曲げて振り上げる感覚と片足でバランスをとる感覚を身に着けよう。そして、シュートする際の軸足の位置を確認しつつ、シュートのフォームもチェック。下の写真のようにボールを置いて、ワンステップで踏み込める位置に下がるのが理想だ。
パートナーに「右!」あるいは「左!」と声をかけてもらって、プレーヤーはその方向に踏み出す。すぐに踏み出すことができるように、細かく足を動かしながら合図を待つようにしよう。
ボールは蹴らないで、寸前で止める。このとき、軸足は蹴る方向にまっすぐに出すこと。また、ボールに近すぎないよう、最適な軸足の位置を知ることも大切だ。
蹴り足はヒザ下部分が相手から隠れるように、しっかり上がっているかをチェック。適切な軸足の位置を知るためにも、足は蹴る寸前で止めるようにする。
ちなみに、蹴る瞬間の足の形はこんな感じだ。
足首を曲げて蹴ろうとするお子さんもいるので、そこは勘違いしないように教えてあげてほしい。写真でもわかるとおり、インパクトの際には足首は伸びているのだ。
別角度から見ると、足の角度は少し斜めになり、ボールと地面の隙間(ボールの下)に足の甲を滑り込ませるように捉えていることがよくわかる。その際、スパイクの紐をボールの中心にピッタリとくっつけることができるように蹴ってみよう。
<シュート練習の例>
さて、ここまでチェックできたら、あとはフォームに気を付けながら練習あるのみ。自分でボールを出して、ゴールめがけてシュートをしよう。
長谷川さんのお手本シュート。ヒザ下がしっかり振り上げられているところがポイントだ。こうすることで「相手ゴールキーパーから蹴り足が隠れて、タイミングや方向を隠すことにもつながります」と長谷川さんは語る。
さあ、しっかり練習してゴールを決めよう。なお、「いまさら聞けないサッカーのコツ」は今回の4回目で終了。まだまだサッカーの基本をいろいろ知りたいという方は下記の書籍もチェックしてみよう。
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サッカーでゴールを量産するために「心」「技」「体」を整える方法
マイナビ出版 1534円(書籍)/1227円(電子版)
実演協力:ZFC松戸
撮影協力:ゼットフットサルスポルト松戸流山