11月30日についに発売となった本格志向ユーザー向けのレンズ一体型カメラ(コンパクトデジカメ)、キヤノン「PowerShot G1 X Mark Ⅲ」。前回の記事ではその描写性能やコンパクトなボディに関してのレビューをお届けしたが、今回は従来モデル「PowerShot G1 X Mark Ⅱ」との比較レビューをしてみたい。
従来機「PowerShot G1 X MarkⅡ」との比較【ボディ・操作性編】
今回は、実際にG1 X Mark Ⅲと従来機のG1 X Mark Ⅱを一緒に使ってみた。その結果、個人的な印象ではあるが、両者の印象や操作感はかなり異なっていた。
まず、ボディのデザインやボリューム感が大きく違う。G1 X Mark Ⅲのボディは、EVFを搭載していて、その部分が出っ張る一眼レフ風のデザイン。一方、EVF非搭載のG1 X Mark Ⅱのボディ(別売の電子ビューファインダーの装着は可能)は、出っ張りのないフラットな形状のデザインである。だが、全体のボリューム感は、圧倒的にG1 X Mark Ⅱ」のほうが上である……って、誉め言葉かコレは?
そのボリューム感の違いは、仕様表の「質量」を見比べても明らかだ。G1 X Mark Ⅲは約399gなのに対して、G1 X Mark Ⅱは約553g。その差は154gにもなり、手にした際の重量感もまったく違う。
撮像センサー仕様も大きく異なる。G1 X Mark Ⅱも1.5型のCMOSセンサーを採用していて、大きさの面ではそんなに引けは取らない(1.5型の面積はAPS-Cの約80%弱)。だが、その画素数は大きく違う。前述の通りG1 X Mark Ⅲの有効画素数は「約2420万画素」だが、G1 X Mark Ⅱの有効画素数は「約1280万画素」と約半分なのである。
ただし、搭載ズームレンズの仕様は、G1 X Mark Ⅱのほうが魅力的に思える。G1 X Mark Ⅲが24-72mmF2.8-5.6なのに対して、G1 X Mark Ⅱは24-120mmF2.0-3.9と、ズーム域も開放F値も勝っている。
従来機「PowerShot G1 X MarkⅡ」との比較【連写性能編】
G1 X Mark ⅢとG1 X Mark Ⅱの撮影機能で大きく違うのが、高速連写の性能である。G1 X Mark Ⅲには、同社の一眼レフ・EOSシリーズで定評のある「デュアルピクセルCMOS AF」が採用されていて(キヤノンのコンパクトデジカメでは初)、撮像面の広範囲で高速・高精度な位相差AFが可能になる。そして、APS-CサイズのCMOSセンサーからの高速信号読み出しもあり、AF固定時には最高約9コマ/秒、AF追従時には最高約7コマ/秒、というハイレベルな高速連写が可能なのである。一方のG1 X Mark Ⅱは、AF固定時には約5.2/秒、AF追従時には約3.0コマ/秒、という標準的な連写性能である。
上の作例は、向かってくる電車を、ドライブモードを「高速連写」に設定して連続撮影(レンズ画角:G1 X Mark Ⅲの望遠端合わせ、画質設定:RAW+L、AF方式:顔+追尾優先AF、シャッター速度:1/2000秒)。電車が同じ位置からの連続3カットだが、G1 X Mark Ⅲが細かい動きを捉えられているのに対して、G1 X Mark Ⅱは画質設定:RAW+Lが足かせになったのか2カットから大きくペースダウンしている。
ここまでG1 X Mark Ⅲと従来機のG1 X Mark Ⅱを比較してきたとおり、レンズについてはG1 X Mark Ⅱのほうが魅力的に感じるものの、そのほかの面、特にコンパクトなボディや撮像センサーの有効画素数、連写性能に関してはG1 X Mark Ⅲで格段に進化していることがわかるだろう。G1 X Mark Ⅲは、PowerShotシリーズのフラッグシップモデルにふさわしい、軽快に使える本格派コンパクトデジカメなのだ。