生物は、長い年月をかけて環境に適応して進化をしてきた。きりんの長い首、ぞうの長い鼻。人間が今のようになっているのも、この地球上で生き残るためだ。
しかし、この地球には「なんでそんな風になったの?」と思ってしまう進化をした動物も多数いる。そんな動物を集めた書籍が『ざんねんないきもの事典』(今泉忠明・監修、下間文恵、徳永明子、かわむらふゆみ・絵/高橋書店・刊)だ。
そのなかから、僕が「これは残念だ!」と思った生き物ベスト5をピックアップしてみた。
第5位 チンパンジー
人間と同じ祖先を持つと言われているチンパンジー。その知能は高く、手話などで人間と会話ができるほどだ。
しかし、しゃべることができない。なぜなら口呼吸ができないから。口呼吸ができるのは人間のみ。なので、人間だけがしゃべることができるのだ。
声は出るものの、口から出る息を調節できないため、言葉を話すことができないという。うーん、残念!
第4位 チーター
時速100km以上で走ることができる、韋駄天チーター。いかにも速そうな体型で、動物界でもかっこよさはトップクラス。
しかし、速さに特化したためか、攻撃力や防御力が低く、肉食動物最弱なんだとか。そのため、せっかく狩りをしてもほかの動物に横取りされることも多いんだそう。
かっこよさや速さだけじゃだめなんだな。強くなければ生きていけない、強さだけでも生きていけない。
第3位 チンアナゴ
砂から体を出してゆらゆらしている姿がユーモラスなチンアナゴ。その状態でプランクトンを食べているそうだが、口の位置が高いほどプランクトンを食べられる確率が上がる。
そのため、顔出しの位置をめぐってケンカになることがあるようだ。
ただし、けんか相手は隣の穴のチンアナゴのみ。そして、ただ口を開けて威嚇するだけ。お互いに穴から出る気はないので、たいしたケンカにならない。
見た目同様、平和な生き物のようだ。
第2位 チベットモンキー
気性の荒いチベットモンキーは、オス同士でよくケンカをする。負けたほうは勝ったほうに謝るが、なかなか許してくれないこともある。
そこで、負けたほうは群れの中からかわいい小ザルを連れてくるそう。チベットモンキーは大の子ども好きなので、それで気持ちが和らぐんだとか。
そしてお互いの気分がよくなったら、2匹で小ザルを高く掲げる「ブリッジング」(橋渡し)という行為を行って、ケンカは終了。
ケンカのたびに呼ばれる小ザルはどんな気持ちなんだろう。
第1位 ゴリラ
見た目はゴツいが、実は繊細なゴリラ。知能が高く、無用な争いを避けたりすることも多いということ。
しかしストレスもためやすく、ストレスが原因でわきがや下痢になることも。なんかその気持ち、わかります。
しかも、下痢をすると自分でその便を食べることもあるそう。普段はそのような行いはしないので、ストレスによる行動のようだ。
ときどき、よくわからない行動をしている人間を見かけるが、やはりストレスが原因のことも多い。ゴリラも人間も、たいへんなんだな……。
正月明けは動物博士になってるかも?
『ざんねんないきもの事典』には、このほかにも残念な生き物が多数掲載されている。ダチョウやカバ、ミジンコ、コアラなど知っている動物や、あまり聞いたことがない動物まで、残念な生き物が目白押しだ。
お正月、おせちにもテレビにも飽きたら、この本を読んでみてはどうだろうか。暇つぶしになるだけでなく、ちょっとした動物トリビアも仕入れられる。正月休みが終わったら、動物博士になっているかも?
【著書紹介】
ざんねんないきもの事典
著者:今泉忠明(監修)下間文恵、徳永明子、かわむらふゆみ(絵)
出版社:高橋書店
地球には、すごい能力をもつ生き物がたくさんいます。でも一方で、思わず 「どうしてそうなった! ?」 とつっこみたくなる「ざんねん」 な生き物も存在するのです。この本では、進化の結果、なぜかちょっとざんねんな感じになってしまった122種の生き物たちをご紹介します。