今までの経済が大きく変わろうとしている。確かに終身雇用制が崩れ、一度就職したら定年になるまでずっとその会社にいることができるという安心感がなくなってしまった。そのためなのか自分自身の価値を上げていこう、という言葉をあちこちで見聞きする。しかし、自分の価値は、どうしたら高めることができるのだろう。
資本主義から価値主義へ
『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽・著/幻冬舎・刊)では、今の資本主義の世の中は、やがて価値主義なるものへと移行するだろうという予測がなされている。価値主義とはいったいどのようなものかというと、人々が「価値がある」と認めたものにお金を出す世界だ。資本主義と大きく違うのは、そこに価値があるかないかという物差しである。
資本主義は、儲かることを目標としていた。けれど、今やモノは溢れ、人々の物欲は下がっている。昔は若い人のほとんどが欲しがった自動車や家も、欲しいとは思わないという人が増えている。
つまりモノをただモノとして売ることは、もう難しくなりつつあるのだ。
価値がお金になる時代
価値主義社会では、価値がお金となる。価値がお金になるというのはどういうことだろうか。本によると人々が共感・感謝・注目などの数値がお金に変換できるということである。今まではそのようなことは可視化できなかったが、ソーシャルメディアが誕生してからはそれがわかるようになった。例えばフォロワー数などで、その人の注目度が数値で見えるようになったのだ。
ツイッターが日本で流行し始めた2010年頃「ツイッター割」というものが色々な店で導入された。これはツイッターのフォロワーの人数を1人1円としてその分を割引するというものである。例えばフォロワー5000人の人は5000円もの割引が可能だ。当時はお寿司屋さん、ボードゲーム店などが取り入れ話題になった。多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーがそのお店を紹介することで、宣伝になるはずだと店側が考えたからこうした割引ができたのだろう。
1・フォロワーを増やす
では実際に、自分の価値を高めるために、どのようなことをしたらいいだろう。まずは、 ソーシャルメディアでのフォロワーを増やすことだ。といってもやみくもに増やすのはあまり感心しない。自分と同じ興味や趣味を持つ人、もしくは同業の人など、共通項がある人とのつながりを増やすことで、SNSは有益な情報源にもなる。自分がSNSから常時仕入れている情報群が価値を生むことはあるだろう。
2・特技を持つ
本業以外に「自分はこんなことができる」「こんなことが得意」というものをいくつか持つことで、自分の価値を膨らませることができる。例えば私の場合、本業の物書きの他に「イケメン評論家」を自称し、毎年必ず「今年売れるイケメン予想」をブログで発表しているが、それが割と当たるからか、今では色々なメディアからコメントを求められたりイケメンコンテストの審査員の依頼をいただいたりと思いがけないオファーを生んでいる。
3・夢を持つ
最近はオンラインで誰かを応援しやすくなっている。投げ銭や、VALU(個人ファンクラブのようなもの)の購入、それからクラウドファンディングなどが広まり、個人が個人を支援しやすくなったのだ。支援には「この人を応援したいな」という強い動機が必要だ。
社会的に役立つことや、皆が共感しやすいものであれば、想像以上の応援が集まる場合もある。
結局のところ、自分が自分をよく理解できていないと、自分の価値を冷静に判断できない。まずは自分はどのような人間なのか、どんなことをしていきたいのかなど、自問自答をするクセをつけ、少しずつでも確実に一歩一歩、自分の価値を上げていくことが大切だ。
【著書紹介】
お金2.0 新しい経済のルールと生き方
著者:佐藤航陽
出版社:幻冬舎
〈資本主義を革命的に書き換える「お金2.0」とは何か〉
2.0のサービスは、概念そのものを作り出そうとするものが多いので、既存の金融知識が豊富な人ほど理解に苦しみます。あまりにも既存社会の常識とは違うので「今の経済」のメインストリームにいる人たちにとっては懐疑や不安の対象になりやすいといった特徴もあります。そして、それこそが全く新しいパラダイムであることの証でもあります。本書ではまずお金や経済の仕組みから、テクノロジーの進化によって生まれた「新しい経済」のカタチ、最後に私たちの生活がいかに変わるか、の順番に解体していきます。
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